彼らが生きている~ブロークバック・マウンテン#16
 DVD発売から一週間、やっとまた彼らに逢うことができた。今日まで観なかった
のはいろいろとゴタゴタしていた事もあるけれど、DVDのカバーにある言葉を読む
だけでぐっときてしまい、自分がどうなってしまうのか恐ろしくて、開封を躊躇し
てしまったのだ。それでも、映画館で一度観たからの「今日レンタルしてきたよ」
というメールに、とうとう薄いビニールカバーをはがす。

 開けたら最後、やはりTVの前から動けず。特典DISC→日本語字幕→吹替え、と続
けて観てしまった。うちのテレビ(29インチ・ブラウン管)にイニスとジャックが
映っている! それだけでもう、感動してしまう。

 特典DISCのメイキングなどはYou tubeで観ていたものだったけれど、アン・リー
監督のインタビュー
は初めて観た。ちょっとお疲れモードの監督、たくさんお話され
ていてちょっとビックリ。寡黙そうで意外と饒舌な方なんだな、それとも一人での
プロモーション(ヒースもジェイクも来られればよかったのに・・)だったから、
頑張っておられたのかも。しかし、このおじさん(失礼)があの映画を撮ったのか
・・と思うとつくづく尊敬の眼差しを送ってしまう。

この映画はゲイ・カウボーイの映画じゃない、ラブストーリーなんですよ」と何度
も繰り返し語っておられたのがとても印象的だった。特に「ゲイ・シネマではない
との言葉に、彼なりの矜持を感じた。ラブストーリーであることを強調していたのも、
一人でも多くの人にこの作品を観て欲しい、という気持ちの表れだったのだと思う。
「この映画を観た女性は皆怒っている」ともおっしゃっていたけれど、「ここに怒っ
てない女がいますよ
!」と、手を挙げたい気分だった。

 映画館で何度も観た日本語字幕版。画面は小さいけれど、さすがDVD、画像はとて
もきれい。ああ、この空、この雲。この山々だ、私がずっと迷い続けたのは
何度も観ているくせに、今回初めてこの映画で一番最初にしゃべるのはアギーレなん
だ、と思った。BBM#10で「イニスの吸殻」について書いたけれど、BARで彼が吸うの
はやっぱりアギーレの事務所前で吸っていた一本なんだ、とも思った。そんな細かい
確認ができるのも、DVDのいいところだと思う

 幸せな山での時間。体育座りするイニスを迎えに行くジャックに、涙、涙、ナミダ
・・。イニスにとっては生まれて初めての純粋に楽しい時間で、彼にとってジャック
は生まれて初めて出逢った心を許せる人だったんだろうな。初恋でもあったんだろう。
感情を表す術を知らず、抑圧の塊のような彼は、いきなり訪れた楽園の終わりにどう
対処していいかわからなかったのだろう。そんなイニスをいつも笑わせようと頑張る、
頑張り過ぎるジャック。ラストがわかっているから、「シャツを山に忘れてきた」と
言うイニスに対するジャックの表情がまた泣ける
20060928235704.jpg

 ・・と、まぁ全編泣きっぱなしだったわけだけど、字幕もしっかりチェック、とこ
ろどころ変わっている。ラストは私が望んだ直訳ではなかったけれど、「よ」が無く
なっていた。しかし、イニスが沐浴する前にお湯を使うかと問われてジャックが言う
お前はいい」、これはどう考えても間違いでしょう。映画館では「お前にやる」と
なっていた部分だけれど、「俺はいい」の誤植(?)ではないか。ちょっと残念、い
やかなり残念

