fc2ブログ
映画が大好きです。いつまでも青臭い映画好きでいたい。 記事は基本的にネタバレありです by 真紅 (言葉を探す人)   ★劇場鑑賞した映画は Instagram にアップしています @ruby_red66 ★Stay Blue

スプーン一杯の孤独~『スープ・オペラ』

スープ・オペラ

 35歳のルイ(坂井真紀)は大学図書館に勤め、叔母のトバちゃん(加賀まりこ)
二人、古い日本家屋に暮らす独身女性。何の憂いも、不安もない平和な日々を過
ごしていたルイだったが、ある日突然、トバちゃんが結婚して家を出て行ってしまっ
た・・・。

 阿川佐和子の同名小説を原作とする、ファンタジックかつシュールなドラマ。疑似
家族の温もり、30代半ばの独身女性の孤独、それを癒す「食」の尊さを、やさしい
視線
で描いた佳作。ああ、またまた近頃よくある「おいしいもので癒されましょう」的
な映画か~、と思っていたら、、これはプレノンアッシュ配給じゃありませんか! 
これは観に行かねば、と思ってしまった。篠原弘子さんには、大恩がありますから
ね。素敵な作品でしたよ。是非、劇場でご覧下さい。

 蔦の絡まるメリー・ゴーランドの前に、一人のバンドネオン奏者が現れる。この、
ちょっと風変わりなオープニングから、「あ、好き」と思えた。

スープ・オペラ2

 両親を知らずに育ったルイは、やや天然ボケ、不思議ちゃんな雰囲気の女性。
清潔感のある(色気がないとも言う)坂井真紀がとってもハマっている。彼女の周
りの人たち、親友の編集者(鈴木砂羽)、館長(塩見三省)、タロット占いが大好き
な教授(菅原大吉)は、みんな一癖も二癖もある愉快な人々。いつも汗だくのトバ
ちゃんの夫(萩原聖人)や、愛欲作家(平泉成)もみんなみんな、キャラが立って
いて楽しい。鈴木砂羽っていいですね、もう、ムチムチで(笑)。加賀まりこがすっ
かりおばあちゃんになっていて、最近こういう役って余貴美子の独壇場だな、と思
っていたらやっぱり余さん、登場するんだもの~、ハハハ。。

 そして、アロハにデッキシューズ不良老年、自称画家のトニーさん。お年を
召されても、鍛えてるな~、色気あるな~、藤竜也。こういう自由人って憧れます
ね。

スープ・オペラ3

 トニーさんと康介(西島隆弘)との思わぬ三人暮らしの顛末に、ルイの「父親」
を巡る謎
が侵入して、物語は意外な方向に。再び一人になったルイの、最後の
「夢」の場面が、綺麗だったけどちょっと冗長だったかな。

 ルイの家の内装(ステンドグラスがはめ込んである窓、タイルのお風呂や台所)
がとっても素敵だった。古めかしいけど清潔に保たれていて、康介じゃなくても
住みたくなる。調度品や食器も、思わず目を奪われる。朽ち果てた遊園地も、
風情があってイイ。

 金色に輝く透明なスープ。薄味だけど、実はいろんな滋養が含まれてる。派
手さはないけれど、一口飲めば明日もきっと大丈夫、と思えそう。そんな映画
です。

 ( 『スープ・オペラ』 監督:瀧本智行/原作:阿川佐和子/2010・日本/
       企画・製作:篠原弘子/主演:坂井真紀、藤竜也、西島隆弘、加賀まりこ
関連記事
スポンサーサイト



テーマ : 拾いモンの映画
ジャンル : 映画

2010-10-04 : 映画 : コメント : 6 : トラックバック : 10
Pagetop
映画館の出身です!~『もぎりよ今夜も有難う』 «  ホーム  » 調和と解放~『食べて、祈って、恋をして』
trackback

