悪魔は何を企てたのか? ~『藍宇』#2
 映画藍宇のDVDタイトルって、実は『情熱の嵐~LAN YU~』なんですよね。
なんだか脱力。徹底的に的外れというか、ウケ狙いだったら完璧にスベってる。
「藍宇」っていう「悔しいほど魅惑的な名前」が全てなのに。このタイトルをつけた
人って、本当にこの映画を観ているんだろうか? 「嵐は去った」はずなんだけど。

 DVDのカバー写真も、何故か黒い下着姿の林静平が登場。三角関係を暗示した
かったのだろうか。。

      藍宇#2

 その林静平について、捍東は原作でこう述懐する。「林静平こそが自分を誘
惑したサタンだと思っていた」
と。そして「その悪魔は俺自身だった」とも。

 初見のときから、妙に気になる人物がいる。劉征。捍東の腹心の部下であり、
映画の中では唯一、友人らしき人物として描かれている。そして捍東と藍宇
関係の節目には、必ず彼のがある。

 プールバーでの出逢い。「王に紹介する」と言いつつ、劉征は捍東が藍宇に
興味を示すこと
を最初からわかっていた。天安門事件の日、身重の妻を案じな
がら、「自分には彼女しかいない」と捍東に打ち明ける。愛する者を永遠に失う
ことへの恐れ
。この感情は捍東に伝染し、確実にこの夜の彼の背中を押して
いる。

 「才媛」林静平を捍東に紹介したのも劉征。捍東が逮捕されるときも、釈放
れたときも、会社を再建するときにも、常に劉征は捍東に寄り添う。そんな彼こ
そを「サタン」と呼んでしまうのは過剰反応かもしれないけれど、少なくとも捍東
と藍宇の関係は、彼が仕組んだことだと言えなくはない。

 運命必然たらしめる化学変化。劉征はその触媒であり、伝導体だったのか
もしれない。捍東も、藍宇も、林静平も、劉征という一人の人物に踊らされてい
たのだろうか。そして彼らに魅せられた私は、こうしていつまでも踊り続けてい
る・・・。
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[2010/11/15 09:06] | 藍宇熱 | トラックバック(1) | コメント(4) |
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コメント
おはようございます。
これから劉燁ファンのお友達と『スプリング・フィーバー』(『パープル・バタフライ』のロウ・イエ監督作品)鑑賞に出掛けるところでございます。

どなたの命名か知りませんがこの邦題、世代的に秀樹の某楽曲がよぎってものすごくはづかしいです。この作品を語るときに「『情熱の嵐』がさあ」と口にすることはこの先も絶えて無いでしょう。
『藍宇』だとばっか思い込んで渋谷TSUTAYAで一生懸命「ら」のところを探して、
「な・無い! なんで無いの……?」
と涙目になったあの日が、いまとなっては懐かしうございます(笑)。


劉征の存在の奇妙さについては、自分も映画ヘヴィロテするにつれて気になり始めました。
『北京故事』を翻訳した「九月」こと浦川とめさんもご自身のサイトで、真紅さんとまったく同じ疑問を呈され、以下のように考察しておられました。

ttp://www.netlaputa.ne.jp/~urakawat/lanyu/zakkan/zakkan01.html
(from 「Lan Yu always on my Mind」)

やっぱこの作品て、掘っていけば掘っていくほどに、いろんなことが気になってしまうんですよねえ……。

ちなみに私は、「劉征=關錦鵬」というふうに読んでしまいます。やはり監督こそが映画そのものに対して神の目を持つように思います。
「老朋友」である捍東と劉征。映画にも原作にも描かれない彼らの学生時代(=彼らが藍宇の世代だったころ)、遡ればそこにこそ、劉征のあの振る舞いの謎を解く鍵があるような気がしてならないのですが……そのへんになると既に妄想の域ですが(笑)。
[2010/11/15 09:32] URL | レッド #dTuPVub2 [ 編集 ]
レッドさん、こんばんは~。コメントありがとうございます!
『スプリング・フィーバー』いいですね♪ 堪能されましたでしょうか。大阪では20日からの上映です。
私も絶対に観たいと思っているのですが、夕方1回のみの上映のようで、微妙・・・^^;。
『天安門、恋人たち』も観逃したんですよね。。あ、『紫胡蝶』は近々観る予定です~。