 アン・リー監督の言う「ケミストリー」、本当に、なんてパーフェクトな二人なん
だろうと思う。ヒースもジェイクも、成り切ってるんじゃなくて、イニスとジャック
を体現している。イニスとジャックが生きている。だからこの映画は、好きな人は何
度も何度も観てしまう映画なんだろう、観ればそこに彼らが生きているんだから。
 長くなりました、#17に続きます
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[2006/09/29 00:07] | ブロークバック・マウンテン | トラックバック(0) | コメント(9) |
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コメント
真紅さん★BBMについて書いてくださるのをお待ちしておりました。イニスの「シャツを忘れてきた」の台詞を受けてジャックがどのような表情をしていたか・・・DVDがきたらまず確認しようと私も思っていました。おっしゃるとおり、ラストがわかっている故に泣けるシーンですね。
「お前はいい」の字幕は私も「?」でした。
・・・真紅さんの♯17が楽しみですのでコメントはこれにて。明晩(?)またお待ちいたしております★
[2006/09/29 00:33] URL | メグ #- [ 編集 ]
メグさま、こんにちは。コメントありがとうございます。
でも中途半端でごめんなさいね!なんだか書いていたら止まらなくなってしまい・・。
DVDは情報量が多い分、言いたいことも増えますね(笑)。
#17は吹替えについて書きます。明日アップできるかな? いや、アップしますね。
ではでは、また覗いてみて下さい。ありがとうございました!
[2006/09/29 01:03] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
真紅さん、こんにちは。

ご無沙汰いたしまして申し訳ありません。
DVD発売後の真紅さんの記事、楽しみにしておりました。
吹き替えをまだ観ておりませんので、こちらにお邪魔させていただいてよろしいでしょうか。

>今回初めてこの映画で一番最初にしゃべるのはアギーレなんだ、と思った。

真紅さん、私もDVD観て初めてそれに気がついたんです。何故だかすごく驚きました。イニスの佇まいやジャックの表情があまりに雄弁だったせいでしょうか。2人ともバーのシーンまで一言もしゃべってないのが信じられないくらいです。

私、BBMを知って自分自身理解できないことは、映画だけでなく、誰かがBBMについて書いたことを読んだ時も本編観た時と同じくらい泣けてしまう、しかも何度読んでも同じように涙がでてしてしまう、ということなんです。
真紅さんの記事にはいつも泣かされどおしですけど、今回も例に漏れず、「ここ読んで泣いてしまいました」と書くなら全文コピーしなきゃならないです。

>本当に、なんてパーフェクトな二人なんだろう
>イニスとジャックが生きている。

そのなかでも、今回一番衝撃受けてしまったのがこの一節でした。同じ日本の空の下で真紅さんも同じ思いでBBM観ながら涙を流している、と思うだけで心強く、この言葉思い出しながらジャックやイニスを見ればいっそう胸が詰まってしまいそうです。

絶対観ないだろうと思っていた吹き替えも‘#17’拝読し、観てみようと思いました。ものすごく遅くなって失礼してしまうかもしれませんけど、そのときには‘#17’にコメントさせていただけますよう、よろしくお願いいたします。

前後してしまいますが

>「ここに怒ってない女がいますよ!」

私も真紅さんと一緒に「ここにもいま~す!」と手を挙げて大きな声で言わせていただきたいです。真紅さんの「怒ってません」の一言、リー監督に聞いてもらいたかったですね。
[2006/10/01 11:38] URL | 沙斗魔 #- [ 編集 ]
沙斗魔さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
こちらこそ週末、いつも来ていただいて恐縮しておりますよ。
さて。私も、いろんな方々のブログ(山の仲間ですね)にお邪魔して記事を拝読しながら、いつも泣いてしまいます。
涙がね~。。止まらないんですよね。
日常生活に支障が出るので、なるべくさらっと流すようにはしているのですが。
アギーレがしゃべり出すまでセリフがないって、ホント気付きませんでしたよね。。何回も観てるのに。
彼らの佇まいや表情が雄弁、本当にその通りだと思います。
吹替えも、是非一度は観てみることをオススメします。また変わった視点が生まれるかもしれません。
コメントして下さるなら、いつでもお待ちしておりますので。
ではでは、またお話しましょうね!ありがとうございました。
[2006/10/01 19:06] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
真紅さん、おはようございます。

