ボーイズ・ビー・アンビシャス~『おれのおばさん』
おれのおばさん

 「おれ」高見陽介は、母親の姉の「恵子おばさん」が運営する、札幌児童養護
施設
で暮らしていた。中学受験を経て、東京の名門私立校に通っていた陽介だっ
たが、銀行員の父が横領罪で逮捕されて一家は離散、絶縁状態だった「おばさん」
の元へ預けられたのだった。

 14歳の多感な少年が、わけありの仲間たちと強烈な押し出しの「おばさん」とと
もに暮らしながら、自らの人生を模索してゆく青春小説。こんなにも読後感がよ
く、一気に読ませる「爽やかな」物語は珍しいかも。

 温室育ちの少年が、規格外かつ破天荒でありながらも人間味溢れる「おばさん」
背中を通して、一筋縄ではいかない人間関係や社会性を学んでゆく。「勉強が
できる」
そのことに自らのアイデンティティを見出し、環境が激変しても、勉強する
ことだけは決して手放さない
、陽介の努力に感動する。身を粉にして、身寄りのな
い子どもたちのために献身する「おばさん」の姿にも。ここには、告白ヘヴン
に描かれた陰湿な「14歳」とは真逆の「清々しさ」がある。

 「卓也と並んで恵子おばさんを見つめながら、おれもおばさんのように全力で生
 きたいと思った。どこでなにをするのかはわからない。というか、おれはなんにだ
 ってなれる気がする。きっとおばさんだってそう思って医学部をめざし、役者に
 なって、芝居にのめりこんだのだ。だからおれも自分がこれだと思う仕事に全力
 で取り組んで、その結果どれほどみじめな目にあおうとも、おばさんや卓也に胸
 を張れるだけの生き方をしたい。」


 がんばれ、14歳の子どもたち! 私も彼らを信じ、見守り続ける「おばさん」であ
りたい
な。

 ( 『おれのおばさん』 佐川光晴・著/集英社・2010)
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[2010/08/04 13:34] | 読書 | トラックバック(1) | コメント(2) |
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コメント
初めまして
「永遠の僕たち」のトラバからこちらにお邪魔しました
佐川さん、本作の続編も出ましたね
近々読みたいと思っています

本や映画など、色々と参考にさせてもらいたいと思いブックマークさせて頂きました
よろしくお願いします
[2012/01/05 13:00] URL | こに #- [ 編集 ]
こにさん、初めまして! コメント&TBありがとうございます。
立ち寄っていただき感謝です。本と映画の感想を好き勝手に綴っている僻地ブログですが、よろしければまた遊びにいらして下さい。
こちらこそどうぞよろしくお願いいたします。

さて、続編は昨年読みました。なかなか面白かったですよ♪
おばさんや、皆それぞれの「その後」です。是非読んでみて下さいね。
[2012/01/05 13:31] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
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佐川光晴「おれのおばさん」
集英社2010年6月 第1刷発行2010年9月 第2刷発行187頁 「家族芝居」の数年後東京の有名私立中学に通うおれおれの生活は、父親が会社のお金の使い込みで逮捕されたことで一変する一人息子のおれは母の姉が経営する北海道の養護施設に預けられることになる母親の姉とい...
[2012/01/05 12:56] お花と読書と散歩、映画も好き
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いつまでも青臭い映画好きでいたい。愛おしい映画と、忘れがたき本たち。ときどきカフェとか。 記事は基本的にネタバレあり。 どうぞご贔屓に♪

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