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映画が大好きです。いつまでも青臭い映画好きでいたい。 記事は基本的にネタバレありです by 真紅 (言葉を探す人)   ★劇場鑑賞した映画は Instagram にアップしています @ruby_red66 ★Stay Blue

モードの先駆者~『ココ・シャネル』

ココ・シャネル



  COCO CHANEL


 1954年、パリで15年ぶりのコレクションを開いたココ・シャネル(シャーリー・
マクレーン)
。しかし、プレスの評価は惨憺たるもの。復活を期すココは、自らの
半生を回想する・・・。

 ガブリエル・ココ・シャネル生誕から125年、ブランド発足100周年を記念して、
今年はシャネルの伝記映画がいくつか公開される。その第一弾が本作。劇場
は妙齢のお嬢さん方でほぼ満席、シニア率が高そうな客層でした。
 私はシャネル・スーツは一着も持っていないけれど、小物や化粧品はいくつ
か愛用している。やっぱり、女性の永遠の憧れですよね、シャネルって。
期待を胸に鑑賞した本作だったけれど、ちょっと期待外れだったかも。それは、
「マドモワゼル」と呼ばれながらもココが英語をしゃべっている、という違和感だ
けではなくて。

ココ・シャネル2

 母を亡くし、父に捨てられ孤児院で育ったココ。お針子として身を立てようと働
きに出るも、彼女はたちまちに落ちる。相手は上流階級の将校、エチエンヌ
(サガモア・ステヴナン)
。このエチエンヌっていう男が、金持ちなだけのとんでも
ない食わせもの(ハンサムだけど)。彼に囲われて過ごした、郊外でのエピソード
が長過ぎる! 「そんなことはどーでもいいから、デザイナーとして自立していった
過程を早く見せてよ!」
とイライラしてしまった。

 同じフランス人の世界的歌手、エディット・ピアフの生涯を描いたエディット・ピ
アフ 愛の讃歌
はピアフの「人生=歌」そのものに焦点を当て、若き日々から
晩年までを演じ切ったマリオン・コティヤールの演技も凄かった。しかし回想シーン
から始まる本作は、若き日々の何が、ココの仕事に決定的な転機をもたらしたか
に焦点が当てられず、恋愛エピソードがメインで散漫な印象が否めなかった。
「成功でなく、失敗が人間を強くする。私は逆流を遡って強くなった」。そう語る
ココの激動の半生を、もっと突き詰めて描いて欲しかったと思う。

 ココの若い頃を演じたイタリア人女優、バルボラ・ボブローヴァは真木よう子
に似たコケティッシュな雰囲気の女優さん。好感は持てたけれど、ココが放っ
ていたであろうカリスマ性は感じられず、どちらかと言うと平凡な「隣のお姉
さん」的印象。70歳のココを演じたシャーリー・マクレーンはさすがの貫禄
けれど、残念ながら希代のファッション・デザイナーのイメージじゃない。「オス
カー女優が主演」
という惹句が必要ならば、ヴァネッサ・レッドグレーヴのほう
が適役だったんじゃないだろうか。

ココ・シャネル3

 、、と、好き勝手なことばっかり長々と書いてしまったけれど、華やかな衣装
コレクション風景は目の保養でございました。昔は自社ビルでコレクション
を開いていたんだな、とか、ブランドの雰囲気は50年前から、今も変わらず
継承されているんだな、とか。
「香水を選べない女に未来はない」っていう言葉は、耳が痛かった。ただただ、
女性を自由に、楽に生きさせたい、というココの信念を忘れず感謝して、私も
いつかは、シャネル・スーツに腕を通してみたい。

 (『ココ・シャネル』 監督:クリスチャン・デュケイ/2008・伊、仏、英/
   主演:シャーリー・マクレーン、バルボラ・ボブローヴァ、マルコム・マクダウェル)
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テーマ : ヨーロッパ映画
ジャンル : 映画

2009-08-20 : 映画 : コメント : 6 : トラックバック : 22
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非公開コメント

真紅さん、こんばんは。
私もピアフのことを思い出しつつ、しばしば歯がゆさを感じながらの鑑賞となりました、
私は最初から期待はしていなかったのですが、それでも、この長さがちょっと苦痛だったりしました。
でも、まぁ、『ココ・アヴァン・シャネル』に向けての予習ができてよかったです♪
2009-08-21 01:00 : かえる URL : 編集
かえるさん、こんにちは! コメントとTBをありがとうございます。
TV映画だと知っていれば、もう少し別の見方ができたのでしょうが・・・。
確かに長すぎですよね。もっと、ココの仕事人な部分に焦点を当てて欲しかったです。
だからこその、あの名言(放言?)の数々なのに・・・。
次に期待ですね、ホント。
2009-08-21 19:42 : 真紅 URL : 編集
こんにちは♪
こんにちは、真紅さん。
何度か記事は拝見しておりましたが、初めてコメント、TBになるでしょうか。
よろしくお願いします。

TVドラマだということで、おそらくは編集されているのでしょうが、
やはりエチエンヌとのエピが長かった印象がありましたね。
中途半端なメロドラマな部分がクローズアップされた印象です。

>あの名言(放言?)の数々
受けました(^^;同感ですもの。
2009-08-22 10:20 : きら URL : 編集
きらさん、こんにちは! コメントとTBをありがとうございます。
初めましてですね、こちらこそよろしくお願いします!

そうなんですよ~、私はテレビ映画とは知らずに観たので、ちょっと違和感がありました。
エンドロールも一瞬で終わり、「え??」って。
ホント、メロドラマでしたね~。

ココの偉業を描いてこそ、彼女の言葉が生きてくると思うのですが・・・。
あれではただの「ワガママなマダム」ですね。70歳でも「マドモワゼル」って呼ばれてましたが。
オドレイ嬢バージョンに期待ですね~。
2009-08-22 20:03 : 真紅 URL : 編集
「ココ・アヴァン・シャネル」に期待です(^^ゞ
こんばんは、真紅さん(^O^)/
今日はBunkamuraル・シネマで映画を観ることにしたのですが、この映画と「クララ・シューマン 愛の協奏曲」をやっていて、こちらの記事を読んでいたのでクララの方を観てきました(^^ゞ
「クララ・シューマン~」すごく見ごたえがあったのでおすすめです。
シャネルの方は9月封切りの「ココ・アヴァン・シャネル」で観ようと思っています。
2009-08-23 03:00 : ぴかちゅう URL : 編集
ぴかちゅうさん、こんにちは! コメントありがとうございます。
ええ~、そうなんですか! ネタバレですみません~~。。
『クララ~』は大阪では来月公開なんですよ。
観に行けるかはちょっと微妙なんですが、いい作品らしいですね♪
ぴかちゅうさんが堪能できて何よりです。『ココ・シャネル』はね、私はいまいちでしたから・・。
私も、気持ちを切り替えてシャネルはオドレイ嬢バージョンに期待してます!
2009-08-23 21:06 : 真紅 URL : 編集
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