fc2ブログ
映画が大好きです。いつまでも青臭い映画好きでいたい。 記事は基本的にネタバレありです by 真紅 (言葉を探す人)   ★劇場鑑賞した映画は Instagram にアップしています @ruby_red66 ★Stay Blue

受難~『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』

アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン



  I COME WITH THE RAIN


 LAに住む元刑事クライン(ジョシュ・ハートネット)は、世界有数の製薬企業
オーナーから、行方不明の息子シタオ(木村拓哉)を探して欲しいと依頼される。
クラインはLAからフィリピンへ、更に香港へとシタオを追うのだが・・・。

 『ノルウェイの森』を監督するというニュースで俄然、有名になった感のある監督、
トラン・アン・ユンの最新作。ここで懺悔します。ずっと昔、トニーが出ているという
ので『シクロ』を観ようとしたんですが、トニーが出ているシーン以外は早送りして
しまいました。監督、ゆ、許して・・・。音楽に、グスターボ・サンタオラヤさんが参加
しているのですね。字幕は太田直子さん

 天下の大スター、木村拓哉の世界進出映画第二弾ということで大注目の本作。
朝一のシネコンは妙齢のお嬢さん方の熱気と、化粧の匂いでむせ返るよう。上映
前は予告篇の終了まで賑やかなおしゃべりが止まなかったのに、上映中は凍りつ
いたように静かでした・・・。

アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン2

 フランス映画なのだけど、舞台は主にアジアで、フランス語は一言も発せられ
ない。なんだか不思議な感じ。主演俳優も国際色豊かで、アメリカ、日本、韓国、
香港のトップスターが揃い踏み。これは世界マーケットを意識したキャスティン
グなのだろうか?

 物語は、トラウマを抱えた元刑事クラインと、香港マフィアのドン、ドンポ(イ・
ビョンホン)
がともに「地獄を見たもの」としてシタオを探す、という一見単純な
もので、難解さはない。しかし、監督が提示する「痛み」と「復活」、そして「受難」
を理解するには、相当高いハードルを越えなければならないだろう。血糊とウジ
虫だらけのシタオや、おぞましい死体のオブジェは観るに堪えず。。この映画で
は正直、木村拓哉を見直した。演技も悪くないと思ったし、身体を張って汚れ役
を頑張っていたと思う。イ・ビョンホンの英語の巧さにも驚き。「どこかで観た女優
さん」だと思ったドンポの情婦にして最愛の女リリは、監督の奥様だそう。なるほ
ど、なんとも美しく撮られていた。

 クラインの記憶がフラッシュバックの形で何度も挿入され、彼が抱えてしまっ
た怪物のような衝動が次第に明らかにされてゆく。ドンポの一途な愛、その合わ
せ鏡のような過剰な暴力性。全ての痛みを引き受けようとする、シタオの受難・・・。

 理解したとはとても言えないけれど、アジアのまとわりつくような湿気とともに、
彼らの痛みは十分過ぎるほど伝わってきたのだった。

アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン3

 私はキリスト教徒ではないが、エルサレムには一度行ってみたいと改めて思っ
た。そして、『ノルウェイの森』は・・・。うーん、正直、微妙かも?

 (『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』監督・脚本:トラン・アン・ユン
        主演:ジョシュ・ハートネット、木村拓哉、イ・ビョンホン/2009・仏)
関連記事
スポンサーサイト



テーマ : フランス映画
ジャンル : 映画

2009-06-15 : 映画 : コメント : 13 : トラックバック : 12
Pagetop
旅するコーラ~『男と点と線』 «  ホーム  » It's Only A Paper Moon ~『1Q84』 【BOOK1】【BOOK2】
trackback

