永遠の野バラ~『パーマネント野ばら』 #2

なんだか書き足りない気がして、『パーマネント野ばら』ふたたび。
実家に出戻っているなおこを、はじめのうちは羨ましいくらいの気持ちで見つ
めていた。受け入れてくれる、帰れる実家があるなんて幸せなことよ、と。
なおこの娘のももは「お父さん」を慕っている。それでも離婚したなおこを、母
も、故郷の町の人々も、辛辣な冗談を飛ばしながらも温かく受け入れているの
だから。
亭主に浮気されたり、殴られたり、お金を入れてもらえなかったりして、辛い
思いをしている女は多いと思う。子どもを抱えて、どこにも行くところがない女
が。
映画を観終わり、帰宅してからすぐに原作を読み返した。ともちゃんの子ども
たちが映画に出てこないな、と思っていたのだけれど、私は大きな「聴き間違い」
をしていたのだ。
「あんた、息子何人?」「二人」「じゃあ二個、備えとき」。私にはこう聴こえたこの
会話、実際にはこうだ。
「あんた、水子何人?」「二人」「じゃあ二個、供えとき」。これが正解。なんともブ
ラックな、サイバラ節全開、なのだった。
江口洋介は、素敵だったよね。。ロクでもない、「残りカス」みたいな男たちの中
で、異質な雰囲気を醸し出す。あんな白衣着た理科教師がいたら、もう授業どこ
ろじゃないって(笑)。そんなカシマに「あまがみ」するなおこ。誰にも言わないでお
こう、って二人で決めても、みんな知っていたんだろうなぁ、二人の仲を。。大仏
パンチの夏木マリは、ちょっともったいない気もしたけれど。あれくらい抑えてくれ
たほうが、「見守る母」らしいのかも。
しかしこの映画の白眉はやはり、ラスト近くのあの劇的な大転換。それまでの
ストーリーが全て引っくり返るあのシーンには、やられた。菅野美穂をはじめと
する女優たちの演技、寄せては返す波、一握の砂、沈む夕陽。傑作だというつ
もりはないし、穴が無い映画だと思っているわけでもない。でも、本当に心に沁
みる、やさしくて美しい映画だったと思う。今年のマイ・ベストかも。

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真紅さん、観てきました。
「男性客が一人もいなかった」と書いてあったので少々不安でしたが、東京・渋谷の映画館では男性客が3割ほどいました。
男性が観ても、心に沁みるいい映画でした。
真紅さん推薦がなければ、完全に見逃していました。
「男性客が一人もいなかった」と書いてあったので少々不安でしたが、東京・渋谷の映画館では男性客が3割ほどいました。
男性が観ても、心に沁みるいい映画でした。
真紅さん推薦がなければ、完全に見逃していました。
2010-06-09 16:36 :
筆致 刻久 URL :
編集
筆致刻久さん、こんにちは! コメントありがとうございます。
男性の方、いらっしゃいましたか。素敵な映画なので、男性にも是非観ていただきたいです。
おばちゃんパワーに「ギョギョ!」と拒否反応は出ませんでしたでしょうか?(笑)
オススメ映画を観た、とおっしゃっていただくと本当にうれしいです。
後ほど伺いますね!
男性の方、いらっしゃいましたか。素敵な映画なので、男性にも是非観ていただきたいです。
おばちゃんパワーに「ギョギョ!」と拒否反応は出ませんでしたでしょうか?(笑)
オススメ映画を観た、とおっしゃっていただくと本当にうれしいです。
後ほど伺いますね!