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映画が大好きです。いつまでも青臭い映画好きでいたい。 記事は基本的にネタバレありです by 真紅 (言葉を探す人)   ★劇場鑑賞した映画は Instagram にアップしています @ruby_red66 ★Stay Blue

目には見えないもの~『永遠のこどもたち』

永遠のこどもたち



 EL ORFANATO


 孤児院で育ったラウラ(ベレン・ルエダ)は、自らも孤児院を開こうと閉鎖されて
いた海辺の屋敷に戻ってくる。誰もいないはずの室内で、彼女の一人息子シモン
「お友達」がいると言い出し、突然失踪する・・・。

 スペインで大ヒットしたというサスペンス・ホラー怖い映画は滅多に劇場では
観ない私なのだが、評判のよさギレルモ・デル・トロ製作に惹かれて鑑賞。確
かに怖かったけど、ただのオカルト、ホラーではありません観てよかった! 
 ヒロインのベレン・ルエダが、全編出ずっぱりの大熱演絶対に諦めない、母の
息子への愛
執念にも、狂気にも映る。男性にはわからない感覚なのかもしれ
ないけれど、私は大いにヒロインに共感した。

永遠のこどもたち2

 大雨の日に突然屋敷に現れたベニグナ(モンセラート・カルーヤ)や、風もないの
閉まる扉。シモンに見える「お友達」も、何もかも全てラウラの妄想なんじゃない
か? と一瞬、思ったりもした。亡くなった家族を近くに感じるのはよくあることだと、
霊を呼び出す霊媒師たちを「茶番」だと心理学者ピラール(マベル・リベラ)は言う。
夫カルロス(フェルナンド・カヨ)も、もうこの屋敷にはいられないと言う(もしかして、
全てカルロスの仕組んだこと? とも考えた)。しかし、ラウラは確信していた。シモ
ンは生きている、生きてこの屋敷のどこかに居ると
。。

 たとえ自らのお腹を痛めて産んだ子でなくとも、母と子の絆は強い。夜中に子が
泣けば、ベッドに向かうのは必ず母親だし、子も(父ではなく)が来るのを望んで
いる。子は母に御伽噺をねだり、母は慈しみを込めて子の巻き毛に触れる。母と
子の蜜月の、なんと美しく儚いことか! そして、ほんの少しの感情のすれ違い
ら、終わり突然やってくる・・・

永遠のこどもたち3

 目には見えないものの存在を、信じる人もいれば、信じない人もいるだろう。
私はそういうものたちを感じられる体質ではないけれど、決して否定はしない
しかし、それは「信じる/信じない」という二者択一で括られるべきものではなく、
確かに「そこに在る」ものなのだと思う。見えないけれど、過去「確実に」存在
しているように。

 悲しいけれど、ハッピー・エンディングだと思えるラストがいい。これぞダーク・
ファンタジー! スペイン映画万歳。


 (『永遠のこどもたち』監督:フアン・アントニオ・バヨナ
    製作総指揮:ギレルモ・デル・トロ/2007・メキシコ、スペイン/
       主演:ベレン・ルエダ、フェルナンド・カヨ、ロジェール・プリンセプ
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ジャンル : 映画

2009-02-10 : 映画 : コメント : 12 : トラックバック : 20
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2010-12-20 08:38 : ノルウェー暮らし・イン・London
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興味が!
怖いものは苦手な私ですが
と言いつつ・・最近少しずつ見たりしています

この作品はちょっと怖さが違うのかしら?記事を読んでいたら、だんだん見たくなってきました♪
母が子を思う気持ち・・そのフレーズにすごく惹かれたので、観たいなぁ~と思います
スペイン映画って、いいですよねぇ~
2009-02-10 21:45 : D URL : 編集
こんばんは、真紅さん★
物語に様々に散りばめられた伏線が、どんどん回収していくところ、完璧なデッサンで見事でした!
これ、妄想系ストーリーだったとしたら、もっと簡単に描けただろうと思うのに、エピソードを全て繋げていく辺りも上手だなあと舌を巻きました。

ところで、怖いシーン、本当に大丈夫でしたか?
私は、椅子から何度も飛び上がりそうになっちゃったんですけど・・。
本気で怖かったです私。
でも、それだけじゃなくて、母の気持ちを考えたら、切なくなりました・・・。
2009-02-11 01:38 : とらねこ URL : 編集
Dさま、こんにちは~。コメントありがとうございます。
私も、怖い映画は自分からはほぼ観ません。
でも、この映画はジャンルとしては「ホラー」だと思うのですが、素晴らしい作品ですよ。
怖いだけじゃないです。。半端なく怖いですが。
映像もとても綺麗ですし、DVDででも是非ご覧になってみて下さい♪
ではでは、またお伺いします~。
2009-02-11 07:49 : 真紅 URL : 編集
とらねこさま、こんにちは~。コメントとTBをありがとうございます★
そうなんです、これ脚本の構成が巧いですね~。
一瞬、妄想かと思わされるのですが、そうじゃないんですよね。
怖いシーン・・・。本当に怖かったです!
実はここまで怖いと思っていなかったので、「勘弁してくれ~」って感じでしたよ。
でも、隣の女性(他人)がそれこそ椅子から飛び上がってはったので、ちょっと冷静になれたかな(笑)。
母性愛が強く描かれてましたね~。。
いやホント、いい映画でした!
ではでは、またお伺いしますね~。
2009-02-11 07:53 : 真紅 URL : 編集
真紅さんおはよーございます♪
怖いものダメなのに観て下さって嬉しい!(って自分作った訳でもないのに  笑)

