最強の夫婦~『ストーリー・セラー』

プレゼント包装された美しい装丁のこの本は、ライトノベル作家・有川浩さん
の新作。「面白い物語を売る」というコンセプトで作られたアンソロジーに提供
された「Side:A」と、単行本化にあたり書き下ろされた「Side:B」の二篇から成
る。どちらも夫婦の物語で、作家の妻と彼女を支える献身的な夫、という設定。
有川さんは以前NHKの『トップランナー』に出演したとき、自ら夫のことを「あ
の人私の外付けハードディスクなんですよ」とノロケていた。本作を読みながら、
この作品は有川さん夫婦がモデルなのでは、、と誰もが思うのではないだろうか。
最愛の伴侶の死、というショッキングな出来事はフィクションであるとしても(いや、
絶対にそうだと願うが)、主人公の「彼女」が夫に向ける感謝のまなざしや、「彼」
が妻を思う愛の深さは、トゥルー・ストーリーなんじゃないかと思う。
「書ける側」、翼を持って飛ぶことができたものの心労や払った代償もリアルに
描かれていて、有名税とはこれほど過酷なものなのかと胸が痛む。
有川さん、逆夢は起こせましたか。
( 『ストーリー・セラー』 有川浩・著/新潮社・2010)
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trackback
以前読んだアンソロジー「Story Seller1」
に収録されていた有川さんの作品「ストーリー・セラー」、それに新たに書き下ろしのSideBを加えた作品です。
アンソロジーで読んだ時も、ちょっと有川さんぽくないなーと思ったり、暗めのテイストでそんなに好
2010-09-17 11:08 :
日々のつぶやき