FC2ブログ
映画が大好きです。いつまでも青臭い映画好きでいたい。 記事は基本的にネタバレありです by 真紅   ★劇場鑑賞した映画はインスタにアップしています@ruby_red66

泣いて笑って~『モヒカン故郷に帰る』

モヒカン故郷1

 モヒカン頭のバンドマン・永吉(松田龍平)は、同棲中の恋人・由佳(前田敦子)の妊娠をきっかけに、7年ぶりに帰省する。彼の故郷は瀬戸内海に浮かぶ島。酒屋を営む両親(柄本明、もたいまさこ)と、弟の浩二(千葉雄大)が暮らしている。

 前田あっさん、結婚おめでとう☆記念に鑑賞。あ~、これどうして劇場鑑賞しなかったんだろう・・・大好きな沖田修一監督作なのに! 滅茶苦茶面白かった。笑って笑って、ホロリと泣けて。若手から古参まで、芸達者なキャストが最高だった。監督お得意の長回しも健在。ゆる~くてオフビートな笑いと、エモさが共存しているところはさすがです。あ、沖田監督といえば、最新作 『モリのいる場所』 も観なかったのだった・・・すみません。

 しかし、あっちゃんが前髪クネ男と結婚するとはねぇ。お似合いだとは思うけど、ビックリ。ちなみにクドカンは以前、勝地涼のことを 「バカンサム」 と呼んでいました(笑)。そして、今は龍平がフリーですよ奥さん!(違) 瀬戸内の風景と、カープと永ちゃん愛に溢れたTシャツ映画。そしてブラバン映画でもある。夏休みに、自宅でぼーっと観るのに最適でした。映画版 『チア☆ダン』 の、デブキャラの子も出てますよ♪

モヒカン故郷2

( 『モヒカン故郷に帰る』 監督・脚本:沖田修一/2016・日本/
                 主演:松田龍平、前田敦子、千葉雄大、柄本明、もたいまさこ)

テーマ : ★おすすめ映画★
ジャンル : 映画

2018-08-19 : DVD/WOWOW : コメント : 4 : トラックバック : 1
Pagetop

「好きな(映画)監督は?」

IMG_7084.jpg

  「映画好き?」 週一ペースでランチに行くお店で、オーナーシェフのNさんに声をかけられた。かばんに入れっ放しだったフライヤーを読んでいたので  「はい! 映画館で観るのが大好き」 と即答。するとすかさず 「好きな監督は?」 と彼が尋ねる。

 少し面喰った。映画が好きだと言うと 「どんな映画観るんですか?」 とか 「今面白い映画やってます?」 と社交辞令的に言われることはあっても、好きな映画監督を訊かれたことは記憶にない。ほとんど反射的に、頭に浮かんだ名前を口に出す。「クリストファー・ノーラン」 え?

 待って、アタシってクリストファー・ノーランが一番好きな映画監督なん? そうやったっけ? え、え、でも他に誰? などと一瞬パニックに陥っていると、Nさんが言う。「Christopher Nolan? オーケー。ワタシ、Jim Jarmusch.」 え? 恥ずかしながら聴き取れない(Nさんはアメリカンなのだ)。「?」 という顔をしていると、彼は更に言う。「PATERSON.」 ああ、パターソン、ジム・ジャームッシュね! ...ちょっと、何この敗北感(笑)。

 Nさんは日本人の奥様と二人でお店を切り盛りされていて、2歳のお子さんがいる。だからなかなか映画を観に行けない。しかしパターソンはどうしても行きたくて、ベビーシッターをお願いしたのだそう。そうかそうか、子どもが小さいうちはなかなか映画館に行けないよね、とシミジミ相槌を打ちながら、頭の中では 「一番好きな映画監督って、誰だろう?」 と考えていた。王家衛? うむ。 ケン・ローチ? イ・チャンドン? ちょっとマニアックかな。宮崎駿? そうかも。リンクレイター? ジャン=マルク・ヴァレ? ドゥニ・ヴィルヌーヴ? 好きだけど一番じゃない。ミシェル・ゴンドリー? うーん、キリが無い!

 『カメラを止めるな!』 の上田慎一郎監督が 「映画オールタイムベスト10+α」 をスマホのメモにしているのを見た。+αがめちゃめちゃ多くて、ああ、普通の映画好き青年やなぁ、と好感した。私もリストしておこう! と思ったりして。次、誰かに訊かれた時のためにね(笑)。

テーマ : 映画監督
ジャンル : 映画

2018-08-16 : 映画雑談 : コメント : 2 :
Pagetop

残暑お見舞い申し上げます

Timmy072301.jpg

GOC072305.jpg

GOC072304.jpg

 I LOVE YOU GUYS.

テーマ : 俳優・男優
ジャンル : 映画

2018-08-12 : YOU GUYS ARE KILLING ME : コメント : 0 :
Pagetop

「ママ~、あれ何?」

 先週の土曜日。朝一の回で 『カメラを止めるな!』 を観て、昼からは仕事で(大阪市内だけれど)出張へ。面白い映画を観た満足感で、暑いわりに足取りは軽かった。仕事は18時半過ぎまでかかり、ビルを出てもうすぐ駅、というところで気がついた。「iphoneがない!」  ギャーーーー!!

