私だけの神様~『アンダスタンド・メイビー』
アンダスタンド上 アンダスタンド下

 茨城の中学三年生、藤枝黒江は、写真家・浦賀仁からファンレターの返事をも
らって有頂天になる。同じ頃、東京から酒井彌生という名の転校生がやってきた・・・。

 島本理生の新作書き下ろし小説。傷ついた自覚もないままに、傷を抱えて生き
る少女
が過去と向き合い、新しい未来へと旅立つまでを描く。出だしこそ豊島ミホ
リテイク・シックスティーンのような学園青春ドラマの趣で、これは安心して
読み進められるかと思いきや・・・。

 第一章の半ばから、いきなりのダークな展開崩壊した家庭、幼児性虐待、集
団暴行、自殺未遂
と、これでもか!と主人公を突き堕とす、トラウマ必至島本
節全開
。あまりに悲惨な展開に、上巻の途中でリタイアしかかったほど。

 黒江に、言いたいことはたくさんある。そんなに簡単に、男の子(男の人)につ
いて行ったらダメでしょう。自分が辛いからって、身近にいる大切な人を思いや
れなくてどうするの?
 でも・・・。
 自分だって十代の頃は、思いやりもやさしさも、何にもわかっていなかった。
恋したときに誰もが出逢うという「自分だけの神様」を、私も探し求めていたっ
け。。

 黒江にとっての「神様」が誰だったのか、そしてその神様は如何にして神と成
り得たのか
。正直、長編小説としては完璧でもなく、穴が無いわけでも全くない。
前作あられもない祈り心底ガッカリさせられたファンとしては、まだまだこ
んなもんじゃないでしょう、という気持ち。しかし最後の最後に、主人公を一人で
旅立たせてくれた作者に、浮上しようという揺るぎない意志を感じた。

 明るい方へ

 ( 『アンダスタンド・メイビー』 島本理生・著/2010・中央公論新社)
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[2011/01/21 00:00] | 読書 | トラックバック(2) | コメント(2) |
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コメント
こんにちは。
どんどんダークになっていきましたね。ああ・・やっぱりそちらの方向ね・・・とは思いましたが
お話にひきつけられてしまって一気読みでした。面白かったわ。
下巻で写真部の光太郎君と羽場先輩の近況が分かったでしょ?ホットしたわ。いろいろ気になっていたからね。次回作も期待したいですよね。
[2011/02/22 11:17] URL | みみこ #mQop/nM. [ 編集 ]
みみこさん、こんにちは! コメント&TBありがとうございます。
これ読まれたんですね~、うれしいな♪
そうそう、もう島本さんお得意のダークな展開。。でも文章はやっぱり巧いですよね。
何かこう、変に透明感がある文体というか。。
次回作、期待です♪ 後ほど伺います。
[2011/02/22 17:05] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
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アンダスタンド・メイビー上・下   著  島本 理生
アンダスタンド・メイビー  著  島本 理生 茨城県内の学園都市には母親と2人で住む藤枝黒江(くろえ)。 中学生時に遊びに行った東京の書店で一冊の写真集と巡り合う。 著者の浦賀仁のファンレ...
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[2012/02/26 17:39] 笑う学生の生活
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いつまでも青臭い映画好きでいたい。愛おしい映画と、忘れがたき本たち。ときどきカフェとか。 記事は基本的にネタバレあり。 どうぞご贔屓に♪

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