有里ちゃんの今~『わたし、男子校出身です。』

モデル、タレントとして大活躍中の椿姫彩菜嬢による「早過ぎる」自叙伝。衝撃
的、かつこれ以上わかり易いタイトルはない。女の子の心を持って生まれてきた
男の子が、自分自身の人生を掴み取るまで。
彩菜嬢が出演した『情熱大陸』を観て、一番驚いたのは高校時代の文化祭、
演劇のビデオ。ヒロインを演じた彼女が登場するや否や、会場全体がどよめいた。
TVを観ていた私も、そのあまりにもリアルな「女の子っぷり」に度肝を抜かれた。
椿姫彩菜って、一体、どういう人なんだろう?? その思いから、どうしても
この本を読んでみたくなった。
幼少時からの苦悩や、家族、とりわけ母親との葛藤がストレートに語られる。
普通の女の子以上に内面はフェミニンに生まれついたのに、その「前についた
しっぽ」のある外見から「男の子」としてカテゴライズされる悲しみ、苦しみ。しか
し彼女は自力で「本当の自分」を手に入れる。
私は弱い人間なので、思いが叶わなかったりすると「来世で。」と思いこもうと
する。生まれ変わったら、きっと、、、と。しかし彼女は自分の意志と力で「生ま
れ変わった」のだ。なんて、強い人なんだろう・・・。
昔々に読んだ、『フィメールの逸話』という漫画を思い出す。女の子の心を持っ
て生まれてきた男の子が交通事故死し、その魂が自殺した少女の身体に入って
甦り、好きだった男の子に告白する、というお話。結末は苦いものだったけれど、
現代を自分の足で強く生きる椿姫彩菜=有里ちゃんの未来は、幸多かれと祈り
たい。
尚、本書はコミック版も発刊されたそう。多くの方に読んでいただきたい。

(『わたし、男子校出身です。』椿姫彩菜・著/ポプラ社・2008)
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