 慌てて戻るも、ビルはシャッターが閉まり無人状態。あべので開催される 『マカロニほうれん荘展』 の初日に駆けつけるつもりだったので、気が焦っていたのだろう。片づけをバタバタして、確認するのを怠ってしまった。もう、展覧会どころじゃない。グッズを爆買いする気満々だったのに、一気にしぼんだ。何より、今日帰るかも? とLINEしてきた息子に連絡しないと、、、。公衆電話を探して10円玉を入れると、背後から子どもの声がした。

 「ママ~、あれ何? 何してるの?」 「電話よ。お話するの」

 ガーーーーン。今の子は家電の掛け方がわからない、と聞いたことはあるけど、公衆電話なんかもっと知らないんだろうなぁ。実際、私も公衆電話から掛けるなんて何年ぶり? 記憶にない。でも、こういうときやっぱり必要よね、公衆電話。

 結局、真っ直ぐ帰宅した私が最初にしたのは、先代のiphoneの充電。LINEはダメだけど、電話帳は生きていたので何本か電話をした(iphone忘れてきた会社の人とか、すみません)。家電からの着信に、相手は一様に驚いて 「命の次に大事なスマホ忘れたん?」 とからかわれる。そして、Twitterとインスタにログイン。あ~、やっと落ち着いた。もう、iphoneなしの生活には戻れないなぁ。バックアップ取っとかないとね。紙で。反省。

 週明け、朝一に受け取りに行ってiphoneは無事に戻った。でも疲れたよ~。。月曜からグッタリでした。以後気をつけます。

テーマ : こんな事がありました!
ジャンル : ブログ

2018-08-10 : 徒然 : コメント : 4 :
Pagetop

『羊飼いの暮らし イギリス湖水地方の四季』~God's Own Country#4

GOC0808.jpg

 映画 『ゴッズ・オウン・カントリー』 の副読本として最高! という評判を聞きつけ、これは読まねば、と思った次の日に文庫版が出る!ラッキー♪とばかりに早速購入。

 私は知らなかったのですが、昨年(2017年)の単行本出版時に日経新聞などで書評が出て、評判になっていたらしいですね。文庫化されるのが早く、早川さん激推しの理由も読めばわかります。とてもとてもとても素晴らしい本でした。

   羊飼いの仕事の掟三カ条
  一. 自分自身ではなく、羊と土地のために働くこと。
  二. 「常に勝つことはできない」 と自覚すること。
  三. ただ黙々と働くこと。


 湖水地方といえば、日本ではまずピーターラビットでしょう。その生みの親、ビアトリクス・ポターも羊飼いだったことを今回初めて知りました。私たちが漠然と憧れる、風光明媚な景観はその土地を成すごく一部分でしかないのです。何百年にも渡って定住する土地への帰属意識と、家系(羊の系統)を守り続ける目的意識について。オックスフォード大を出て(ライオット・クラブのメンバーたちほどではないにしろ)望むならばどんな仕事にでも就けたであろう著者は、羊飼いであることへの迷いや屈託は一切ありません。ほとんど神話の一部のような祖父や先祖たちへの畏怖から、現実の厳しさまで。四季の出来事が語られ、最後の最後に、著者は自身の人生について改めて言及します。感動。

 映画の中で、ジョニーとゲオルゲがしていた仕事がほぼそのまま描写されています。牧羊犬だけは映画に登場しなかったのですが、サックスビー家は本当に小さな規模の農場だからなのかな? と思ったり。ゲオルゲが作った子羊のための 「ジャケット」 や、石垣作り、羊の出産を手助けすること、などなど。改めて、羊飼いって本当に大変な仕事だなと思うと同時に、酔っぱらっても毎日毎日早起きして仕事に出ていたジョニー、結構偉いじゃん、と思ったり。父と息子の確執についても、シビアに語られます。

 人間を 「迷える子羊」 と呼ぶなら、羊たちを導く羊飼いは 「神」 に近い存在なのでしょうか。著者が映画 『ゴッズ・オウン・カントリー』 をご覧になったのか、もしそうならどんな感想を持ったのか。とても興味があります。

( 『羊飼いの暮らし イギリス湖水地方の四季』 ジェイムズ・リーバンクス:著、 濱野大道:訳
                                     早川書房/ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

テーマ : 海外小説・翻訳本
ジャンル : 小説・文学

2018-08-08 : GOD’S OWN COUNTRY : コメント : 0 : トラックバック : 0
Pagetop

これぞアメリカ映画!~『ストリート・オブ・ファイヤー』

ストリート・オブ・ファイヤー




 STREETS OF FIRE

 A ROCK&ROLL FABLE
 ANOTHER TIME ANOTHER PLACE...




 ロックシンガー・エレン(ダイアン・レイン)は故郷での凱旋公演の最中、レイブン(ウィレム・デフォー)率いるギャング団に連れ去られる。街を離れていたエレンの元恋人・トム(マイケル・パレ)が呼び戻され、エレンを救出に向かうが・・・。

 1984年公開作品を、デジタルリマスター版リバイバル上映にて鑑賞。当時も劇場鑑賞したので、30年以上ぶりの再見。この映画は自分の原点だな、と感じた。自分の原点を観た気がした。映画って、時をかける。最高。

 実は私、何を隠そう 『リトル・ロマンス』 以来のダイアン・レインウォッチャーなのです。『アウトサイダー』 『ランブルフィッシュ』 で共演していたマット・ディロンのファンでもあったので、この映画の公開時は 「何でマットが相手役じゃないわけ?!」 と怒っていたと思う(笑)。彼女の出演作全てを観ているわけではないけれど、低迷期を経て 『運命の女』 で大復活したときはうれしかったなぁ。ジョシュ・ブローリンと結婚したときもうれしかった(別れたけど)。最近は、『ジャスティス・リーグ』 でのヘンリー・カヴィルの母親役があまりにも老けこんでいて、「ダイアン・レインをもっと綺麗に撮れ!」 ってザック・スナイダーに説教したかった。小一時間。

 サイドを流すエレンの髪型、聖子ちゃんや明菜、アイドルはみんなやっていた。私の好きな色が赤なのも、この映画のダイアン・レインの衣装の刷り込みかもしれない(ちなみにデザインはジョルジオ・アルマーニだとか)。そして何よりも、このトムとエレンの関係性ですよ! 別れても好きな人、唯一無二の相手だとわかっているのに身を引くこと、でも何かあったらI’ll be there. 命懸け。これ! これですよ!! もう、こういう関係性が至高だと刷り込まれてしまっているところがある。全部、この映画のせいだったんだなぁ、と思う。