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
スープ・オペラ
35歳独身のルイ(坂井真紀)は叔母のトバちゃん(加賀まりこ)と2人暮らし。 これからもずっと2人で暮らしていくと漠然と考えていたのに、 突然トバちゃんが結婚して家を出ていくことに。 古い家に1人残されたルイは呆然とするやら淋しいやら。 しかしひょんなことか
2010-10-04 21:59 : 龍眼日記 Longan Diary
「スープ・オペラ」
「スープ・オペラ」新宿ピカデリーで観賞 原作は阿川佐和子。 作風からして監督さんは女性かと思いましたがどうやら男性だそうです。 のほほんとした癒し系の作品。 ちょっとファンタジーみたいな雰囲気は朽ちたメリーゴーラウンドが上手に使われているからかもしれ...
2010-10-05 00:44 : てんびんthe LIFE
「スープ・オペラ」
「スープ・オペラ」新宿ピカデリーで観賞 原作は阿川佐和子。 作風からして監督さんは女性かと思いましたがどうやら男性だそうです。 のほほんとした癒し系の作品。 ちょっとファンタジーみたいな雰囲気は朽ちたメリーゴーラウンドが上手に使われているからかもしれ...
2010-10-05 00:44 : てんびんthe LIFE
スープ・オペラ
阿川佐和子の同名小説を『ノン子36歳 (家事手伝い)』の坂井真紀主演で 映画化したハートウォーミング・ドラマ。 ひょんなことから2人の男性と共同生活を始めた独身女性が、おいしい スープがとりもつ奇妙にして温かな関係の中でしなやかに生きていく姿を、 メルヘン…
2010-10-05 01:56 : だらだら無気力ブログ
スープ・オペラ
恋しい人が、 帰ってくる。 製作年度 2010年 上映時間 119分 原作 阿川佐和子 監督 瀧本智行 音楽 稲本響 出演 坂井真紀/西島隆弘/加賀まりこ/藤竜也/平泉成/鈴木砂羽/ ...
2010-10-20 23:24 : to Heart
スープ・オペラ
 『スープ・オペラ』を銀座シネスイッチで見てきました。 (1)物語の主人公はルイ(坂井真紀)。叔母の
2010-11-11 06:13 : 映画的・絵画的・音楽的
スープ・オペラ
スープ・オペラ'10:日本◆監督:瀧本智行「イキガミ」「犯人に告ぐ」◆出演:坂井真紀、西島隆弘、加賀まりこ、藤竜也、平泉成、荻原聖人、鈴木砂羽、田山涼成、余貴美子、塩見三省、草村礼子、嶋田久作◆STORY◆独身で35歳のルイは、女手一つで育ててくれた叔母のトバちゃ
2010-11-18 15:20 : C'est joli~ここちいい毎日を~
■映画『スープ・オペラ』
ゆっくり煮込んだおいしい手作りスープの乗った食卓を囲んで、60代男性・30代女性・20代男性が疑似家族を形成していく映画『スープ・オペラ』。 時代を超越したような古めかしい家のゆっくりした雰囲気や、シンプルでおいしそうなお料理たち、つつましい登場人物たちの...
2010-12-23 00:00 : Viva La Vida! <ライターCheese の映画やもろもろ>
スープ・オペラ
あたたかな視線で描かれた作品。「愛のむきだし」の西島隆弘さんが出演しています。ゆっくりと淡々とストーリーは進んでいきます。「住もうか」「えっ!?」出会ったばかりの3人はこうして一緒に住むことになります。 スープというのは色んな調味料や野菜を煮込んで、や...
2011-12-27 08:31 : いやいやえん
『スープ・オペラ』
スープ・オペラ 叔母が結婚し一人暮らしになった司書の元に 自称画家と編集バイトの二人が居候... 【個人評価:★★☆ (2.5P)】 (自宅鑑賞) 原作:阿川佐和子
2012-01-30 22:46 : cinema-days 映画な日々
Pagetop
コメントの投稿
非公開コメント