怖いのダメでこれが観られないのはちょっと勿体ないと思うんですよね。

>目には見えないものの存在を、信じる人もいれば、信じない人もいるだろう。
私はそういうものたちを感じられる体質ではないけれど、決して否定はしない。

わたしもそうですー
霊感とか全くないケドこういう世界があっても不思議ではないとおもうんですよね。
切ないけど本人には幸せなラストでした~
2009-02-11 09:52 : mig URL : 編集
migさま、こんにちは~。コメントとTBをありがとうございます♪
そうそう、migさんこの映画昨年のベスト作に入れてたよね。
普段ホラー観ない人にこそ観てほしい、ってホント、私もそう思います。
怖いの苦手だからという理由だけでスルーするには、あまりに勿体ないです、うんうん。

眼には見えないけど、確かにそこに在るものって絶対ありますよね。
切なくて幸せなラスト。よかったですね~。
ではでは、またお伺いします~。
2009-02-11 15:02 : 真紅 URL : 編集
真紅さま,こんばんは!
ただの怖い映画も大好きな私ですが
こういう風情のある怖い映画はもっと大好きなので
DVDリリースとともに鑑賞しましたよ!
さすがギレルモ監督の製作だけありますよね。
ラストはこれまでで一番号泣し
翌日は目が腫れてしまいました。

ところで真紅さま,「チェイサー」ご覧になったのですね!
これ,すっごく観たいのですが
ウチの県では上映してもらえず・・・これもDVD待ちですが
待ちきれません!
みなさん大絶賛の韓国映画って久しぶりですもの。
あの「オールドボーイ」や「殺人の追憶」のような感動が
また味わえるのですね…楽しみ。

あ,インフルエンザ・・・くれぐれもご自愛くださいね,お子さんも。
2009-05-25 22:24 : なな URL : 編集
ななさん、こんにちは~。コメントとTBありがとうございます!
この映画、すっごくよかったですね。そうそう、風情があって・・・。
めっちゃ怖かったですけれども、ヒロインが美しく。。
ラストシーン、もう一回観直したいと思っているのですよ。
子どもの人数を必死で数えようとしたんですけどね~。
後ほどお伺いしますね。

『チェイサー』、はい、観ましたとも~(ピース☆)。
例の映画館でも上映しないのですか? 支配人さ~ん。。
荒削りですが、凄い映画ですよ。
観始めた瞬間に引き込まれます。鷲掴み。
是非ご覧になってね!

新型インフーのせいで、先週は映画館に行けませんでしたよ・・。
子どももマスクして学校行ってます!
お気遣いありがとう~。お互い気をつけましょうね。
2009-05-26 19:42 : 真紅 URL : 編集
真紅さん、こんにちは~!その後お仕事とか色々、落ち着いて来ましたか?
生活のサイクルとか、慣れて来たかな・・・^^

これ、今更ですが見ました!
面白かったし、怖かったし、雰囲気もとても素敵でした。 ただ、ラストのオチがハッピーエンドなんだろうけれど、なんとなしに手放しで喜べない感じで・・・(ハッピーエンドを期待してた訳でもないし、悲しい終わり方でも別に良かったのですが、、う~ん、上手く説明出来ないな~)

母が子供を助ける為に絶対に諦めない!って映画は基本大好きです。感情移入できます☆
2009-06-10 12:36 : latifa URL : 編集
latifaさん~、こんにちは! コメントとTBをありがとうございます。
仕事は、、だいぶ慣れたかな? でも、今日は疲れた・・・。
仕事って、結局人間関係なんだなーって思います。

そうそう、この映画のラストは考えさせられるというか。。
ハッピーエンドなんだけど、何かこう、非常に物悲しいというか。。
でも、映像とかなかなか凝っていて面白かったですね。怖かったけど。。
私も、母目線で観てしまいますね。『チェンジリング』とかね。
今から伺いますねー!
2009-06-10 19:41 : 真紅 URL : 編集
監督
TBありがとう。

いくらギルレモが製作だとは言え、とても新人監督の作品だとは思えません。
スペイン映画の正統を踏んでいますね。
脚本は、すごく練られていると思いました。
2009-07-21 22:42 : kimion20002000 URL : 編集
kimion20002000さん、こんにちは。こちらこそコメントとTBをありがとうございます。
確かに、新人監督の作品とは思えません。素晴らしい作品でした。
かなり衝撃的なシーンもあったのですが、忘れられない余韻のある映画だったと思います。
2009-07-22 23:24 : 真紅 URL : 編集
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