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映画が大好きです。いつまでも青臭い映画好きでいたい。 記事は基本的にネタバレありです by 真紅 (言葉を探す人)   ★劇場鑑賞した映画は Instagram にアップしています @ruby_red66 ★Stay Blue

歩く速さが同じだった~『きみの友だち』

きみの友だち

 小学四年生交通事故に遭い、松葉杖で歩く恵美。彼女には、いつものよう
に寄り添う由香がいた。しかし、彼女たちの関係は、長くは続かなかった・・・。
恵美と彼女の弟ブンを中心に、彼らに関わりのある子どもたちを巡る物語連作
短編
が、最後に一つの大きな形に収束する。

 重松清さんの本は読み始めたばかりだけれど、一気読みというのができない。
何故なら、が溢れて全然、進まないから。この本は、友だちと自分について、
悩んだり、苦しんだりした経験がある人
には、きっと共感できるところがあると
思う。

 「同級生だから友だち---嘘だと思う、絶対に」

 「親友」だとか「友だち」だとか、そもそも「みんな」って一体、何だろう?

 気が合う、ってどういうことなんだろう。ずーっと一緒にいるから友だちなんじゃ
なくて「一緒にいなくても寂しくない」のが友だちなんだ。そう頭の中ではわかっ
ていても、「みんな」の中で一人でいるって、すっごく勇気がいることだと思う。
特に中学生の女の子だったりしたら。

 「いじめの一番怖いところは、性格を変えられてしまうところ」っていう言葉も
印象的。最近ではモラハラっていう言葉も定着してきて、無視人格攻撃
被害者の精神を破壊するってことも認識されて来ているとは思う。でも、学校
の中の教室っていう場所
ではまだまだ、無邪気な悪意がはびこっているのだ
ろう。

 この小説の好きなところは、どんな子どもにも弱みも長所もあるんだよ、と言
ってくれているところ。文武両道、何をやらせてもトップブンやモトにも、勉強
もスポーツも今ひとつの三好くんにも、先輩風を吹かすだけのような佐藤くん
も。それぞれに事情があって、それぞれの悩みがある。そして、そんな一人一人
に、きっといいところがあるんだよ
、って。

 私はもう、とっくの昔に大人になった。だけど今でも「友だちって何だろう」って
考えてしまうことがある。特にブログを始めてからは、匿名の繋がりではあって
ネット上にもいろんな人間関係が見えて、勝手に傷付いたり、落ち込んだり
ることもある。でも私は、親しくコメントやTBをやりとりした方々のことを「友だち」
だと思っています
。勝手に。たとえブログを止めることがあっても、忘れへんよ、
絶対。


 (『きみの友だち』重松清・著/新潮社・2005)
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ジャンル : 本・雑誌

2008-12-02 : 読書 : コメント : 6 : トラックバック : 5
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「きみの友だち」「流星ワゴン」重松清 感想
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きみの友だち 重松清
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きみの友だち
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きみの友だち 重松清 ★★★
「きみの友だち」重松清読みやすさ度 ★★★深度 ★★★ああ、何でこの作者は、こんなに分かっているんだろう。いい大人の私がこの本を読んで、そこに書かれたこども達の気持ちに一々共感して、懐かしさに涙して、あ、この人子どもの気持ちをよくわかってくれてる、とま...
2009-01-31 14:47 : 書を捨てず町へ行こう
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非公開コメント

だいぶ内容を忘れかけていたんだなあ・・・と真紅さんの記事を読んで気がつくと同時に、色々なことが蘇って来ました。

私はね、若い10代の頃、あんまり回りに対しての配慮が欠けていたなぁ~と思うんですよ・・、なんか今から思うとアワワワ!!という事が一杯、反省、反省です・・・。(でも、誰かをイジメたりとか、そういうことはしませんでしたよ)
そんな無神経で好き勝手にやってた私が、友人関係では、とりたてて苦労もせず、楽しく過ごして来たのに、友達や回りに凄く気を使ってばかりいる家の娘が、すごく友人関係でいつも苦労しているのを目のあたりにすると、なんか不公平だなぁ~~って感じたりします。

自分としては、大人になってからは10代の頃とは随分色々配慮して人と付き合う様になったと思ってるんですが、不思議なことに、気を使う様になってからの方が、人間関係で苦労する事が多い気がするんです。気のせいかな?たまたまかな・・・?

