才能とは~『世界クッキー』
世界クッキー

 川上未映子の育った家には、本が一冊もなかったらしい。彼女の両親が、本
というものを必要としない人たちだったのだという。だから当然、川上未映子は
「絵本に親しむ」だとか「読み聞かせ」だとか、今では当たり前の「幼児教育」と
無縁に育っている。なのに、彼女のこの語彙の豊富さ、文章の巧みさ!
 才能というものは、たとえそれがどんな環境にあっても絶対に埋もれないもの
なんだな、と改めて感じる。

 2007年の後半から2009年の半ばまでに、川上未映子が様々な媒体に書いた
散文・エッセイをまとめた本。作家デビューして芥川賞を受賞し、一躍「時の人」
となった彼女。しかし、その思考はどこまでも深く腰が据わっていて、浮ついたと
ころはない。どの箇所を読んでも、きっちりと文が立っていて澱みもなく、誠実さ
を感じる。それは彼女の生い立ち故の「飢餓感」の現れでもあるだろうし、言葉と
いうものへの「畏怖」でもあるのだろう。もちろん、愛情でもある。

 2009年は、川上未映子という稀有な才能「発見」できて、いい年だったな~。
今年は、どんな本に出会えるだろう。ワクワク、ドキド嬉。

 (『世界クッキー』 川上未映子・著/文藝春秋・2009)
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テーマ:エッセイ/随筆 - ジャンル:本・雑誌

[2010/01/08 20:41] | 読書 | トラックバック(3) | コメント(0) |
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書籍「世界クッキー」芥川賞作家の日常のちょっと斜めからの視線
「世界クッキー」★★★☆ 川上未映子著、183ページ、1.365円                     →  ★映画のブログ★                      どんなブログが人気なのか知りたい← 「芥川賞受賞前後の様々なメディアに書いた ...
[2010/01/08 22:16] soramove
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読了ーっ。 川上未映子さんの最新エッセイ集「世界クッキー」 ここ3年間、様々な場所で発表されたエッセイを集めた本です。 綺麗な日本語、 というよりは美しい日本語遣いが心に染みます。 どう美しいのか、と問われても上手く答えられません、読んでみ
[2010/01/09 11:45] 俺様blog
世界クッキー<川上美映子>-本:2010-28-
世界クッキークチコミを見る # 出版社: 文藝春秋 (2009/11/13) # ISBN-10: 4163712909 評価:89点 芥川賞作家、川上美映子が色々な新聞や雑誌に書いたエッセイを集めたもの。 著者があとがきで書いているように、お題も長さも様々で色とりどり。悪く言えばバラバラ。だ...
[2010/05/08 00:42] デコ親父はいつも減量中
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いつまでも青臭い映画好きでいたい。愛おしい映画と、忘れがたき本たち。ときどきカフェとか。 記事は基本的にネタバレあり。 どうぞご贔屓に♪

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