夢見ないことを~『あられもない祈り』
あられもない祈り

 長年のパートナーがいる「あなた」に、「付き合って下さい」と言われた「私」
一度は首を横に振ったはず、だったのに・・・。

 島本理生の新作は、既婚男性とOLとの、いわゆる「不倫」を「真っすぐに」描い
ている。未読だが全国紙でも特集が組まれたらしいし、作家や映画監督による、
読書欲を刺激する短評に、期待いっぱいで読み始めた。

 しかし。。これはがっかり、の一言ナラタージュ以来、ずっと島本理生を
応援し、読み続けてきただけに、落胆は大きかった。

 恋愛、誰かを好きになったり愛し合ったりすること、って、もっともっと、とき
めきや歓びや、高揚感があるものじゃないだろうか? たとえそれが「許され
ざる」もの
であったとしても。私には、この物語の登場人物たちが持つ「愛」、
もっと言えば「感情」が、全く伝わってこなかった。過去のトラウマや暴力は、
島本理生が一貫して描いているテーマ。だけれど本作では、それらがまるで
「自己憐憫の結晶」だとしか思えないのだ。

 島本理生は著者コメントとして、この物語を書いている間に自分が感じた
「熱」が読者にも伝われば、と語っている。そして残念ながら、その熱は全く、
私には伝わってこないのだった。

 ( 『あられもない祈り』 島本理生・著/河出書房新社・2010)
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[2010/07/03 00:00] | 読書 | トラックバック(1) | コメント(0) |
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「あられもない祈り」島本理生
凄まじい緊迫感と密度に圧倒され息をのんだ。 島本さんの地平はどこまで広がるのだろう。――山本文緒 火照った躰の内側から滲み出す愛の不毛と孤独は、私を虜にした。――行定勲(
[2013/03/26 16:35] 粋な提案
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