どうにも、どうしようもない~『暗渠の宿』
暗渠の宿

 第144回芥川賞は、西村賢太『苦役列車』朝吹真理子『きことわ』
二作が同時受賞叩き上げVS.純血サラブレッド、という分かり易い二氏の
対比で随分と話題になりましたが、正直西村氏のことは、寡聞にして全く知
りませんでした。受賞インタビューでの「そろそろ風俗に行こうかと」発言には
ビックリ。芥川賞受賞作の前に、2007年に第29回野間文芸新人賞を受賞
した本作を読んでみることに。「けがれなき酒のへど」表題作の二作併録。

 素面でいると小心者で押しが弱いのに、呑んだくれで手が早く、キレると
瞬間湯沸かし器のよう。江戸っ子だというプライドだけは高く、恋人が欲しい
寂しさを風俗通いで埋めようとし、惚れた女には騙される・・・。そんな(作者
自身がモデルだという)、典型的な「だめんず」が主人公。

 しかしまぁ、、何ですねぇ。。こういう孤独な男性って、案外世の中にはたく
さんいるのではないでしょうか。「けがれなき~」では愛を求めるあまりに冷静
な状況判断ができず、女に貢いで結局は捨てられる男。「暗渠の宿」では、
同棲相手の女に次第に支配的に、暴力的になってゆく男。怒りにまかせて
自制ができず、暴力を振るう男同情の余地はない。結局、精神的に子ども
なんだと思う。

 才能と学歴というのは必ずしも一致しない、というのがよくわかります。自身
の経験を私小説という形に昇華させる才能。芥川賞受賞作は、文藝春秋を買
って読もうと思います。

 ( 『暗渠の宿』 西村賢太・著/新潮社・2006)
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[2011/02/04 14:36] | 読書 | トラックバック(0) | コメント(2) |
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コメント
真紅さん、こんにちは^^
いやはや・・・・彼の人生はほんとにすごいですね・・・。
風●、好きみたいね・・・。
確かにこういうダメんず、結構多いかもしれない。同性だと、彼の本を読んで勇気づけられる人もいるんだろうな。
とはいえ、女性に暴力振るう男子は絶対イヤなんだよなー私は。

きことわ、もリクエストしちゃった(^^ゞ
表紙的にも、綺麗で品が良さそう。
両極端な2人、なかなか話題性があるよね。
[2011/02/06 22:09] URL | latifa #SFo5/nok [ 編集 ]
latifaさん、こんにちは~。コメントありがとうございます。
破天荒な人生だけど、それを小説にできてしまう才能は凄いですよね。
しかも芥川賞まで獲ってしまって。。
すぐにキレる自分を客観視できているのに、暴力をふるうのを止めることはできないのかな?って思います。
私も、暴力ふるう人絶対ダメだわ。。耐えられません。
『きことわ』、なんか幻想的な小説ってイメージがあるな~。
早く読みたいですね♪
[2011/02/07 18:24] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
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