14歳の友だち、25歳の神様~『浮世でランチ』

25歳の丸山君枝は、馴染めない会社を辞め、海外を旅する。タイからマレー
シアに移動し、最終目的地はミャンマーだった。
山崎ナオコーラの『人セク』に続く第二作。相変わらず、モラトリアム全開な
ナオコーラ節。あまりにも「閉じた」性格の主人公にウンザリするか、共感する
かで評価が割れそうな作品。私はと言うと、ランチはいつも一人で食べている
ので共感派、かな。。しかし私は彼女ほどは「反体制」ではありません、念の
ため(笑)。
25歳の君枝の旅と並行して、14歳の君枝の中学時代が交互に描かれる。
異性の幼なじみ、クラスの「女子」との関係、片思いごっこ、見え隠れする神様
と「宗教」。幼さ故に残酷で、取り返しがきかない友情。十数年の時を経て、君枝
の外見は変わっても、内面は14歳のまま。傷ついたことにさえ気付かず、周囲
と馴染まず、いつも一人な少女のままなのだった。なんとなく、『女の子ものが
たり』を思い出す。14歳といえば、『ヘヴン』も思い出す。中学時代って、どうし
てあんなにコントロールが利かない感じがしたんだろう。心と身体が、アンバラ
ンスな感じが。
「いつもひとり」な君枝に、作者は旅の最後にご褒美をくれる。そして、この
「全世界」を肯定するラスト。本を閉じたら、胸の奥から熱いものがこみ上げ
てきた。
ETERNAL SUNSHINE OF THE SPOTLESS MIND・・・
(『浮世でランチ』 山崎ナオコーラ・著/河出書房新社・2006)
- 関連記事
-
- ユリイカ?!~『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』 (2009/12/21)
- 14歳の友だち、25歳の神様~『浮世でランチ』 (2009/12/12)
- どの口が言う~『わたくし率イン歯ー、または世界』 (2009/12/09)
スポンサーサイト
trackback
明日の私は、誰とごはんを食べるの?人が人と関わる意味って、何?25歳の私が“世界”に触れる、一瞬の奇跡。『人のセックスを笑うな』の著者が贈る文藝賞受賞第一作。社会人で、お昼に他人と過ごさずに一人でランチを取っていた君枝は、会社を辞めてタイ、ミャンマーまで一...
2009-12-12 01:40 :
scribble
コメントの投稿
真紅さん、こんにちは。
確かに14歳って、思春期真っ盛りという感じでものすごくアンバランスですよね。
もやもやした記憶があるから、小説でその年代の話が出てくると、あの頃が思いだしてくるので、余計印象に残ります。
この話の最後はまさにご褒美という感じで良いですよね。
確かに14歳って、思春期真っ盛りという感じでものすごくアンバランスですよね。
もやもやした記憶があるから、小説でその年代の話が出てくると、あの頃が思いだしてくるので、余計印象に残ります。
この話の最後はまさにご褒美という感じで良いですよね。
アメコさん、こんにちは。コメントとTBをありがとうございます。
14歳頃って一番難しい年齢なんだと思います。
私も、思えばいろいろあったな~、っていう感じで・・・。
この小説では、大人になっても中学時代を引きずっている主人公をやさしく救っていて、嬉しかったです。
ナオコーラさん新作が出たので、早く読みたいです!
14歳頃って一番難しい年齢なんだと思います。
私も、思えばいろいろあったな~、っていう感じで・・・。
この小説では、大人になっても中学時代を引きずっている主人公をやさしく救っていて、嬉しかったです。
ナオコーラさん新作が出たので、早く読みたいです!