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』
□作品オフィシャルサイト 「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」□監督・脚本 トラン・アン・ユン □キャスト ジョシュ・ハートネット、木村拓哉、イ・ビョンホン、トラン・ヌー・イェン・ケー、ショーン・ユー、イライアス・コティーズ ■鑑賞日 6月7日(日)■劇場...
2009-06-15 17:20 : 京の昼寝~♪
アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン/ジョシュ・ハートネット
先日シネコンのロビーにて年配の女性二人組がこの映画のポスターを前にしてこんな事を会話されてました。 「どうしてビョンホンの名前が3番目なのかしら???」 「ねぇ、まったく、やーねーもう(怒)」 ・・・ウケた(笑) ファン心理としては気持ちはよくわかりま...
2009-06-15 18:39 : カノンな日々
「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」トラン・アン・ユン
アイ・カム・ウィズ・ザ・レインI COME WITH THE RAIN 2009フランス 監督:トラン・アン・ユン 脚本:トラン・アン・ユン 撮影:ファン・ルイス・アンチア 出演:ジョシュ・ハートネット(クライン)木村拓哉(シタオ)イ・ビョンホン(ス・ドンポ)トラン・ヌー・イ...
2009-06-15 21:55 : Mani_Mani
アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン
他人の傷や痛みを自分の体に引き受ける能力を持った男を巡って、元刑事の 探偵や香港マフィアを巻きこんで起こるサスペンス。ある大企業の創業者から失踪した息子シタオを捜索する依頼を受けた元刑事 の私立探偵のクライン。早速シタオがいたと思われるフィリピンのミンダ..
2009-06-16 02:08 : だらだら無気力ブログ
アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン
各国を代表する“美しい男”たちが、かつてない演技で魅せる__いままで見た事のない美しい男たちの競艶! 物語:ある男が失踪した。手がかりは、名前と年齢、数枚の写真だけ。彼の名はシタオ。他人の痛みを身代わりとなって引き受けるという不思議な力を持つ。 彼の父...
2009-06-17 22:09 : パピ子と一緒にケ・セ・ラ・セラ
アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン この世に救いはあるのか?(フィリピンロケあり)
タイトル:アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン 、製作フランス ジャンル:芸術・宗教・グロ 映画館:TOHOシネマズ梅田(700席?)200人ぐらい。 鑑賞日時:2009年6月1X日 19:00頃 私の満足度:50%  オススメ度:0% 【イケメン3人、英語、フィリピン】 英検を目前に控え
2009-06-21 22:08 : もっきぃの映画館でみよう(もっきぃの映画館で見よう)
「夏至」
A LA VERTICALE DE LETE 2000年/フランス・ベトナム/112分 監督: トラン・アン・ユン 脚本: トラン・アン・ユン 撮影: マーク・リー 音楽: トン=ツァ・ティエ 出演: トラン・ヌー・イェン・ケー/チャン・マイン・クオン/グエン・ニュー・クイン/レ・カイ
2009-06-26 14:53 : 寄り道カフェ
「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」プチレビュー
日韓米のイケメン俳優たちが共演。 女性陣にとっては珠玉の喜びになるはずだった・・・
2009-08-20 00:50 : 気ままな映画生活
アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン
 『男たちの運命は、 美しく、そして切ない…』  コチラの「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」は、ジョシュ・ハートネット、木村拓哉、イ・ビョンホンという、アメリカ、日本、韓国のスター俳優3人が共演したPG-12指定のサスペンスです。監督は、「青いパパイヤの香り
2010-04-17 17:26 : ☆彡映画鑑賞日記☆彡
男たちの躍動
「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」 「グッド・バッド・ウィアード」 
2010-04-20 13:04 : Akira's VOICE
「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」あらら・・・・
は??という感じで終わってしまいました。2つ☆ ただ、あの変なオブジェは、すごいな・・と思った。あの作品は、虫歯があってはいけないね...
2010-05-18 09:10 : ポコアポコヤ 映画倉庫
映画評「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」
☆☆★(5点/10点満点中) 2009年フランス映画 監督トラン・アン・ユン ネタバレあり
2010-07-28 17:05 : プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]
Pagetop
コメントの投稿
非公開コメント

