沢木節健在ナリ~『凍』
沢木耕太郎の文章には、独特の「間」があると思う。
最初はその間が鼻につくこともあるけれども、いつの間にか引き込まれ、
時間を忘れて読み耽ってしまう。見事な文体としか言いようが無い。
『壇』以来10年ぶりとなるというノンフィクション『』でも、その
「沢木節」は健在だった。

 本作は、世界的な登山家である山野井泰史・妙子夫妻の物語だ。
彼らがヒマラヤの高峰・ギャチュンカンで遭遇した、雪崩による壮絶な
遭難と生還を描いている。 

 山があるなら登りたい、壁があるなら攀じ登りたい、頂がそこにあれ
ば目指す、たとえ命を落としても・・・といったメンタリティは、私には全く理解不能である。
 自分の願望のために多くの人々に心配をかけ、遭難の挙句救助となれば
多額の費用がかかり、自らの手足の指を失い・・・。
この人たちは一体、何をやっているんだ?と思っていた。

 しかし、読み進むうち、彼らに尊敬にも似た感情が生まれてくる。
共感したわけではない。夫婦愛に打たれたわけでもない。ただただ彼らを
「凄い」と思った。涙を禁じ得なかった。

「彼ら」とは、山野井夫妻と、沢木耕太郎である。

(『』沢木耕太郎著・新潮社・2005)
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[2006/02/20 22:58] | 読書 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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