 マイケル・パレは久々に観たらトム・ハーディみがあって驚いた。役名もトム・コーディって、そっくり(笑)。でも、今ひとつ突き抜け感がないというか、あの前髪ハラリ具合がナルを捨て切れていないところがある気がする。トムハはそういうとこ、無頓着だからな~。ウィレム・デフォーは変わらない歯並びと、素肌に黒のオーバーオールって出で立ちがインパクトあり過ぎで、見たことのない(そしてあまり見たくない)物体になっていた。強烈キャラ・女兵士マッコイ(エイミー・マディガン)のことは忘却の彼方だったけれど、ラストは結局そうなるか、という感じ。マッコイはこれからもずっと、トムに悪態つき続けるんだろうなぁ。彼と一緒にいるために。

 この映画、ラストのライブシーンだけで一億点つけたいくらいなんだけど、スコアをライ・クーダーが手掛けている、っていうのも初めて知る新鮮な驚き。ライ・クーダーといえばもう、ブエナビスタでパリ・テキサスなのに。今思えばすごく贅沢。せっかくだから、ミュージカル映画として改めてデイミアン・チャゼルあたりがリメイクしませんかね? 彼が撮るならトム役はもちろん、ライアン・ゴズリングで! トムのキャラは 『ドライブ』 仕様でお願いしますね。雨の中のキスシーンは 『君に読む物語』 を思い出したし。あ、エドガー・ライトが撮ってくれてもうれしいな(妄想が止まらない)。

 ある日、どこかで語られるロックンロールの寓話。それは時をかけ、いつの時代にも甦る。B級感満載で洗練とはほど遠いかもしれない映画だけれど、そこがいいのです。私にとっては 「これぞアメリカ映画」 な作品。これは映画館で観られてこその 「追体験」 だった。最高オブ最高。This is IT!!

ストリート・オブ・ファイヤー2

ストリート・オブ・ファイヤー3

ストリート・オブ・ファイヤー4

( 『ストリート・オブ・ファイヤー』 監督・共同脚本:ウォルター・ヒル/
             主演:マイケル・パレ、ダイアン・レイン、ウィレム・デフォー/1984・USA)

テーマ : 映画館で観た映画
ジャンル : 映画

2018-08-05 : 映画 : コメント : 6 : トラックバック : 0
Pagetop

1分間の人生~『欲望の翼』

欲望の翼



 

 阿飛正傅

 
 DAYS OF BEING WILD



 1960年、香港。サッカー競技場の売り子スー(張曼玉マギー・チャン)は、コーラを買いに来たヨディ(張國榮レスリー・チャン)に声を掛けられる。「名前は?」

 「1960年4月16日、3時1分前。君は僕といた。この1分間を忘れない」

 2018年7月の終わり、20時40分スタートのレイトショー。平成最後の夏、火星大接近の夜に、この作品をやっとやっと、スクリーンで観ることができた。初めてDVDで観たのは一体何年前だろう? 世紀の大天才・王家衛ウォン・カーウァイの長編第二作。レスリーが亡くなり、マギーが引退状態である以外は、キャストは梁朝偉トニー・レオンはじめ劉嘉玲カリーナ・ラウ、劉徳華アンディ・ラウ、「歌神」張學友ジャッキー・チュンと、今も第一線で活躍する面々。彼らの若き姿に、胸がいっぱいになる。

 キャストだけみると超豪華な青春群像劇なのだが、初めて観たときからそういう印象はない。レスリーの存在感が強烈過ぎるため、「脚のない鳥=ヨディの物語」 として記憶に刷り込まれてしまうのだ。ラテン・ミュージックをかけ、白いランニングとトランクスで踊るヨディ=レスリー。30年近く語り継がれているこの場面、芸術の神に愛された自らのナルシシズムを隠そうともせず、ただ音楽に身を任せる彼に、至高とは何か、天賦の才とは何かを感じずにはいられない。

 今回、この物語はヨディの回想なのだな、と初めて気がついた。冒頭、フィリピンの熱帯雨林が車窓に流れる。ラスト近く、今際の際のヨディにタイドは問いかける。 「1960年4月16日、3時1分前を憶えているか?」 「あの女といた」。あの風景は、あの日からの記憶を 「走馬灯のように」 辿っているヨディの目に映る最後の記憶なのだ。

 そして、同じ男を愛した二人の女、スーとミミ。これまで、結婚に憧れを抱く生真面目なスーに圧倒的に感情移入し、ギャーギャーと喚き散らす自己主張の塊のようなミミには嫌悪感があった。しかし、今回はつくづく、カリーナって美しいと思った。均整のとれたスタイルと、アイラインで強調させた目力、それだけじゃない。強く、逞しい女は美しい。惚れた男をどこまでも追い、国境を超える彼女は、どんな場所でも生き抜いてみせるであろう生命力に溢れていてまぶしい。

 つい先日、トニー・レオンがジェット・トーン(ウォン・カーウァイが設立した映画製作会社)との契約を満了し、関係を解消したというニュースに衝撃を受けたばかり。ラストシーンは少し感傷的な気分で観てしまった。超ロマンチストなウォン・カーウァイは、役者に背中で語らせる。影帝トニーと、この涙の大天才とのコラボレーションをまだまだ観てみたかった。

 字幕翻訳が、今年6月に亡くなった寺尾次郎氏だったことも記録しておきたい。合掌。

欲望の翼2

( 『欲望の翼』 監督・脚本:王家衛/1990・香港/
               主演:張國榮、張曼玉、劉嘉玲、劉徳華、張學友、梁朝偉)

テーマ : ★おすすめ映画★
ジャンル : 映画

2018-08-03 : 映画 : コメント : 4 : トラックバック : 1
Pagetop

#WeAreGroot

640.jpg

テーマ : 映画監督
ジャンル : 映画

2018-07-31 : 映画雑談 : コメント : 0 :
Pagetop

寡黙な人々~『ゴッズ・オウン・カントリー』#3

GOD072902.jpg

 (過去記事) God's Own Country
          ゴッズ・オウン・カントリー
         ゴッズ・オウン・カントリー』#2

 ついこの間まで北イタリアの沼にいたのですが、気がつくとヨークシャーの丘にいました。ここは(人が少なくて)寂しい場所ですが、とても美しいところですよ。皆さん早く来てください。