こんばんは^^
>上映前は予告篇の終了まで賑やかなおしゃべりが止まなかったのに、上映中は凍りついたように静かでした・・・。
↑そうでしたね~
近くの席でポップコーン買い込んでいたうら若き乙女の方も途中で食べ進まなくなっていたようで気の毒でした(笑)
映画は先入観なしで観るのがいいですけれども、それでもなお一定の予備知識があったほうがいいのかな、とまじめに考えてしまいました・・・

シタオは受難というよりは、やはり人間の苦しみを引き受けて生きるということを文字通りの形で体現しているわけですね。彼自身は苦しむけれど本当の苦しみではないようにも思えました。彼はフィクション的存在だったので、そのへんがなにやら面白さをかもしている気もするのですが、結局よくわかりません^^;
2009-06-15 22:06 : manimani URL : 編集
manimaniさん、こんにちは。コメントとTBありがとうございます。
私も、観た後友人と食事の約束してたんですけど、食事できるかな?と不安になりました。
(食べましたけども)
確かに、ある程度の情報は仕入れて行った方がいいかもですね。。
サプライズも大事だけど。

シタオのセリフが全部あの人の言葉だ、というご意見はmanimaniさんが書かれていたのでしたっけ?
彼があの方、というのは非常にわかり易かったのですが、諸々の意味は私もわかいませんでした。
ショーンくんが途中から消えてしまったのも残念でした。。
2009-06-16 18:18 : 真紅 URL : 編集
全部・・
こんにちは
たびたびすみません
シタオのセリフの「大半は」あの方の言葉だったと思うのです、が、「全部」とは言い切れない^^;

お食事が無事できてよかったですね
ワタシはグロ系観つつ食事も出来る奴ですが。。
2009-06-17 07:59 : manimani URL : 編集
manimaniさん、いえいえコメントありがとうございます。
シタオのセリフ、少なかったですよね。
DVDになったらどなたかが検証して下さるかも(笑)。
友人とは、食事というよりほとんどおしゃべりの時間でした♪
2009-06-17 21:04 : 真紅 URL : 編集
すっごく久しぶり。
映画感想記事がたまっていて、書くのに時間取られてご無沙汰。重なる映画もすくないこともあるかな? ちょっと感想も違っているのも多かったし…(「レスラー」とか『消されたヘッドライン」とか…」)
本作は未見だけど、トラン監督いきなりの「シクロ」きついわよ。
『夏至」を観てほしいなぁ。劇場に2回も足を運んだ作品、彼の美学はこんな世界のほうがいいと思うんだけどな。
お邪魔だけど「夏至」TBもって来るね。本作は時間あったら観にいこうかな、どうしようかなって思っているところ。
2009-06-26 14:52 : シュエット URL : 編集
シュエットさん、こんにちは~。
ホント、お久しぶりですね~。
私も、ここのところ全く余裕がなくて。。お伺いできないでいました。
でも、シュエットさんの旺盛な記事アップは拝見しておりましたよ~。
映画観られて、DVDも、お出かけも、と、ホントパワー溢れててスゴイ!といつも思っています。
私は、ボーっとしている時間が多いのか、なかなか記事も書けず・・。
反省です。
本作は、うーーん、とても「オススメ」とは言い難いです。。
でも、観なかった後悔より、観てしまったもの勝ち、の精神でご覧になってみて下さい!
2009-06-26 15:57 : 真紅 URL : 編集
こちらにも~
私が行った劇場(例のミニシアターじゃありません)でも
妙齢のお嬢さんばかりでしたが
ウチの場合は,上映中も「戸惑いの」おしゃべりがひそひそと・・・
期待したものと違ったんでしょうね・・・・
役者のカッコよさ,演技のよさは堪能できたかもしれませんが
それでも「気持ちわるい・・・」というつぶやきがあちこちで。
クリスチャンの私が観ても,その方面でも響くものはありませんでした。
やりたかったことは十分わかるつもりですが
描き方かなぁ?
2009-07-05 13:05 : なな URL : 編集
ななさん、こちらにもコメントありがとう~。
私が観たときも、シーンと静まり返っていたんですが、
最後のほうで「何この映画? 何が言いたいん?? 気持ち悪い」という小声が聞こえました(笑)。
そうなんだ~、響くものはありませんでしたか・・。
映画としての構成とか、カッコイイ役者とか、見所はあるんですが、やっぱりついて行けない部分が多かったですね。
ああ~、森がどうなってるか、ちょっと不安です。かなり。
2009-07-05 23:14 : 真紅 URL : 編集
真紅さん~こんにちは
グロかったよねぇ・・・しかも内容も???だし、好きじゃないわ、この映画。
でもせっかく3人の豪華俳優が共演してるっていうのに・・・残念だった。

