旅するコーラ~『男と点と線』

山崎ナオコーラの新作は、六編からなる短編集。「今も、世界中で、男と女が
出会っている」というフレーズが軸になっているらしい。
山崎ナオコーラは、とにかく文章が巧い。と言うか、私は彼女の文体をすごく
気に入っているのだ。短いセンテンスで、物事の核心を容赦なく描写していく。
まったりとした作風に、その文体の勢いがアンバランスなようでもあり、不思議
な読後感を覚える。取り留めのないことを書いているようで、ハッとさせられる
名言がいきなり差し出されることも、しばしば。これが人生の、人間の本質なん
じゃないですか?と。
物語の舞台は世界の様々な都市で、登場人物の年齢も様々。六編の題名は
以下で、カッコ内は私が勝手にサブタイトルをつけてみました。なかなかオスス
メな作品ですよ。
慧眼:クアラルンプール (菩薩と老人)
スカートのすそをふんで歩く女:パリ (女子大生の長い終わりの始まり)
邂逅:上海 (コーラの胡蝶の夢)
膨張する話:東京 (草食系男子の色即ぜねれいしょん)
男と点と線:ニューヨーク (40男の初恋貫徹宣言)
物語の完結:ウシュアイア&ブエノスアイレス (モラトリアムな物書きの憂鬱)
(『男と点と線』 山崎ナオコーラ・著/新潮社・2009)
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2009-06-18 00:46 :
:
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鍵コメをくださった方、ありがとうございます。
後ほど伺わせていただきますね。
後ほど伺わせていただきますね。