FC2ブログ
映画が大好きです。いつまでも青臭い映画好きでいたい。 記事は基本的にネタバレありです by 真紅   ★劇場鑑賞した映画はインスタにアップしています@ruby_red66

子は親を思い、親は子を思う~『ウェディング・バンケット』

20061017135810.jpg

 台湾出身でNYに暮らすウェイトンウィンストン・チャオ)は、不動産業で成功
し、恋人サイモンミッチェル・リキテンシュタイン)と同居している。彼の悩みは、
孫の顔が見たい故郷の両親が送ってくるお見合い話と、家賃を滞納する不法移民
ウェイウェイメイ・チン)。両親を安心させるため、グリーンカードが欲しいウェイ
ウェイとの偽装結婚を提案するサイモンに、渋々同意するウェイトン。台湾からやっ
てきた両親の意向で豪華な結婚披露宴が開かれ、初夜を迎えた二人は・・。
 アン・リーの長編第二作。父親役には『推手』のラン・シャンが続けてキャストされ、
父親三部作」の第二作にあたる本作は、ベルリン映画祭において金熊賞(グランプリ)
を受賞している。

★以下ネタバレします★

 結婚披露宴から二次会までの展開はウェルメイド・コメディといった趣で、披露宴
に疲れたウェイトンとウェイウェイの元に友人達が押し寄せる場面などは、もう手を叩
いて大笑いしてしまった。しかし、友人達が去り、ウェイウェイがウェイトンに「解放
してあげる
」と言うあたりから、物語は違った顔を見せ始める。

 ウェイトンとサイモンが二人で暮らしていたアパートに、ウェイウェイと両親を加え
奇妙な同居生活は、ウェイトンの(ラン・シャン)の体調不良から長引き、ウェイ
トンとサイモンの間は少しずつすれ違ってゆく。そこにウェイウェイの妊娠が発覚し、
英語で言い争うウェイトンとサイモン。おろおろするばかりの母と、震えながら深呼吸
する父
・・。

 心臓発作で入院した父の元へ駆け付け、ウェイトンは母(グア・アーレイ)に、自分
同性愛者であること、本当の恋人はサイモンであることを初めて打ち明ける。「同性
愛者は、心を通わせる相手を見つけることは難しい。サイモンは僕の宝だ
」母を騙し続
けたことを詫びつつも、自分の正直な胸の内をカミングアウトする彼の告白に胸が詰ま
る。息子を受け入れられない母の戸惑い。父のリハビリにつきそい、手料理でもてなす
サイモンの、細やかな心配りと献身。彼に誕生祝を送り、「見て、(英語を)聞いて、
わかった」「君も私の息子だ」と言う父の懐の深さ息子への愛情の深さに涙がこぼれ
る。ウェイトンも、父も、お互いを思いやり秘密を守ろうとし、真実は語り合わないま
ま迎えた別れの日。一人息子を食べてしまいたいと思うほど溺愛している母よりも、こ
の父の威厳に満ちた愛情表現に、誰もが心打たれるだろう。

 結婚(披露宴)という人生最大のイベントに向かうそれぞれの心の揺れも細かく描か
れ、登場人物それぞれをやさしく、温かい視線で包むようなアン・リーの演出が心地よ
い。豪華絢爛な結婚披露宴の場面では、セリフ付きで監督自らカメオ出演しているのに
も注目だ。

 台湾(中国)の伝統的な家族観を描きながら、新しい家族の形を提示した本作。古
くても、新しくても、お互いを思いやる親子の姿は変わらない。笑って、泣いて、間
違いなく温かい気持ちになれる佳作大好きです

(『ウェディング・バンケット』監督:アン・リー/主演:ウィンストン・チャオ、
  ミッチェル・リキテンシュタイン、メイ・チン、ラン・シャン/1993・台湾・米)
関連記事
スポンサーサイト



テーマ : 心に残る映画
ジャンル : 映画

2006-10-17 : BD/DVD/WOWOW/AmazonPrime/Netflix : コメント : 10 : トラックバック : 3
Pagetop
飲食男女、そして家族~『恋人たちの食卓』 «  ホーム  » 名匠アン・リーの原点~『推手』
trackback

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
ウェディング・バンケット
 彼と彼女と彼の、しあわせな結婚
2006-10-17 21:04 : 悠雅的生活
ウェディング・バンケット
1993年 台湾・アメリカ 1993年公開 評価:★★★★☆ 原題:喜宴/THE
2007-08-17 13:45 : 銀の森のゴブリン
ウエディング・バンケット
ウエディング・バンケットは、ゲイの青年の偽装結婚を巡るお話。ブロークバック・マウンテンのアン・リー監督が脚本も手がけ,監督二作目にして、しみじみとした感動で世界中の称賛を集めた珠玉の作品。主人公のウェイトンはアメリカ在住の台湾の青年実業家。ゲイであるこ...
2007-12-08 11:12 : 虎猫の気まぐれシネマ日記
Pagetop
コメントの投稿
非公開コメント

真紅さん、こんばんは。
いい作品でしたよねぇ。何て言ったらいちばん巧く表現できるのか・・・
アン・リー監督作品は、胸の奥深くまで沁み渡り、ずっと心を震わせられるのに、
何と表現したらいいのか、よくわからないものばかりです。
共通して言えるのは、やはり「父親」の存在ですね。
それが、この監督さんの作品を深くしてくれるんですね。

