![]() 台湾出身でNYに暮らすウェイトン(ウィンストン・チャオ)は、不動産業で成功 し、恋人サイモン(ミッチェル・リキテンシュタイン)と同居している。彼の悩みは、 孫の顔が見たい故郷の両親が送ってくるお見合い話と、家賃を滞納する不法移民の ウェイウェイ(メイ・チン)。両親を安心させるため、グリーンカードが欲しいウェイ ウェイとの偽装結婚を提案するサイモンに、渋々同意するウェイトン。台湾からやっ てきた両親の意向で豪華な結婚披露宴が開かれ、初夜を迎えた二人は・・。 アン・リーの長編第二作。父親役には『推手』のラン・シャンが続けてキャストされ、 「父親三部作」の第二作にあたる本作は、ベルリン映画祭において金熊賞(グランプリ) を受賞している。 ★以下ネタバレします★ 結婚披露宴から二次会までの展開はウェルメイド・コメディといった趣で、披露宴 に疲れたウェイトンとウェイウェイの元に友人達が押し寄せる場面などは、もう手を叩 いて大笑いしてしまった。しかし、友人達が去り、ウェイウェイがウェイトンに「解放 してあげる」と言うあたりから、物語は違った顔を見せ始める。 ウェイトンとサイモンが二人で暮らしていたアパートに、ウェイウェイと両親を加え た奇妙な同居生活は、ウェイトンの父(ラン・シャン)の体調不良から長引き、ウェイ トンとサイモンの間は少しずつすれ違ってゆく。そこにウェイウェイの妊娠が発覚し、 英語で言い争うウェイトンとサイモン。おろおろするばかりの母と、震えながら深呼吸 する父・・。 心臓発作で入院した父の元へ駆け付け、ウェイトンは母(グア・アーレイ)に、自分 が同性愛者であること、本当の恋人はサイモンであることを初めて打ち明ける。「同性 愛者は、心を通わせる相手を見つけることは難しい。サイモンは僕の宝だ」母を騙し続 けたことを詫びつつも、自分の正直な胸の内をカミングアウトする彼の告白に胸が詰ま る。息子を受け入れられない母の戸惑い。父のリハビリにつきそい、手料理でもてなす サイモンの、細やかな心配りと献身。彼に誕生祝を送り、「見て、(英語を)聞いて、 わかった」「君も私の息子だ」と言う父の懐の深さ、息子への愛情の深さに涙がこぼれ る。ウェイトンも、父も、お互いを思いやり秘密を守ろうとし、真実は語り合わないま ま迎えた別れの日。一人息子を食べてしまいたいと思うほど溺愛している母よりも、こ の父の威厳に満ちた愛情表現に、誰もが心打たれるだろう。 結婚(披露宴)という人生最大のイベントに向かうそれぞれの心の揺れも細かく描か れ、登場人物それぞれをやさしく、温かい視線で包むようなアン・リーの演出が心地よ い。豪華絢爛な結婚披露宴の場面では、セリフ付きで監督自らカメオ出演しているのに も注目だ。 台湾(中国)の伝統的な家族観を描きながら、新しい家族の形を提示した本作。古 くても、新しくても、お互いを思いやる親子の姿は変わらない。笑って、泣いて、間 違いなく温かい気持ちになれる佳作。大好きです。 (『ウェディング・バンケット』監督:アン・リー/主演:ウィンストン・チャオ、 ミッチェル・リキテンシュタイン、メイ・チン、ラン・シャン/1993・台湾・米) ![]() |
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