 この映画、「セリフが少ないから英語字幕でも無問題」 と何処かで読んで海外版BDの購入を決めたのだけれど、実際に観ると 「セリフが少ない」 と言うよりは 「セリフのないシーンが多い」 という印象。英語(ヨークシャー語?)は全く聴き取れず、字幕はあっても単語がわからない(爆)。“ta” や “lad” は割とすぐにわかったのだけれど、“summat” がわからなかった・・・。最後の最後に 「・・・はっ! これは “some” では??」 と気付いたのだけど、“something” ですね多分。ゲオルゲのしゃべる言葉だけは聴き取れたよ~、ありがとうゲオ。

 そしてセリフだけでなく、登場人物もとても少ない(余計なお世話だが、予算もスタッフもとても少なかったのだろうと思う)。ジョニーとゲオルゲ、ジョニーの父と祖母(あと牛と羊)。父はとても厳しく、一人息子のジョニーに 「どうしてそこまで?」 と思うほどの冷たい視線を向ける。祖母も、確か一度も笑顔を見せない。その代わり、彼女が涙する場面はとても印象的で、胸を打つ。

 あの涙は 「息子に先立たれるかもしれない」 という恐怖や不安が流させたのだろうけれど、それだけじゃない。もう少し、いくつかの成分が含まれていたと思う。田舎での生活、農夫の妻として生きてきた自分の人生、去って行った息子の妻、母のいない孫息子。そして彼が見つけた恋。彼女は毎日毎日アイロンをかけながら、何を思っていたのだろう? 長い間蓋をしてきた様々な思いがあのとき溢れて、感極まったのだろうと思う。

 父も祖母も、ジョニーに対し決して愛情がないわけではない。ジョニーが山から戻ったとき、父は窓辺に置いた椅子に腰かけ居眠りをしていた。息子のことを案じ、ずっと外を見ながらバイクのエンジン音が聴こえるのを待っていたんだな、と思った。片やニコリともせずに、ジョニーに大切な大切なメモの切れ端を渡すおばあちゃん。きっとふたりとも人間関係に不器用で、口下手なんだろうな。そしてその性格は見事に、ジョニーにも受け継がれている。

 ジョニー、いつもはほとんどしゃべらないのに、ゲオルゲに思いを伝えようと、本当に頑張ったね。あれほど必死に、切実に言葉を探して。迷子の子どもみたいで、胸が締め付けられる。ゲオルゲも、きっと君を待っていたんだと思うよ。そうだよね、ゲオ?

テーマ : ★おすすめ映画★
ジャンル : 映画

2018-07-29 : GOD’S OWN COUNTRY : コメント : 0 :
Pagetop

自由と解放~『ゴッズ・オウン・カントリー』#2

GOC072601.jpg


 (過去記事) God's Own Country
         ゴッズ・オウン・カントリー

 この映画を何日か観ないと落ち着かず、もう何度観ただろう。そして毎回、終盤は 「ジョニー、頑張って!!」 という気持ちになり、涙、涙で観終わる。エンディングに使われたパトリック・ウルフの 「The Days」 が頭を離れない。スローでメロウな曲調と、まるでこの映画のために書き下ろしたような歌詞。本当に素晴らしい作品だと思う。

 日本でも一般公開してほしい。しかしただそう願って、手をこまねいているだけではダメだと思った。一般人でも、SNSで自由に意見表明することができるこの時代。インターネットという窓は、全世界に開かれているのだ! 何か行動しなければ・・・。そこでいくつかの配給会社のHPに 「ご要望」 を送ることにした。

 この映画の凄いところ、全く新しいこの時代の映画だと感心させられるのは、物語のどこにも同性愛に対するフォビアがないこと。主人公のふたり、ジョニーとゲオルゲに同性愛者であることに対する屈託は全くないし、父も祖母も、ジョニーの恋心を極当たり前の感情として受け止めている(アレを発見して、黙ってトイレに流すおばあちゃん・・・さすがに詰まるよ! と思ったが)。私も、この映画をLoveStoryとして、何の違和感も持たずに観ている。主人公ふたりの会話の中には 「結婚」 という言葉も出てきて、同性婚が法的に認められた英国の、2010年代の映画であることを実感する。同時に 「よそ者」 に対する差別はあからさまに描かれ、現代の排他的な世相を表してもいる。

 反抗期の中学生並みに尖りまくっていたジョニー。おばあちゃんが(山へ行くのに)用意してくれた上着と手袋を放り投げる様は、気になる子の前でイキがる小学生のよう。そんな彼が恋をして、その幼さを残したまま柔和な顔つきに変わってゆく過程は、何度観ても感動しかない。頑なにキスを拒んでいたのに、おばあちゃんを追い出してゲオルゲの首に自ら抱きつき、キスをするジョニーはかわい過ぎて愛おしくて泣きたくなる。役者って、本当にすごい! 役の感情を生きて、それを過不足なく表現して、観る者を感動させるのだから。

 返事を下さった配給会社の方々、ありがとうございました。公開されるかどうかはまだわからないけれど、改めてお願いしたい。ゲオルゲがジョニーに見せてあげた、あの丘の上の風景を大きなスクリーンで観たいのです。彼らが聴いた風の歌を、私も聴いてみたいのです。自分が住む母が捨てた土地を、ジョニーはどうしても肯定的に捉える事ができなかったのだと思う。しかしあの朝、そこは美しく祝福された場所であると理解し、彼は自らを解放した。そして改めて、あの土地で生きることを選択したのだと思う。これもひとつの 「自由と解放」 の物語なのだ。

テーマ : 何回も見たくなる映画
ジャンル : 映画

2018-07-28 : GOD’S OWN COUNTRY : コメント : 0 :
Pagetop

ガンちゃん。。。(物言えば唇寒し)

 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』 (以下GOTG)シリーズの監督・脚本を手掛けていたジェームズ・ガンが、ディズニーから電撃的に解雇された。

 ネットを駆け巡ったこのニュースに、私も呆然。そしてその原因が、彼が10年以上前にTwitterに投稿した 「不適切な」 ツイートと知り、なんとも言えない気分になった。

 正直、私はジェームズ・ガンと 「気が合う」 とすら思っていた。GOTGの一作目、ファーストシーンで流れるのは10ccの 「I’m not in love」。もうそれだけで十分過ぎる。フットルースネタに大笑いし、文句なしに楽しい “awesome” なあの映画が大好きだった。そしてVol.2では、ELOの 「Mr.BlueSky」 に乗ってベイビー・グルートが踊りまくるファーストシークエンスに 「最高! サイコーーー!!」 と叫び出さんばかりだった。Vol.3も脚本は完成したと聞いていたのに・・・。スターロード!! 

