純粋悲性批判~『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』

『ヘヴン』の感動冷めやらぬまま、『そらすこん』に突入。
川上未映子がブログ「川上未映子の純粋悲性批判」に綴った文章を集めた一冊。
2003年からの三年間、三十路直前、凪いでいるような疾風怒濤のような、日々の
記録。デビュー随筆集である本作が文庫になると知り、早速購入。「キャロルとナ
ンシー」でいきなり「えーん」がきた。
彼女が弟を大学に行かせるために新地で働いていた、という話は知っていたけ
れど、断片的に語られるその生い立ちはかなりショッキング。イズミヤの冷蔵庫
で働いているお母さん。サボテンと暮らす上京娘。本を一冊も読破したことがな
いお姉ちゃん。猫パニック。欠落と過剰の大波小波に揺られながら、生むことが
できる自分に違和感。饒舌でどこか醒めていて、でもとことん情が深い、浪花節
全開な文章に惹きつけられる。
『ヘヴン』に村上春樹的な何かを感じたけれど、『羊をめぐる冒険』が出てきて
納得。ちなみに私の持っている上巻、フォントは異常なしです。『フラニーとゾー
イー』の関西語訳をやりたい、と何年も前から村上春樹は言っているけれど、川
上未映子はあっさり、ここでやってしまっていて、唖然。グルーヴ、確かに出てま
すね。
好き嫌いが極端に分かれる文体かもしれない。「オススメ」って言い切るのは
躊躇、でもでも、私は、
未映子にいうたりたい。
めっちゃいうたりたい。
「『ヘヴン』 を読んで感動しました、大好きです」 って、
『そらすこん』 も好きやったよ。
(『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』
川上未映子・著/2009・講談社文庫)
- 関連記事
-
- たくさん食べて、学びなさい~『ホノカアボーイ』 (2009/12/03)
- 純粋悲性批判~『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』 (2009/11/29)
- 森は生きている~『神去なあなあ日常』 (2009/11/23)
スポンサーサイト
trackback
そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります 著 川上未映子
2003年から2006年にかけて
川上未映子さんの(「未映子の純粋非性...
2010-02-17 15:47 :
ちょっとお話
コメントの投稿
こんにちは♪
文体には衝撃を覚えましたが読んでよかった本です♪
サリンジャーが亡くなったとき川上さんが
コメントを寄せていたんですよね。
思い入れがあるんだな・・・と思ったら
この本でも書いていましたね。
村上さんの本に関するお話も面白かったですが
確かめようがなくって・・(持っていなく・・)
私も思わず関西弁で感想述べたくなりましたけど・・。真紅さんのようにはいかないわ・・・。
文体には衝撃を覚えましたが読んでよかった本です♪
サリンジャーが亡くなったとき川上さんが
コメントを寄せていたんですよね。
思い入れがあるんだな・・・と思ったら
この本でも書いていましたね。
村上さんの本に関するお話も面白かったですが
確かめようがなくって・・(持っていなく・・)
私も思わず関西弁で感想述べたくなりましたけど・・。真紅さんのようにはいかないわ・・・。
2010-02-17 15:46 :
みみこ URL :
編集
みみこさん、こんにちは~。コメントとTBありがとうございます!
わ~い、やっとこの本についてお話ができるよ~♪
私もサリンジャーについては書きたいことがあるのですが、時間がなくて・・。
これはエッセイですからまだ読み易いほうかも・・。
ウチの母なんて『乳と卵』は途中リタイアしたと言ってましたし。
しかし、リズミカルで中毒性がある文体だと私は思います。慣れてくると大丈夫よね。
だから「うつる」んですよね。。関西弁で感想、よくわかりますよ(笑)。
でもみみこさんの関西弁って想像できないよ~。
小説の感想も、気長に待ってますね~。
わ~い、やっとこの本についてお話ができるよ~♪
私もサリンジャーについては書きたいことがあるのですが、時間がなくて・・。
これはエッセイですからまだ読み易いほうかも・・。
ウチの母なんて『乳と卵』は途中リタイアしたと言ってましたし。
しかし、リズミカルで中毒性がある文体だと私は思います。慣れてくると大丈夫よね。
だから「うつる」んですよね。。関西弁で感想、よくわかりますよ(笑)。
でもみみこさんの関西弁って想像できないよ~。
小説の感想も、気長に待ってますね~。