いつもいつも遅ればせながら、の拙コメントへのご丁寧なレス、今回もありがとうございました。

すみません!
2人が初めてしゃべるのって、アギーレの事務所出てすぐの自己紹介の場面でした。気づいたものの引き返せず、こんな時間にお邪魔することになってしまいました。
BBMが好きだの愛してるだの言う資格ないですよね。申し訳ありませんでした。粗忽者と呆れてやってください。
それでも懲りずに、また迂闊なコメントでも差し上げましたときにはどうかよろしくお願いいたします。
[2006/10/02 07:23] URL | 沙斗魔 #- [ 編集 ]
沙斗魔さん、再びコメントありがとうございます。
そうですね、ふたりが初めてしゃべるのはアギーレの事務所前ですけど、イニスは「イニス」と「デルマー」しか言いませんね、もっとしゃべれって(笑)
ジャックはおんぼろピックアップで登場したあと車を蹴りながら"Shit!"と言っているようですが、日本語字幕は出ませんね(英語字幕は出てました)。
また何でも言って下さいね。いつでも歓迎しますよ!ではでは。。
[2006/10/02 16:42] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
真紅さん、こんにちは。こんなに遅くなってしまいましたが、コメントさせてくださいませ。
わたしももちろん怒ってない女の一人でございます!怒るどころかリー監督や関係者の方々の前に‘はは~っ’とひれ伏したいような気持ちなのに~。でも、「イニスは自業自得」とはっきり言い切られていたのには少なからずショックを受けてしまいました。そ、そうなの???ガーン。

ずっと前にBBSで‘ジャックが死んでしまって悲しいが、彼が生き返ってくれるから何度でも観たくなる’というような書き込みをされている方がいました。病を得たばかりでなぜこんなに繰り返し観たくなるのかが自分で不思議だった当時のわたしは、「ああっ、そうだったんだーっ!」と大納得してしまったのですが、今は、ジャックが生き返るからということだけでなく、イニスがあの後の人生をジャックに‘誓って’生きていくのを見届けたくてわたしは何度も映画館に足を運んでいたんだろうなと思っています。そして、これからも同じ気持ちで、同時にまた新たな発見をしながら何度も観返すことになるんだろうな。真紅さん、山登りご一緒に続けさせてくださいね。
それでは次の記事に・・・。
[2006/10/03 10:56] URL | かいろ #- [ 編集 ]
こんにちは
真紅さんの記事待ってましたよ。読めて嬉しいです。やっとご覧になれたのですね。
私もDVDを見て、よりによって最初はアギーレかよ(笑)と思ってしまいました。
真紅さんの「見ればそこに彼らが生きているんだから」に同感です。ほんとうにそうですね~。
追伸
日本の女性は好きになってくれるかもって、リー監督が言っていたような気がしますが、1回見ただけなので、うろ覚えです。。。
でもそれはどういう意味?
[2006/10/03 13:21] URL | しじみ #- [ 編集 ]
かいろさん、しじみさん、こんにちは。コメントありがとうございます。まとめてお返事させて下さい。

☆かいろさん
全然遅くないですよ~、いらっしゃいませ。
アン・リーが「女性は怒る」と言ったのは、アルマやラリーンに感情移入したり、自己投影したりする女性が多いことをおっしゃっているのでしょうね。
しかし全く彼らに腹が立たなかった自分が不思議でもあります。アルマの気持ちもラリーンの気持ちもわかるのだけど、全く怒る気にはなれないですね。
私もこれからも何度も観ることになると思います。こちらこそず~っとお付き合い下さいね。ありがとうございました。

☆しじみさん
お久しぶりですね、お元気でしたか?
皆さん同じことに気付くんですね~、そう、最初はアギーレなんですよ!彼が結構長い時間、ひとりでしゃべるんですよね。
イニスとジャックは黙って聴いてるんですよね、お互いを意識しながら。
アン・リーが「日本の女性は喜んでくれる」とおっしゃったのは、日本でBLっていうジャンルが確立されていることをご存知なのかもしれませんね。
欧米よりもアジアのほうが自然に受け止めてくれた、ともおっしゃっていました。アジアの同胞としてうれしいです。
ではまたいらして下さい。ありがとうございました。
[2006/10/03 14:13] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
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