 ジェームズ・ガンが監督しないガーディアンズが、今は想像できない。しかし、きっと何事もなかったようにそれは別の監督で撮られ、何事もなかったように公開され、そして結局、何事もなかったように私も観るのだろう。またそれが悲しくもある。

 彼がしたことは許されることではないのだろうし、許すべきではないのかもしれない。彼は自らの過ちを認め、謝罪し、罰(解雇)を受け入れると表明した。潔く、この日が来ることを予期していたかのように。ファンが解雇撤回を求めて署名活動を始めたようだけれど、今は署名する気にはなれない。今はただただ、残念で堪らない。

 結局、良かれ悪しかれ、自分のしたことは必ず自分に返って来る、ということなのだろうか。因果応報。クリプラやゾーイ・サルダナのツイートを読んで、ちょっとだけ泣いてしまった。

awesomemix.jpg

テーマ : 映画監督
ジャンル : 映画

2018-07-24 : 映画雑談 : コメント : 2 :
Pagetop

みみこさんと、SNSのことなど。

 ブログ ちょっとお話 のみみこさんとお会いした。

 みみこさんが大阪に来られたので、「お茶でもどうですか?」 とお誘いしたのだった。心斎橋大丸で待ち合わせて、暑いし時間は無いしでそのまま大丸内のカフェへ。私が仕事&家族の都合であまり長い時間は取れなかったのだが、とても楽しいひとときだった。

 みみこさんは私より長くブログをされていて、「憧れのお嬢様」 という印象だったのだが、会ってみると 「おっとり」 した感じはしなかった。(当たり前だが)とてもしっかりとした大人の女性でありました。

 子の学校の話やもちろん映画の話をし、話題は自然とブログやSNSのことに。そうそう、みみこさん、長年ブログをされているけれども所謂オフで会うのは私が初めてなんだそう。光栄だわ~。

 「オフで会うきっかけというか、見極めってどうしているの?」 と尋ねられた。

 時間が無くてあまり深い話はできなかったのだけれど、結局ネットも人間関係だと私は思っています、と話した。文章やブログの作法に、結局はその人というものが現れるのではないかと思っている、と。だから、私は10年以上お付き合いが続いているブロガーさんに会うことに躊躇はあまりない。今回みみこさんと会うことにも、全く不安はなかったです、と。

 ブログを休止したり、閉鎖したりする人も多いよね、という話も。ただ単に飽きたり、他のSNSに移行した人も多いとは思う。でも、ブログ内の人間関係に疲れて、一新したいと思って何も告げずに他のブログを開設した人も少なからずいるのではないか、と私は思っている。長くやってると、いろいろありますよね。。。

 実際、偶然そういう人のブログを 「発見」 したことも何回かある。お久しぶりでうれしくなって思わずコメントしたら、その後その方がなんとコメント欄を閉じてしまったこともある(空気が読めなくてすみません)。
それ以来、そういうブログを見つけても 「そっ閉じ」 する私なのである。反省。

 日常がストレスフルで、ブログやSNSに逃避しているところもあるのに、そこでまた交流し過ぎて気を遣うのは疲れますよね、という話もした。12年以上も続けているのに、なかなか 「ブログ道」 を極められない私(たち)。でも、そこがまた楽しく、続けられている所以のような気もする。

 みみこさん、先日はありがとうございました。次は是非映画ご一緒しましょうね!

みみこさんと

テーマ : こんな事がありました!
ジャンル : ブログ

2018-07-23 : 徒然 : コメント : 2 :
Pagetop

Fから始まる~『ゴッズ・オウン・カントリー』

GOC1.jpg








 GOD’S OWN COUNTRY


 英国・ヨークシャー。家族経営の小さな農場を営むジョニー(ジョシュ・オコナー)は、病身の父(イアン・ハート)と祖母(ジェマ・ジョーンズ)との三人暮らし。行き場のない空虚な毎日を半ば自暴自棄に過ごす彼の元に、ルーマニア移民の季節労働者・ゲオルゲ(アレック・セカレアヌ)がやってくる。

 本作は2017年に各国で公開され、絶賛を浴びたインディペンデント映画。2018年7月13日に、第27回レインボー・リール東京 ~東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で日本初上映されたけれど、公開は未だ決まっていない。「英国版ブロークバック・マウンテン」 なんて評判を聞いたら、観ないでいられようか? US版BD、英語字幕にて鑑賞。初めて円盤を未見購入してしまった。少し前に 『君の名前で僕を呼んで』 のUS版BDを購入していたので、海外版の円盤を買うことに抵抗はなかった。

 「人は変わることができる」。どんな人間でも、やさしさで包み、傷を癒してくれる誰かに出逢うことによって変わることができる。そんな希望を強く強く感じさせてくれる作品だった。監督と主演の二人によると本作は 「Brexitに関する物語」 らしいのだけれど、それは傑作と呼ばれる映画が図らずとも時代性を帯びるということであり、歴史の文脈の中で後付けに定義されたレトリックに過ぎないだろう。

 「ウィンストン・チャーチル没後50年」 とテレビで語られる場面があるので、時代設定は2015年頃。空っぽの目をして、人生に向き合うことを恐れていたジョニー。前後不覚になるまで痛飲し、吐き気とともに目覚め、行きずりの f*ck(それはセックスですらない)で欲望を紛らわせていた彼の変化を、ジョシュ・オコナーが大胆かつ繊細な表情演技で見せてくれる。(彼は本当に凄いことを成し遂げていると思う。これ一作で大ファンになりました)

