機械仕掛けの終末~『9 ナイン~9番目の奇妙な人形~』

9
自らが生み出した機械によって、人類が滅んだ後の荒廃した地球。ある研究
室で、背中に「9」と書かれた人形が目覚める。
この映画のそもそものはじまりは、2005年のアカデミー賞・短編アニメーショ
ン部門にノミネートされた、11分の同名短編。それを観たティム・バートンが惚
れ込み、長編製作に手を挙げたという。生命を吹き込まれた9体の人形が、仲
間たちと助け合いながら、機械製のモンスターたちと闘う。予備知識はほとんど
無しで鑑賞したため、ここまで「戦闘」が全編で描かれる、迫力ある映画だとは
思わなかった。もう少しファンタジックな作品をイメージしていたのだが、終末感
漂う、ダイナミックな映像は圧巻。同じ「9」でも、『第9地区』より個人的にはずっ
とお気に入りです。ダークな世界観は、ティム・バートンがいかにも好みそう。
ただ、上映時間80分よりは長く感じたかな。

麻袋で作られた「1」から「9」までの人形たちは、それぞれに個性があって
かわいい。特に暴れん坊キャラの「8」は、『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』
のブギーマンにソックリ! 個人的には、双子の「3」と「4」がツボだった。
人類が去った荒廃した地球、という状況設定はピクサーの『ウォーリー』に
似ているけれど、物語の方向性は全く違う。人形たちは人工知能ではなく、
その「成り立ち」にはある秘密があったのだ。
イライジャ・ウッド、ジョン・C・ライリーを始め、声優陣もAクラスのハリウッド
スターが集結している。紅一点「7」のジェニファー・コネリーの声があんなに
勇ましいとは、初めて気がつきました。
機械モンスターの犠牲となった5体の魂が天に昇る。このラストシーンは
少し、弱い気がしたけれども、降り出した雨粒は緑色に発光していた。彼ら
の魂が輪廻し、新しい生命体のソースになるとしたら。。それもまた、いいと
思えるのだった。