で、そっかー!
真紅さんはシクロもダメだったのね?
この監督がノルウェイの森、撮るけど・・・不安だよね?
2010-05-15 11:17 : latifa URL : 編集
真紅さん~、なぜだか、ここ7日くらい前から、TBが出来なくなっちゃって、困ってるんだ。
以前は、
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)って所をクリックすると、小窓が開いて相手のアドレスが出たんだけど、出なくなっちゃったし、
普通にトラバのアドレスをコピペして(全部の記事がひっついてくるから、ちょっと大変なんだけど、それを一端どこかに保存して、要る部分だけカットして貼ってやったんだけど)それでも表示されないの。
困ったわ・・・・

真紅さんもFC2だよね?
管理者画面で、トラックバックの管理ってところあるでしょう?あそこから、返信ってすると、一部表示されないブロガーさんもいるけど、たいがいのブロガーさんちのアドレスが自動的に小窓に表示されて、トラバ返し出来てませんか?
私は以前は、それを使っていたんだけど、それが全く使えないの。
FC2の相談に問い合わせしたんだけど、返事あいまいで・・・
2010-05-15 11:33 : latifa URL : 編集
latifaさん、こんにちは~。コメントありがとうございます。
そうそう、この映画劇場で観たけど今までで一番ビミョ~~~な空気が流れてたわ。
私も、なんか好きじゃないわ~。木村さんは見直したけど。
ノルウェイ、かなり不安。。というか、直子が、、っていう時点でもう不安(笑)。
春樹さんは、もう観たのかな。。ワタナベくんとキヅキくんは、いいんだけどね。
でも直子と緑は、、だわ。不安。

あと、FC2のTB不調の件。そうそう、返信できないよね~。
私は、返信ができないだけでURLをコピペはできるんだけどね。
スパムも酷いし、スパムとして登録しても削除されないし。
一体どーなっとんねん?!って感じよ。全く。
でも、FC2は前からTBは不調だよね。。ココログさんとか、アメブロさんとか飛ばせないところ多いし。
プログラムの改修ミスだろうね。まぁ、無料で使わせてもらってるから文句も言えないけど。。
後で伺いますね~。
2010-05-17 17:55 : 真紅 URL : 編集
>妙齢のお嬢さん・
それって私のこと?(笑)
これは誰かを誘って観に行く作品じゃないですね。
当然?一人でスクリーンの彼を観に行きましたです・・
彼は英語が堪能ですよ・・GIジョーでも・
仏文学科卒なのでフランス語も喋れますよ・きっと。
フランス語喋ってるのは訊いたことはないでけど。
彼の歌も好きです。。
2010-06-23 01:10 : sanae URL : 編集
sanaeさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
いやいや、私も十分トウの立ったお嬢さんですから~(笑)。
sanaeさんはビョン様のファンでいらっしゃるのでしょうか。。
私はファンではないのですが、彼の映画は結構観ています。
『我が心のオルガン』とか『バンジージャンプする』が好きです~。
歌も唄われるのですね。。声がいいからきっと上手でしょうね^^。
2010-06-23 18:35 : 真紅 URL : 編集
Pagetop
« next  ホーム  prev »

What's New?

真紅

Author:真紅
 Cor Cordium 
★劇場鑑賞した映画の感想はインスタにアップしています@ruby_red66

Archives

Search this site

Thank You!