 どうしようもなく鬱屈したジョニーだけれど、彼は本質的には悪い人間ではない(そもそも、本質的に悪い人間、生まれつき悪い人間などいるのだろうか?)。それは、ジョニーが酪農仕事をする最初のシーン、妊娠した牛の背を撫でる彼の手の動きを見ればわかる。そして彼の孤独は、家を出た母に起因していることも。ゲオルゲに母を語るジョニーは、(世の男性のほとんどがそうであるように)母を責めない。「母さんはあんまり幸せじゃなかった、よく憶えてないけど」 と。

 そんなジョニーの孤独を感じ取り、傷を癒し、心を溶かしてゆくゲオルゲ。彼がまとう素朴なのにどこか謎めいた雰囲気、言葉少なな代わりに雄弁に語る瞳、弱きものたちに触れるその手の、やさしく繊細な動き。ジョニー同様、それらに私も痺れまくった。テーブルに花を飾り、パスタの味を調える彼の仕草の一つひとつが尊過ぎる! あまりにも完璧に素敵な人なので、「ルーマニアに残してきた妻子がいる設定だったらどうしよう」 と心配になるほどだった。

 彼らが最初に身体を交わす場面は暴力的なまでに強烈で、まさに 「f*ck」 ではあるが、それは絶対に必要な描写であったのだと、この映画を最後まで観れば納得する。身体を貪ることしか知らないジョニーに、ゲオルゲは互いを慈しむこと、触れ合うことの意味を教える。言葉ではなく眼差しと指の動きで導くその行為はまさしく 「makeLoveメイクラブ」 であり、欲望のままに相手を組み伏せる行為とは対極にある、崇高で美しいシーンとして記憶に残るのだ。

 ジョニーが変わることで、そのやさしさは頑なだった父や祖母にも伝染する。主演ふたりはもちろんだが、父イアン・ハートと祖母ジェマ・ジョーンズの演技がまた素晴らしい! そして子羊が、子羊が・・・。あり得ないほどの可愛さと名演技で、私を腑抜けにする。

 風の音。二人きりの山で羊の世話をする青年。荒涼とした寂しく美しい風景。じゃれあう二人を遠くから眺める人物。焚き火。水浴びと水遊び。そしてシャツ、ではなくてセーター。まさに 『ブロークバック・マウンテン』 感満載であり、『ブエノスアイレス』 の残像も感じられる。二人が最後に交わすセリフはFワードでありながら伏線を回収し、更に感動を呼ぶという離れ業であり、2018年の№1キラーセンテンスと思われたcall me by your name. にも匹敵する。初監督・初脚本のフランシス・リー、恐るべし、なのだ(ちなみにあのセリフが日本語字幕でどう訳されていたのか、とても興味がある)。

 作り手が描きたいビジョンを明確に持ち、優れた俳優と優れた脚本でぶれない映画作りをすれば、たとえ低予算でも傑作になり得るのだと思う。この映画にはフランス文学もギリシア哲学も、ピアノもアプリコットもまばゆい夏の陽光もない。そこにあるのはただ切実な生活の厳しさと、美しいが過酷な労働が待つ大地だけ。しかしだからこそ、雲間から差すただ一筋の光が、ふたりの貧しき羊飼いへの祝福のように輝くのだ。『GOD’S OWN COUNTRY』 = 「神の恵みの土地」。この恋愛映画の極北と呼ぶべき作品が、日本で劇場公開されないことが何とももどかしく、歯がゆい気持ちでいっぱいになる。

 『ブロークバック・マウンテン』 日本公開から12年。大きなスクリーンで、日本語字幕で、サラウンドな音響で、ヨークシャーの光と風を感じてみたい。

GOC2.jpg

 (過去記事) God's Own Country
 
( 『ゴッズ・オウン・カントリー』 監督・脚本:フランシス・リー/
                         主演:ジョシュ・オコナー、アレック・セカレアヌ/2017・UK)

テーマ : ★おすすめ映画★
ジャンル : 映画

2018-07-17 : GOD’S OWN COUNTRY : コメント : 0 : トラックバック : 0
Pagetop

2018(上半期) 真紅のthinkingdays Best 10 of the movie

 早くも今年の前半が終わってしまいました。平成最後の夏ですよみなさん!
というわけで今年上半期に観た映画のベストを。

 ①君の名前で僕を呼んで
 ②女は二度決断する
 ③スリー・ビルボード
 ④ファントム・スレッド
 ⑤レディ・バード
 ⑥勝手にふるえてろ
 ⑦リメンバー・ミー
 ⑧シェイプ・オブ・ウォーター
 ⑨彼の見つめる先に
 ⑩30年後の同窓会


 次点 犬ヶ島(ウェスごめん)
 ※2018年上半期劇場鑑賞71本より

 しかし、①は6回観ているので、実際は…

 ①君の名前で僕を呼んで
 ②君の名前で僕を呼んで
 ③君の名前で僕を呼んで
 ④君の名前で僕を呼んで
 ⑤君の名前で僕を呼んで
 ⑥君の名前で僕を呼んで

 ⑦女は二度決断する
 ⑧スリー・ビルボード
 ⑨ファントム・スレッド
 ⑩レディ・バード


 次点 勝手にふるえてろ(ヨシカごめん)
 ※2018年上半期劇場鑑賞66本より

 という感じでしょうか(笑)。

 今年の一本目は 『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』、上半期最後に観たのが 『ハン・ソロ/スター・ウォーズ ストーリー』 でした。SWに始まりSWで終わる、フォースとともにあった半年間でした。
あ、ハン・ソロ面白いですよ~。まぁ画面が暗いというのは間違いないですが、ロン・ハワードが手堅くまとめてると思います。キャストもいいし。みなさん観てください!

 というわけで、下半期もたくさん映画観ましょう!