( 『9 ナイン~9番目の奇妙な人形~』 監督・原案:シェーン・アッカー/2009・USA)
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trackback
2005年のアカデミー賞短編アニメーション部門にノミネートされた11分の 同名タイトルを見たティム・バートン監督が気に入り、ティム・バートン 監督のプロデュースで長編作品として映画化。声の出演には『ロード・オブ・ リング』シリーズのイライジャ・ウッドやジェニファ..
2010-05-14 20:59 :
だらだら無気力ブログ
独特の味わいの異色アニメーションの映像は、アメリカ映画というより東欧のそれを思わせる。古い研究室で一体の人形が目を覚ます。麻で出来た身体、腹部には大きなジッパー、背中には数字の“9”の文字。状況が分からないまま外に出ると、街は見渡す限りの廃墟...
2010-05-15 00:02 :
映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子公式HP
第78回アカデミー賞短編アニメ部門にノミネートされた作品に惚れこんだティム・バートンがプロデュースし、シェーン・アッカー監督自らが11分の作品を80分の長編作品へと作り変えた。人類滅亡後に残された9体の奇妙な人形たちが人類を滅ぼしたマシーンたちと戦うダ...
2010-05-15 00:41 :
LOVE Cinemas 調布
原案となるアッカー監督自身の短編作品に惚れ込んだティム・バートンがプロデューサーを買って出たことにより生まれたという本作。ゆえに強烈なバートンっぽさがあるのかと思ったらそれほどでもなく、バートン好きの私はむしろそこに本作の魅力を感じた。
2010-05-15 07:05 :
SOARのパストラーレ♪
特筆すべきはそのビジュアル{/m_0150/}
今年公開された「9」のつくタイトルの最後の1本(といっても三本関連性なし)
去年の9月NYでやってたけど時間合わず観れなかったの。
やっと日本公開{/m_0158/} 何となく、めちゃ期待してた1本。
試写で観て来ました~。
2010-05-15 09:17 :
我想一個人映画美的女人blog
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----á???ä??α?衢
????ä
??
???Ρ?1/2????...
2010-05-15 09:31 :
?
(原題:9)
【2009年・アメリカ】試写で鑑賞(★★★★☆)
2005年第78回アカデミー賞・短編アニメーション部門にノミネー トされた11分のショートフィルム「9」を長編映画化したダーク・ファンタジー。
古びた研究室の片隅で、麻布を縫い合わせて作られた奇妙な人形
2010-05-15 11:09 :
ともやの映画大好きっ!
最新の映画「ナイン」を先行して観た。
というと、フェリーニの名作「8 1/2」→ミュージカル化「NINE」→その映画化「NINE」が現在公開中なので、そちらをイメージされるかもしれないが、それではない。
ティム・バートンが総指揮 している、「 9~9番目の奇妙な人形~」...
2010-05-15 11:34 :
日々 是 変化ナリ ~ DAYS OF STRUGGLE ~
{/kaeru_en4/}ずいぶん長い坂の歩道橋だな。疲れそう。
{/hiyo_en2/}でも、これなら、階段がないから小さな人形も楽々上っていけるかもしれないわね。
{/kaeru_en4/}小さな人形?何のことだ?
{/hiyo_en2/}シェーン・アッカー監督の「9<ナイン>~9番目の奇妙な人形~
2010-05-15 18:03 :
【映画がはねたら、都バスに乗って】
これがティム・バートンが好む世界観なんです。これがダニー・エルフマンの音楽なんです。
第78回アカデミー短編アニメーション賞にノミネートされたわずか11分の同名短編を80分の長編に仕立て上げたこの映画は、『アリス・イン・ワンダーランド』に不満が残るティム・バ...
2010-05-17 20:49 :
めでぃあみっくす
『これまでの人生で見た映像の中で、最高の11分間だった』と、あのティム・バートンに言わしめた短編アニメを、長編アニメ映画化。「9 ~9番目の奇妙な人形~」(ギャガ GAGA★)。「NINE」とか「第9地区」とか、今年は“9”の当たり年??
古びた研究室で、奇...
2010-05-18 00:09 :
シネマ親父の“日々是妄言”
久しぶりに「チネチッタ」で観てきました。
タイトルが「9」だけに、9番シアターで上映してるなんて、さすがチネチッタ。
もともと短編映画を作ってたシェーン・アッカー監督を気に入ったティム・バートンが、
製作に加わり長編映画に仕上げたとか・・・
2010-05-20 02:22 :
★☆ひらりん的映画ブログ☆★
9 (2009年) 監督:シェーン・アッカー 声:イライジャ・ウッド、ジェニファー・コネリー、ジョン・C・ライリー、クリストファー・プラマー 2005年のアカデミー賞で短編アニメ部門にノミネートされた作品を、ティム・バートンやティムール・ベクマンベトフらのプロデュー...
2010-05-23 01:04 :
Movies 1-800
訂正である。
『9<ナイン> ~9番目の奇妙な人形~』は副題に「人形」と書かれているが、9は人形ではない。
その体は麻布を裁縫し...
2010-05-29 02:29 :
映画のブログ
5/25の夜になんばパークスへ観に行ったのが、この映画・・アニメというかCGの作品です。まずは解説等をallcinemaからのコピペで。【解説】 奇才ティム・バートン製作で贈るダー...
2010-06-14 00:07 :
kaoritalyたる所以
最近、9にまつわる映画が多いですね。( ^ _ ^;
この映画は予告編が面白そうだったのと、
声優陣が豪華だったので、
観たいと思いました。
古びた研究室で、
背中に数字の9が描かれた奇妙な人形が目を覚ます。
外を見ると、廃虚が広がっていた。
外に出て、...
2010-06-16 03:32 :
映画、言いたい放題!
9 ~9番目の奇妙な人形~(原題:9)316本目 2010-20
上映時間 1時間20分
監督 シェーン・アッカー
出演 イライジャ・ウッド(#1)
ジェニファー・コネリー(#7)
クリストファー・プラマー(#1)
ジョン・C・ライリー(#5)
2010-06-22 22:53 :
メルブロ
ティム・バートン監督のアリス・イン・ワンダーランドが人気ですが、そんなティム・バートンを驚愕させた短編アニメ『9』を長編アニメ化させた9 <ナイン> ~9番目の奇妙な人形~を上映終了日に観てきました。
2010-06-26 13:46 :
よしなしごと
人類はなぜ滅びたの?・・・そして僕たちは、何のために生まれたの?
2005年、アカデミー賞短編アニメーション部門にノミネートされた11分の作品。
新人監督シェーン・アッカーによる「9」は、そのオリジナリティ溢れるキャラクター造型とエキサイティングな映像...
2010-06-28 18:32 :
パピ子と一緒にケ・セ・ラ・セラ
シェーン・アッカー監督が作った11分の短編CGアニメを 80分の長編映画に作り直したというもの。 ティムバートンはあくまでもプロデュース、でも ポスター宣伝はやたら彼の名前がドーン。 それもまた戦略。 アリスで若干がっかりしたんで、相当期待していって ・・・う..
2010-07-14 16:58 :
ペパーミントの魔術師
☆☆☆(6点/10点満点中)
2009年アメリカ映画 監督シェーン・アッカー
ネタバレあり
2011-06-01 11:23 :
プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]
コメントの投稿
こんにちは♪
イライジャは彼らしいいかにもな感じでとてもよかったですね。
でもやっぱりジェニファー・コネリー!
「7」の勇ましい女戦士というキャラ表現がすばらしかったと思います。
でもやっぱりジェニファー・コネリー!
「7」の勇ましい女戦士というキャラ表現がすばらしかったと思います。
SOARさん、こんにちは! コメント&TBありがとうございます~。
私も、「7」の声がとってもよかったです! 鑑賞中は、「ケイト・ブランシェット?」と思っていましたがジェニファーとは。。
これから意識して彼女の「声」を聴いてみたいと思います。
私も、「7」の声がとってもよかったです! 鑑賞中は、「ケイト・ブランシェット?」と思っていましたがジェニファーとは。。
これから意識して彼女の「声」を聴いてみたいと思います。