おいしい、ありがとう~『食堂かたつむり』
食堂かたつむり

 恋人に裏切られ、何もかも無くしてさえも失った倫子は、10年ぶりに故郷の
へ帰る。

 「たとえ素っ裸にされたとしても、私は料理を作ることならできる」

 草野マサムネが帯の惹句を書いていて、気になっていた本作。柴咲コウ主演
フードコーディネーターは飯島奈美さんで映画化されると知り、読んでみた。
一気に読了。「生きることは食べること」という生命の基本が謳われる、瑞々し
い物語。

 主人公の倫子は、バイト先から帰るとアパートがもぬけの殻になっていた・・・。
こういう話って、本当にあるんですよね。。私の知り合い(具体的に言うと義兄の
幼なじみ)も、全く同じ目に遭っているんです。その人も料理関係の仕事(パティ
シエ)
だから、なんだか似たような話だな~、と思ってしまった。

 倫子の作る料理は、本当に手がかかっていて、心がこもっていて、おいしそ
で・・・。これは映画が楽しみ。でも、不安な部分もある。

 この小説で一番印象的だったのは、倫子が無花果の木の上で髪を切る(そ
してその後ほとんど剃り落としてしまう)場面と、エルメスの「解体」場面。どち
らも演じる役者さんにとっては、かなり勇気の要るシークエンスだと思う。先日
劇場で観た予告篇では、予想通り柴咲コウの髪は長いままだった。

 そして、もっとハードだと思われる「解体」。小説では、作者が実際体験(また
は見学)したことがあるに違いないと思わせるほど、その様子が詳細に描写
されている。映像にするには難しいだろう、しかしこの場面がなければ、小説
の主題である「生命」を敬い、大切にいただくという思想が描けないのではな
いか。

 「私にとって、料理とは祈りそのものだ」 倫子のこの荘厳なまでの「覚悟」
大切に、映画化して欲しいと願う。

 (『食堂かたつむり』 小川糸・著/ポプラ社・2008)
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[2009/10/29 00:00] | 読書 | トラックバック(2) | コメント(4) |
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コメント
真紅さん~こんにちは。
これね・・・・。なんか期待したのと違い過ぎていたのと、今でも一番覚えているペットを・・・ってシーンと、毛が入ってるってシーンとかが、もう生理的に受け付けられず、嫌い確定になっています・・・。
でもね、そういえば、真紅さんのレビュー読みながら、良いシーンや美味しそうな食べ物など良い処も色々あったんだよな~って思い出しました。

映画化決定!ってのを聞いた時、主役は誰がやるんだろう・・・と思っていたら、柴崎コウがキャスティングになって、なんとなく解る気がする・・・と思いました。他にコレって人(それなりに売れっ子で)いないっぽいもんなあ・・・
[2009/10/30 08:25] URL | latifa #SFo5/nok [ 編集 ]
一気に読むことができますよね!わたしも読みました。
もし 倫子がわたしと面接したら いったいどんな料理を作ってくれるのか、わたしだけのためのメニューが気になります。
以前 真紅さんが紹介されてた「シネマ食堂」
本屋さんでぱらぱらとめくってみましたが どれも本当に美味しそう。彼女がフードコーディネーターをされると きっと美味しい料理が楽しめそうですね。

柴崎コウさんで映画化されることは知ってましたが やはり髪はそのままでしたか・・そしてエルメスの解体。これは物語の意味あるシーン。しかし映像化が難しいと思われますが・・・気になります。もう予告編をやってるのですね!楽しみです。
[2009/10/30 18:16] URL | yoko #qx6UTKxA [ 編集 ]
latifaさん、こんにちは~。コメントとTBありがとうございます。
そうそう、意外と衝撃的なお話でしたね~。
でも、主人公が料理に対して真摯に向き合っている、というのは感じられました。
なんか私ね、料理が好き、得意、っていう人のこと、無条件で敬愛してしまう傾向があるかも。。
で、柴咲コウなんだけど、どうかな~。
私としては、蒼井優ちゃんに「坊主」に挑戦して欲しかったな~。
予告では、かたつむり号とかイメージ通りでしたよ。
でも、やっぱあの「解体」はね。。どうかな。。。
[2009/10/30 23:11] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
yokoさん、こちらにもコメントありがとうございます!
『シネマ食堂』いいでしょう?? 飯島奈美さんの料理が観たいので、映画も観てしまうかも。。
あの本見てたら、これなら私でも作れるかな?って気になってきませんでしたか?
特に、飯島さんの自信作「カレーライス」は、挑戦してみたいな~って思いました。

あの解体シーンは衝撃的ですが、重要なシーンですよね。
しかしあれを入れると映画の「色」がかなり決まってしまいますよね。。
でも、無ければファンタジックなだけのお話になってしまいそうだし。
う~ん、今からとっても気になります。。
[2009/10/30 23:20] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
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「食堂かたつむり」私はいまひとつでした・・・
う~~ん、想像していたのとは違った小説でした。自分とは、あまりなにか、こう・・・合わない本だったな・・・。正直、あまり好きな小説ではなかったです。
[2009/10/30 08:26] ポコアポコヤ
食堂かたつむり  小川糸
  ☆☆☆☆ある日料理店のアルバイトから戻ると、同棲していた恋人の姿は消え、部屋はもぬけの殻になっていた。衝撃的な失恋で声まで失った倫子は、ふるさとに戻り、実家の離れで小さな食堂を始める。お客は一日に一組だけ。決まったメニューはなく、事前のやりとりから...
[2009/10/31 07:22] yoko's cinema &amp; book diary
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いつまでも青臭い映画好きでいたい。愛おしい映画と、忘れがたき本たち。ときどきカフェとか。 記事は基本的にネタバレあり。 どうぞご贔屓に♪

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