この邦題、ホンマ恥ずかし過ぎですよね(爆)。
しかし、私はアジア映画の棚をブラついていて、背表紙(?)にあったこの邦題で「あ!」と思ったんですよね。
脳内のどこかにインプットされてたのかなぁ。君が望むなら♪って←違

で、浦川さんのサイト、ご紹介ありがとうございました。
もう、読み耽ってしまいました。しかし、どうして胡軍様が「OSSAN」なわけ?(爆笑)。
カーリンの「リウ・イエは確かにトニー・レオンに似ているわ」発言にビックリです!
あの仔犬系ウルウルまなこが似ているんですよね、やっぱり。。

何年も前から熱烈なファンがたくさんいらっしゃる作品ですから、もう何を書いても既出なのかもしれませんね。
しかしせっかく「藍宇熱」カテゴリも作ったことですし、これからも気になることは書いていきたいです。
あと浦川さんも書かれていたのですが、私も捍東と藍宇の大学ってどこなんだろう?ってすごく気になっていたんですよ。
「もしかして北京大学?」って(でもこれって東京には東大しかない、ってくらいのレベルの思考で恥ずかし過ぎるんですが)。
でも捍東は北京大学みたいですね。。す、すごい、のか?

「劉征=關錦鵬」、なるほど~。。浦川さんは「狂言回し」って書かれてましたけど、やっぱり彼が黒幕なんですよね。
学生時代かぁ~、劉征は実は捍東ラブだった、とか?!
いかんいかん、私脳味噌が腐ってきたかもです・・・(笑)。
[2010/11/15 19:24] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
こんにちは、ふたたびお邪魔します。

真紅さんのこちらの記事に触発され&いくつかヒントをいただいて、ちょっと劉征をネタにしてみました。ほんとは

>劉征は実は捍東ラブだった、とか?!

について愉しく突っ込んでみたかったのですけど(笑)さすがに紙幅が尽き。
このテーマについては改めて掘ってみたいと思っておりますが、いや、でも、間違い無くラブだったと確信しています。

劉征の嫁「詩玲」はオリジナルのシナリオには登場するものの、映画ではその場面が悉くカットされ(意図的に?)、
「詩玲という女ははたして本当に存在しているのか?」
「詩玲とは一体何者なのか?」
という疑問だけが妙に頭に残ります。
姿の見えない詩玲こそが、捍東と劉征の関係に深く絡んでいるように思えるのですが……。

てな感じで『藍宇』について考えたり書いたりするのはやっぱりほんとに愉しいですねえ(笑)。
冬至がだんだん近づいてきますと、寒さと共にますます思いは深くなってしまうようです。
[2010/12/07 12:32] URL | レッド #dTuPVub2 [ 編集 ]
レッドさん、こんばんは! ふたたびのコメント&TBありがとうございます。
おお~、「影の黒幕」劉征さんネタですか♪ 熱烈歓迎でございます。

そうなんです、私も映画観たとき「シーリンって出てこないのか?」と思いましたわ。
劉征と捍東の話題には上りますもんね。。
捍東ったら「シーリンは運がいい」とまで言ってますから、昔馴染みという印象を受けますね。
詩玲がこの二人の関係に深く絡んでいる、、、う~ん、新説来ましたね!!
捍東のことですから詩玲にも当然のように手を出していて、劉征に押し付けた、とか?
劉征は捍東への愛ゆえに、それを受け入れた、とか、、←妄想し過ぎ(笑)

そうなんです、もうすぐ運命の「冬至」ですね~。
私がブログ始めたのって5年前の冬至の日なんです。
う~ん、これも一つの縁だわ。。ぐふふ
後ほど「新説」拝読に伺います!
[2010/12/07 23:37] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
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他有&#20004;个弟弟。──『藍宇』其の拾。
【方便 ほう・べん】 1.仏語。仏教で、下根(げこん)の衆生を真の教えに導くために用いる便宜的な手段。また、その手段を用いること。 2.目的のために用いられる一時の手段。また、その手段を用いること。てだて。たばかり。計略。 (精選版 日本国語大辞典)...
[2010/12/07 12:22] 蛇果─hebiichigo─
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いつまでも青臭い映画好きでいたい。愛おしい映画と、忘れがたき本たち。ときどきカフェとか。 記事は基本的にネタバレあり。 どうぞご贔屓に♪

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