テーマ : ★おすすめ映画★
ジャンル : 映画

2018-07-01 : 年間ベスト : コメント : 3 :
Pagetop

YOU GUYS ARE KILLING ME. ~張震 Timmy&Armie

張震1

 こちらCartierアンバサダーに就任した張震くん。インスタにはカッコイイ彼のお写真がいっぱい♪ 動画で共演しているのは 『ALONE/アローン』 でアーミーの相手役だった女優さん=アナベル・ウォーリスではないの!

BBポスター

 ティミーの新作 『Beautiful Boy』 のポスター。これがインスタにアップされたらXドランがソッコーで “already obsessed.” ってコメントしてて笑った。 エイミー・ライアンにも期待。アメリカでは10月公開、日本でも来年公開が決定してるみたいですよ♪

sorry_to_bother_you_ver4.jpg

 そしてアーミーの新作 『Sorry to Bother You』 こちらはアメリカで来月公開。アーミーは主演ではないけど、これ日本に来るかな? 観た~い!

テーマ : 好きな俳優
ジャンル : 映画

2018-06-27 : YOU GUYS ARE KILLING ME : コメント : 0 :
Pagetop

And this is given once only.~『君の名前で僕を呼んで』#10

cmbyn2.jpg

 この画像を見つけたとき、原作の最後の一行に魅入られた人がこの世界のどこかにいるんだ、私以外に--。とわかってとてもうれしかった。もちろん映画化されるほどの小説だから、全世界的にポピュラーであることは重々、わかっているのだけれど・・・。映画を観たり、小説を読むことは、私にとって極個人的な体験だから。

 君の名前で僕を呼んで の原作は、本当にキラーセンテンス、キラーワードのオンパレードで、私を殺しに来る。特にラストの一文は、尋常でないレベルで胸に迫る。読み終わって号泣した後、必ずまた最初から読み返したくなる。そして繰り返し読むと、エリオよりも先にオリヴァーが想いの謎かけをしていたのだとわかってさらに感動する。何一つ忘れないふたり。また涙が溢れる。永遠にこの沼から出られない!

 今日は映画のエリオについて。初見、彼の印象は美しさよりもまず 「小動物感」 だった。くるくる動いて、すばしっこくて甘え上手で。オリヴァーでなくとも、愛でずにはいられない感じ? よしよし、って。湖の探索について行ったエリオのウキウキ顔が、私は一番好きかもしれない。前夜、ダンスフロア中の視線を一身に集めていたオリヴァーを、今は自分だけが見つめている。ティモシー・シャラメの初々しい表情は、初めての(そして生涯一度の)恋に落ちた少年の多幸感が溢れ出していて本当に素晴らしい。まだ何も始まっていない、まだ誰も知らないが故の無邪気な高揚。そしてその想いが自らの内から外側へと向けられた瞬間から、彼の表情は憂いを帯び始める。しかしエリオよ、オリヴァーを見送り、一人では帰れないほど憔悴して迎えの車の中でも大泣きしているにも関わらず、「ママは知ってる?」 はないだろう(笑)。マルシアとの会話の間も、彼の長過ぎる睫毛は涙に濡れていたのに。寛容で慈愛に満ちた両親のもと、これ以上ないほど文化的な家庭で何不自由なく育ったエリオ。そしてオリヴァーと出逢い、彼らは星を見つけた。世界一幸運な少年--オリヴァーはやっぱり、何でもわかっている。

 P.S. 実は私自身が一人息子の母なので、エリオに対する観方に甘いところがあるのは否めないと思う。うちのエリオ、行儀が悪くてすみません。アネラに代わってお詫びします・・・。

 続く

テーマ : ★おすすめ映画★
ジャンル : 映画

2018-06-17 : CALL ME BY YOUR NAME : コメント : 4 :
Pagetop

『フリー・ファイヤー』

フリー・ファイヤー

 ※ネタバレ

 アーミー・ハマー出演作と知り、WOWOWにて録画鑑賞。大阪ではステシネでしか上映していなかったと思う。わざわざ行くのもね~、と見送ったのだった。オープニングから豪華キャスト (キリアン・マーフィ、サム・ライリー、ジャック・レイナー、シャールト・コプリー、ノア・テイラー!) が出るわ出るわ。劇場鑑賞すればよかったな~、と思いながら観ていると銃撃戦が始まり、それが長過ぎてさすがに飽きる。そしてそのまま終わる(笑)。アーミーはナルシストのギャングにハマっていて、曲者揃いのキャストの中でも存在感があった。「ジョン・デンバーの面白い話」 聞きたかった・・・。しかしキリアンの声っていいわぁ~。いつも惚れ惚れ。

 監督は 『ハイ・ライズ』 の人。あの映画も私的には今ひとつだったな・・・。

 ( 『フリー・ファイヤー』 監督・共同脚本:ベン・ウィートリー/2016・UK/
      主演:キリアン・マーフィ、アーミー・ハマー、ブリー・ラーソン)

テーマ : WOWOW/スカパーで観た映画の感想
ジャンル : 映画

2018-06-14 : DVD/WOWOW : コメント : 2 : トラックバック : 1
Pagetop

Love is blind (或いはデクノボーと呼ばれて)

 しばらく休眠していたブログを書き始めると、改めて 「ブログっていいな~」 と思う。好きなことを好きなように、いくらでも書ける。特に今は昔と比べて人が少ないので、変な(ヘイトな)コメントやTBが来ることもなく、気楽でよい。

 そしてこれは前々からなのだけど、ネットで記事を探していると(所謂ネットサーフィンというやつ。死語?)、時々 「凄い...」 と思うブログとエンカすることがある。知識の量、文章の巧みさ、目の付けどころ、貼り付けてある画像、全てが 「何者?」 レベル。私は 「センスがいい」 という言葉を使うことに常々慎重でありたいと思ってはいるのだが、まさに 「センスの塊」 みたいなブログ。そして今日また、そんなブログを見つけてしまった。