そうそう。はっきりそれとわかるカメオ出演、
何だかかわいくて笑ってしまいました。
2006-10-17 21:13 : 悠雅 URL : 編集
悠雅さま、こんにちは。コメントとTBをありがとうございます。
「父親三部作」、全て観ましたが私はこの作品が一番好きでした。
アン・リーの演技が観られたから・・ではなくて(笑)、感情的に一番揺さぶられた作品だったと思うからです。
アン・リーコレクションのDVD-BOX、買えばよかったかな~と思ったり・・。でも先立つものが(泣)
レンタルってありがたいですよね。旧作扱いのこの作品のDVDを見つけたとき、うれしくて小さく叫んでしまいました。
悠雅さまはアン・リーの作品、全てご覧になったのですよね~。私も、ゆっくりですが後を追いますので!
今後ともよろしくお願いします。ではでは、ありがとうございました。
2006-10-17 21:55 : 真紅 URL : 編集
真紅さま、こんばんは。
うわぁ、私もまた再見したくなってしまいました。
お父さん英語がわかったのか!とわかるシーンよみがえりました。
「みて、聞いてわかった」「君も私の息子だ」
本当に琴線に触れるシーンでしたね。でも大昔に見たっきりなので、細かなところは全部忘れてしまっています。
それに、監督がカメオ出演されていたなんて!!ぜひ借りて見直してみます♪
監督って、本当に昔から監督なんですねぇ。
2006-10-17 23:12 : 武田 URL : 編集
武田さま、こんにちは。コメントありがとうございます。
毎日お疲れさまです。たまには爆睡なさって下さいね(笑)。
さて。『ウェディング・バンケット』、本当に大好きな作品でした。
監督の演技が・・じゃなくて(笑)、登場人物ひとりひとりが愛おしくなるような。。
この機会に、是非再見なさって下さい。レンタルが旧作扱いなのがものっ凄いお得感ですよ。
それから村上春樹が褒めていた初期の作品とは、『推手』じゃなくて『恋人たちの食卓』です。まぎらわしくてすみません。
ではでは、またいらして下さいね。ありがとうございました。
2006-10-17 23:27 : 真紅 URL : 編集
コメントありがとうございました!
いいですねぇ~♪
これもBBMの時と同じように、あとからジワリと津波のように押し寄せてくる感動がありました。
あのお父さん、素晴らしいですねぇ~
母親とちがって、父親の愛情というものは実に言葉が少なくて広い!
ほんと、良かったです~♪

実は、私もTBチャレンジしたのですが・・残念ながら今回はダメでした(涙)
またうまくいくときに試してみますね♪
2007-01-10 21:20 : D URL : 編集
Dさま、こんにちは。コメントありがとうございます。
この作品、私もずっと観たくて、DVD化されて本当にうれしかったです。
皆がそれぞれにお互いを思い合って、すれ違いながらも理解していく。
あのお父さんは最高ですよね・・。
本当にいい作品でした。感動を共有できてうれしいです。
TB、お手数かけました。私もめげずにまたトライしてみますね!
2007-01-10 21:38 : 真紅 URL : 編集
真紅さま こんにちわ
最近無性に観たくなって,再見したら(DVD持ってます)
やはりしみじみと心に迫る作品でした。
リー監督,ゲイの気持ちがどうしてこうもよくわかるのかしら?
ゲイは心通わす相手と出逢うのが難しい・・・という台詞では,イニスとジャックを思い浮かべて切なくなりました。
サイモンの優しさが個人的には一番ときめきました。
リー監督,カメオ出演だなんて,心憎いことやってますね。
結構辛辣な台詞を言ったりして・・・。それに,若い!
2007-12-08 11:19 : なな URL : 編集
ななさま、こんにちは。コメント&TBをありがとうございます。
DVDをお持ちなのですね~!私もこの映画大好きです。
監督は、とても身近にゲイの方がいらっしゃるのではないかしら・・と思います。
ななさまの「番外編」の記事で「ゲイネス」という言葉を知ったのですが、監督は確かにそういう感性の持ち主ですよね。
私もあのウェイトンの告白の場面では胸が詰まりました。
一番ときめいたのはお父さんかな(笑)。
今や世界的巨匠の監督の、初期の傑作だと思います!
ではでは、後ほどお伺いしますね。
2007-12-08 12:54 : 真紅 URL : 編集
真紅さん、ちょっと立ち寄りました。
これは好きな作品で何度見たか。
私、お気に入りはサイモンでね、彼ってもともと役者じゃないみたいね。正真正銘のゲイ。お父さんがアメリカポップアート界の大御所らしい。
彼の追っかけでアルトマンのマイナー作品「ストリーマーズ若き兵士たちの物語」なんてのも見たくらい(笑)
ちょっと目に付いたのでお邪魔。
2008-04-01 19:48 : シュエット URL : 編集
シュエットさま、コメントありがとうございます。
この映画、アン・リーの初期の傑作ですね! 私も大好きです。
監督もカメオ出演してらして、若い~と思いました。
今月BS2で放映されるようで、DVDを持っていないので永久保存版に録画しようと思っています!
サイモン役は、当初アジア人をキャストしていたけれど、映画的にアクセントをつけるために金髪・碧眼の彼が演じたそうですね。
やさしいサイモン、私も好きでした。
ではでは、またです~。
2008-04-02 07:21 : 真紅 URL : 編集
Pagetop
« next  ホーム  prev »

What's New?

真紅

Author:真紅
 Cor Cordium 
★劇場鑑賞した映画の感想はインスタにアップしています@ruby_red66

Archives

Search this site

Thank You!