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映画が大好きです。いつまでも青臭い映画好きでいたい。 記事は基本的にネタバレありです by 真紅 (言葉を探す人)   ★劇場鑑賞した映画は Instagram にアップしています @ruby_red66 ★Stay Blue

マクリーンの川~『リバー・ランズ・スルー・イット』

リバー・ランズ・スルー・イット



 A RIVER RUNS THROUGH IT


 20世紀初頭モンタナ州の田舎町で、敬虔で厳格な牧師の家庭に育った二人
の兄弟、ノーマン(クレイグ・シェイファー)ポール(ブラッド・ピット)。父から伝授
されたフライ・フィッシングが、対照的な性格の彼らを結びつける。

 1992年製作、ロバート・レッドフォード監督のマスターピースにして、アカデ
ミー撮影賞受賞作
。比類なき映像美、川のように静かに、厳かに語られるスト
ーリー
。そして何より、若き日のブラッド・ピットの、まばゆいばかりの美しさ!! 
120分間に凝縮された、長い長い「マクリーンの人生」。釣り糸に疑似餌をつけ
る老人の手にカメラが再びフォーカスしたとき、私は嗚咽していた。

 長い間未見で、気になっていたこの作品を改めて観てみたいと思ったきっかけ
は、(500)日のサマー。主人公を演じるジョセフ・ゴードン=レヴィットに魅せ
られ、彼のデビュー作が本作であると知った。面影どころかほとんどそのまんま
な幼い彼の演技を微笑ましく見つめながら、私はこの物語のになった。

 劣等感と優越感、疎外感と一体感。兄弟の確執と絆を、モンタナの雄大な自然
が包み込む。詩を愛し、物静かで控えめな兄と、やんちゃで無鉄砲な美しい弟
この水と油のような兄弟を分かち難く結びつけるのは、故郷の川フライ・フィッ
シング
。弟の言動に危うさを感じながらも、なすすべもなく見守る兄。美しく社交
で、どんな場所でも一瞬にして人の心を掴んでしまう弟を愛する両親。結局の
ところ、兄は弟を「アンタッチャブル」だと理解し、その生と死を静かに受け止める。

 兄の視点で語られる田舎町の家族の物語は、平凡で退屈でもある。20年近く
前、公開当時にこの映画を観ていたら、私はきっと「面白くない映画」だと感じて
いただろう。はしかのような「ブラピ熱」は出していたとしても・・・。
 今リビングで一人、テレビ画面を見つめながら、この神々しいまでに美しい映画
を、大きな大きなスクリーンで観たかった、と思う。切なくなるほど、そう思う。
しかし同時に、本当に素晴らしい映画に画面の大きさなんか関係ないんだ、と感
じる自分もいた。

 エンドロールでは改めて「introducing Joseph Gordon-Levitt」とクレジッ
トされる。ブラッド・ピットの名声と、レッドフォードの手腕を確たるものにしたこの
作品。永遠に語り継がれるであろう名作でデビューしたJGLの、これからが楽し
みだ。

リバー・ランズ・スルー・イット2

 (『リバー・ランズ・スルー・イット』 1992・USA/
       監督・製作・ナレーション:ロバート・レッドフォード
               主演:クレイグ・シェイファー、ブラッド・ピット
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テーマ : 色あせない名作
ジャンル : 映画

2010-03-03 : BD/DVD/WOWOW/Streaming : コメント : 6 : トラックバック : 1
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こんばんは。
小説も映画も俳優も、世の中が大騒ぎすると避けて通る癖は、若い頃から未だに変わらず、
わが子たちが小さい頃、大人気になったブラピにも、
だからこそ全く興味が持てないまま幾星霜。
この数年ようやく何作か観たくらいだったのですが・・・
TV放送されて観て、やっとその人気の意味がわかりました。
もし映画館で観ていたら、きっとファンになっちゃったでしょうねぇ(笑)

わたしは何も知らずに観たんだけれど、
ジョセフ・ゴードン=レヴィット、出てきた瞬間にわかってしまうほど、今もおんなじ顔でしたね。
「500」日のサマー、こちらでは上映がなかったので未見ですが、
またいずれ、何かの形で、と思います。
2010-03-03 20:59 : 悠雅 URL : 編集
いつも楽しく読ませていただいています。この映画、親となってから再見し、(あのまばゆい)ブラッド・ピットを心の底から愛し、けれど、その危うさをどうしようもなく見守るしかない親の気持ちに、ただただ涙したことを思い出しました。それも人生だというような川の流れを映し出す情景が、身に沁みました。
2010-03-04 10:14 : mizu URL : 編集
真紅さん、こんにちは♪
先日は拙宅へ足を運んでくださり、ありがとうございます。
コメントも頂けて、とても嬉しかったです。
挙げられている作品の数も内容も凄いですね~
さすが真紅さんだわ~(#^.^#)

この作品はブラピ熱の頃から(笑)、好きなので、持ってます(^ー^)v
ブラピの立ち姿の美しさに見取れます。
私ってミーハー度、満点でしょう?(笑)
時を経て、観るたびに好きになる作品です。
人間の見つめ方描き方が良いなぁ…とつくづく思います。
トム・スケリットも好きになり、作品を捜したことを思い出しました。
2010-03-04 16:45 : fizz♪ URL : 編集
悠雅さん、こんにちは! コメントとTBありがとうございます。
ブラピの人気、本当に凄かったですよね~。今でもですが・・・。
私も、もしこの作品を劇場で観ていたら、熱でフラフラになりながら帰ったんじゃないかと思います。
彼のあのキラ☆キラぶりは映画史クラスの美しさですね~。

JGLの顔写真が出てきたとき、私も思わず笑ってしまいました。
顔が同じ~、って。
サマーは本当に最高の映画でしたよ!
忘れずに今年のベストに入れたいと思っています。
いつか是非ご覧くださいね~。
2010-03-04 21:44 : 真紅 URL : 編集
mizuさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
いつも読んでいて下さるのですか~、ありがとうございます!! うれしいです~♪
私も、今だからこそこの映画が沁みました。
俳優の美しさに心奪われることも映画の醍醐味の一つですが、傍流のエピソードにこそ真実が宿る、というのも映画ならでは。
兄弟に対する両親の微妙な心理も、よく描かれていたと思います。
名作ですね。。。
2010-03-04 21:49 : 真紅 URL : 編集
fizz♪さん、こんにちは。お久しぶりです。
コメントいただくのは本当に久しぶりですね~、何年ぶりでしょうか。
私も、リアル生活ではいろいろあったのですが、映画を観ることと本を読むことだけは相変わらずです。

すご~い、この作品お持ちなのですね♪
ブラピ、本当に美しいですよね。。永久保存版ですね。
そうそう、先日のコメントで、fizz♪さんの「軽薄な鑑賞態度」という言葉にガツンと来ました。
そのミーハー度を感想で現わさないのがfizz♪さんのすごいところですよ。。尊敬
能ある鷹は爪を隠す・・・違うか(笑)。
今後とも、こういういい映画についてお話できたらうれしいです。
どうぞよろしくお願いします~。
2010-03-04 21:57 : 真紅 URL : 編集
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