愛と孤独について~『きれいな水のつめたい流れ つれづれノート17』
きれいな水のつめたい流れ

 「私は一人の男性とまっすぐに向かい合って、心から愛し合ったことがまだない、
  と思う。だから、次はそれに挑戦したい」


 カバー裏の、この文章にまず驚かされる。毎度お馴染みつれづれノート、ちょ
っとドキドキしながら読み始める。

 今回、銀色さんの精神状態はかなりダウナー。「精神的なパートナーが欲しい」
「運命の人に出会えるかな?」
 現状から抜け出したい、新しい出逢いが必要だと、
切々と訴えるような言葉が連なる。

 つれづれの初期の頃、銀色さんはむーちゃん(カーカのパパ、最初の旦那さん)
のことが大好きなんだな~、って思っていた。でも、結局離婚してしまったし、短
い結婚生活の中でむーちゃんからの愛情はさほど感じることができなかったの
かな、なんて想像してみる。もちろん、さくのパパのいかちんからも。

 銀色さんほど精神的に自立して見える人でも、誰かと愛し合いたい、ただ一人
の人と精神的に繋がっていたい
、っていう願望は本能的に持っているんだなぁ。。
子どもたちが成長して、自分自身の人生を振り返る余裕ができた証しなのかもし
れないけれど。

 今までず~~~っと銀色さんの悩みの種だったカーカとの関係が、今回随分
修復されているのに安心した。久々に、カーカの写真がたっぷりで楽しめる。
まだ小さいさくちゃんはちょっと不憫だけれど、東京-宮崎と離れている分、とっ
ても強い結びつきの三人だと思う。私も歯の手術は経験があるので、さくの大変
さは身につまされた。

 映画の話題も多め。中でも『トワイライト』大絶賛は悔しい!(観てないから)
斉藤由貴「銀色さんは私が出逢った人の中で一番不思議な人」発言には笑っ
た・・・。多分、読んだ人全員が「アンタが言うな!」と突っ込みを入れたんじゃない
かな(笑)。そういえば大昔、『徹子の部屋』に出演した斉藤由貴が、銀色さんの話
をしていたのをはっきりと憶えている。「初めてわかり合える人に出逢った」みたい
なことを言っていた気がする、、あと、も素晴らしいと。

 読みながら、自分はどうして20年近くも銀色さんの本を読み続けているんだろ
、と考えていた。日々の出来事に挿入されるが、遠い記憶を呼び覚ますよう
で、懐かしい感触。私はきっと、「詩人」に惹かれるのだろう。川上未映子にしても
そう。いつも何かを考え続けていて、この世の中の森羅万象を言語化してくれる
のが詩人
、とよばれる人たち。彼らが紡ぐ考え抜かれた「言葉」を、これからも読
み続けたい。

 (『きれいな水のつめたい流れ つれづれノート17』 銀色夏生・著/角川書店・2009)
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