余さん、キョーレツでしたね!
真紅さん、こんばんは。
この作品ファンタジーとリアリティの配合がものすごく絶妙だった気がします。
あのメリーゴーランドの前での楽団の演奏、よかったですね。
お蕎麦も食べて。(笑)
登場人物は誰も彼もヒトクセもフタクセもあるんだけれど、
それぞれの役者さんが思い切り楽しみながら演じているのがこちらにも伝わってくる
微笑ましい作品でした。
笑いながら泣く康介くんはまるで竹中直人氏のようでした~。
(あ、あれは怒りながら笑うだっけ)
2010-10-04 22:05 : sabunori URL : 編集
こんばんは

いつもTBありがとうございます。
なかなかお返しできず不義理しています。

久しぶりに暖かい作品を見た気がしました。
刺激的なものが多いなかで、ふんわりとした人物たちがそれぞれ個性があって素敵でした。
心からみてよかったなあと思いました。
2010-10-05 00:49 : chikat URL : 編集
sabunoriさん、こんにちは~。コメント&TBありがとうございます。
冒頭から、めっちゃ好きなタイプの映画でした。
バンドネオン、クラリネット、バイオリンと一人ずつ増えて行くんですよね~。
引っ越し蕎麦を打つトニーさん、、いいわあ~。
余さん大好きなんですけど、やっぱり出た~、って感じでした(笑)。
役者さんの雰囲気が本当によかったですね。皆さんデフォルメされた役を楽しんでいる感じでした。
竹中直人、、確かに! 思いつかなかった~、爆笑!!
原作も読んでみたいと思っています。
2010-10-05 20:15 : 真紅 URL : 編集
chikatさん、こんにちは。こちらこそコメント&TBありがとうございます~。
いえいえ、こちらこそいつもTB送らせていただきっぱなしですみません!

私も、予定外の鑑賞だったのですがとても満足しました。
本当に素朴なスープのような映画でしたね~。
風変わりな人たちばかりでしたが、皆愛しかったです。
2010-10-05 20:17 : 真紅 URL : 編集
e-414でしょっでしょっっe-349e-414
でだしからバンドネオン
(♥→ܫ←)ノ♫ゎぁぃ♫ヽ(→ܫ←♥)って来たでしょ

ダダダッバリバリバリッアクションに(楽しいけど)
ん~リセットしたいな~と思って観たの
坂井真紀サン。ぴったりだった 
ほんわーかムードの ほわわん感
周囲のメンバー達のクセモノが良いe-390
愛欲作家(平泉成)e-420だもの
残念だったのは
調理の音が聞こえ無い・・・
スープがクツクツいう音が欲しかった。
素敵な鶏がらスープなのにe-282
湯気が・・・ほとんど無い
感覚的な「食べたくなる度」は少ないよ

幸せの価値観は人それぞれ「自分の中に」
孤独は自分の糧
私の母は、私に
人は群れで生きているのではなく
繋がって生きている
と子供の頃に話してくれて
私はそうやって生きているのよね

2010-10-10 19:02 : q URL : 編集
qさん、こちらにもコメントありがとうございます。
そう、あの出だしから「掴みはオッケー!!」みたいな(笑)。
おお~、これはなかなかいけそうだな~って、うれしくなりましたよ。

坂井真紀ちゃん、昔から全然変わらないですね~。
ルイにピッタリでした。
そして確かに、スープの「おいしそう感」はあまり出てなかったですね。
湯気、、なるほど。でもあの引っ越し蕎麦の薬味やらノリやらを回す場面はよかったですよ~。
ゴマは? ゴマはないの? と一人突っ込んでおりました(あったっけ?)。

孤独は、自分の糧、か~。
素敵なお母様ですね。
なんか『アバウト・ア・ボーイ』のヒュー様のモノローグを思い出しました。
2010-10-10 21:00 : 真紅 URL : 編集
Pagetop
« next  ホーム  prev »

What's New?

真紅

Author:真紅
 Cor Cordium 
★劇場鑑賞した映画の感想はインスタにアップしています@ruby_red66

Archives

Search this site

Thank You!