 そこには当然(偶然?)、君の名前で僕を呼んで の感想もそれは見事な文章で綴られており、「御意!」 なのだけれどただ一点、アーミー・ハマーがデクノボーでこの映画の質を落としている、と書かれてあった(涙)。ティモシー・シャラメの素晴らしい表現力と比べて、アーミーは感性も演技力もない、と。ガーーーーン。

 そうなのかもしれない。確かに、オリヴァーがパールマン邸に到着した直後、あくびをしながら階段を上がる姿は大根役者のそれであった(と私でさえ思う)。北イタリアの風景と空気に、アーミーは最後まで馴染まない異端の 「アメリカーノ」 であったとも思う。しかし、しかし。。私はそんな彼が愛おしい。ルカ・グァダニーノのラブコールに応え、迷いながらもオファーを受けてくれたアーミーにありがとうと言いたい。ティミーと仲良くなって、SNSでいちゃこらしているアーミーが大好きだ。誰が何と言おうと、オリヴァーはアーミー・ハマーが演じてよかったのだ。恋は盲目、なのである。

テーマ : 好きな俳優
ジャンル : 映画

2018-06-13 : CALL ME BY YOUR NAME : コメント : 0 :
Pagetop

アンドリュー・ガーフィールドおめでとう!~Tony Awards 2018

アンドリュー・ガーフィールド

 本日行われた第72回トニー賞授賞式で、アンドリュー・ガーフィールドが演劇主演男優賞を受賞したそう! アンドリュー、おめでとう~\(^o^)/

 受賞作は 『エンジェルス・イン・アメリカ』。この作品を演じるに当り、発言が炎上して猛バッシングを受けたんですよね。アンドリュー、ここへ辿り着くまで、並大抵の苦労ではなかったと思います。彼のことはデビュー作 大いなる陰謀 から観ていますが、毎回真面目で純粋な人、という印象を受ける。スパイダーマンの降板やエマ・ストーンとの 「別れても好きな人」 状態とか、決して順風満帆なキャリアではないかもしれない。でも、今回の受賞で彼の才能が名実ともに認められたと思う。本当におめでとう、これからもひっそりと応援しているからね。

 ちなみに レディ・バード のお母さん、ローリー・メトカーフも演劇助演女優賞を受賞したそうです。彼女のことはレディバードで初めて知ったのだけど、本当に巧い女優さんですよね。オスカーは残念だったけど、よかったよかった^^

テーマ : 演劇
ジャンル : 学問・文化・芸術

2018-06-11 : 舞台・ライブ : コメント : 0 :
Pagetop

『レディ・バード』

レディ・バード






 LADY BIRD


 2002年、カリフォルニア州サクラメント。カトリック系の私立高校に通う17歳のクリスティン(シアーシャ・ローナン)は、「文化のない」 この田舎町と、平凡な自分の名前が大嫌い。自らを 「レディ・バード」 と名乗り、東部への大学進学を夢見ていた。

 楽しみで待ち遠しくて待ち切れなくて、初日に鑑賞。音楽がジョン・ブライオンってすごく久しぶりな気がする。オールタイムマイベスト作のひとつ エターナル・サンシャイン のスコアが大好きなので、スタッフロールに彼の名前を見つけてうれしかった。この原題のレディバードって、てんとう虫の事ではないのですね。シアーシャ・ローナン、赤毛も似合うけど緑色が本当に似合う。大傑作 『ブルックリン』 以来、私の御贔屓女優さん。

 正直、この映画を観て一番強く思ったのは、、、「お金がない、って本当に嫌だな」 でした(夢がなくってすみません)。子どもに対して年がら年中 「うちにはお金がないの」 って言うのって、気が滅入る。しかしクリスティンの母(ローリー・メトカーフ)って医療専門職(ナース? ドクター? セラピスト?)なのに、そんなにお給料安いのだろうか。それでも、お金が無い? それが何? 奨学金とアルバイトでなんとかする、アタシは都会へ行くの!! と絶対にぶれないクリスティンのど根性が凄い。天晴れ。

 オープニング、礼拝に臨む大勢の生徒たちの中でもひときわ光り輝くティモシー・シャラメにときめくも、彼が扮するカイルはヤな奴だった。美し過ぎるティミーが、またそれにドハマリしていた(笑)。そして今作ばかりはルーカス・ヘッジズくんに一票だった。クリスティンと抱き合って泣くシーン、彼の最後の舞台のシーンで涙腺がゆるんで、それからの展開はもう、涙滂沱ですよ・・・。親友との諍いと和解、母との冷戦。父が架けてくれた橋。ニューヨーク。ブルース!!

 これは遂にメジャー・ヒッターとなったグレタ・ガーウィグの、故郷へのラブレターですね。故郷ってもちろんサクラメントのことだけど、両親、特に母親のことでもある。愛情があり過ぎて、反発し合う似た者母娘。ありがとうが言えない、素直になれないふたり。それを見守る父親がまた、、、深過ぎる。

 しかしこういう小品と呼ぶべき映画が評価されて、オスカー候補にもなるってなかなか、アカデミー協会も捨てたもんじゃないですね。刺さる人には刺さる、そうでない人、例えば、ずーっと地元にいて実家住みの人とかには、普通の映画かもしれない。私? 刺さり過ぎて瀕死でした。

レディ・バード2

↑ ↑ ↑ 悪いほうのティミー、カイルくん  ↑ ↑ ↑ 

 (おまけ) クリスティンの初体験のシーン。彼女がブラジャー外してないのが興醒めだったのですが、あれはレイティングの関係なのかも、と思いました。相手に言われたことは全てそのまま信じるクリスティンが、自分とダブって痛かったです(泣)。

 ( 『レディ・バード』 監督・脚本:グレタ・ガーウィグ/
         主演:シアーシャ・ローナン、ローリー・メトカーフ/2017・USA)

テーマ : ★おすすめ映画★
ジャンル : 映画

2018-06-10 : 映画 : コメント : 4 : トラックバック : 2
Pagetop
« 前のページ  ホーム  次のページ »

What's New?

真紅

Author:真紅
 Cor Cordium 
★劇場鑑賞した映画の感想はインスタにアップしています@ruby_red66

Archives

Search this site

Thank You!