私もブログで知り合ったお友達、とても大切に思っています。真紅さんもその一人です(*^_^*)
2008-12-02 14:27 : latifa URL : 編集
latifaさま、こちらにもコメントとTBをありがとうございます。
私も、学生時代はずーーーーっと配慮のカケラもない人間だったと思います。
時々ね、、昔の同級生に頭下げたい、と思うことすらあります(酷い奴・・)。
いじめってわけじゃないんだけど、言葉が足りなかったり、直接的過ぎるところがあったと思うんですよね。
でもでも、気を遣うようになってからのほうが苦労が多い、、、ってなんか、すっごいわかる!!
自分を抑えてしまうから、そう感じるのかも?しれないですね。
いろんな人がいるのはわかってるんだけど、どうしても納得行かないことがあったり・・。
人間関係ってホント、難しいですよね。疲れを感じてしまうときもありますね。。
でも、自分をしっかり持って、ブレない生き方をしたいですね。ハッサンみたいに←いきなり

latifaさん、いつも丁寧で心のこもったコメント下さって、ホントに感謝しているんですよ。
これからも末永く、よろしくお願いします♪
ではでは、またお伺いします~。
2008-12-02 22:56 : 真紅 URL : 編集
こんにちは♪
同時期に同じ本を手にしていたようですね~!
これも何かのご縁だわ。
だって、映画は公開時期が大体同じだけど、本だけはいつ手に取るかは全く予想がつきませんものね。
能天気なO型ゆえ、都合の悪いことは忘れてしまっているのかもしれませんが、概ね友人関係には恵まれてきたと思います。
浅い付き合いの友人を何人も持つよりも、深い付き合いの友人を数人持つ方が好みですし、そういう友人に裏切られたりした事はないですからね~。
ブログを通して知り合った方たちは一生の宝物です。
真紅さんのお名前も一生忘れませんよ~(ボケちゃったらゴメン!)
2008-12-03 08:39 : ミチ URL : 編集
お邪魔します~~
この物語の構成がとっても好きで、やっぱり最後は涙無しには読めませんでした。
重松さんは、思春期の女の子の気持もよくわかるのね・・・と感心さえも覚えました。
私はどっちかというと中学時代は友だち関係に苦労したところあって、こういう思春期ものには
結構敏感に反応してしまいます。いや~~いじめられていたってわけじゃないし、反対でもないけどね・・笑
今の時代の中学生のほうが、より人間関係難しくなっているかな・・って思いますね。
<↑ブログの上の友だち>私も同感です。
真紅さんも大事な友だちだと思っております。
文章に人柄ってにじみでるわよね~~と最近つくづく思っております。
そういうわけで・・・・笑・・今後とも仲良く
してくださいね♪
2008-12-03 08:52 : みみこ URL : 編集
ミチさま、こんにちは~。コメントとTBをありがとうございます。
同じ本や旧作を、知っているブロガーさんと同時期に読んだり、観たりしてたらうれしいですよね♪
ミチさんは映画も観られてうらやましいな~。
私もO型で能天気なハズだったんですが、ここ10年ほど「A型?」と言われることが多くなってきました・・・。
昔は、典型的なO型と言われていたのに~。。
私も、浅い友達、というのは「知り合いでは?」と思ってしまうんですよね。
でも今の子どもたちって、そういう浅い付き合いが多ければ多いほどいい、みたいな価値観なのかな~、と思います。
そんな中で恵美ちゃんみたいな子は、生き辛いですよね。。
私も、ミチさんは憧れの存在、目標ですらありますわ♪
今後ともよろしくお願いします! またお伺いしますね~。
2008-12-03 15:30 : 真紅 URL : 編集
みみこさま、こんにちは。コメントとTBをありがとうございます。
そうそう、重松さんって取材とかしてるのでしょうか?
なかなか中学生くらいの女の子がおじさんに心を開いて、いろいろしゃべってくれる、って難しそうなのにね・・・。
中学の頃って自意識も過剰だし、難しい年頃ですよね~。
私も、赤っ恥な過去がたくさんありますわ。。

文章に人柄がにじみ出る、これ私もいつも思います!
オフ会をすると、イメージ通りの人だった、ってよく聞きますし。
私ね、みみこさんの「お邪魔します~」が大好きなんですよ♪
あ~、みみこさんだ~、と思ってね。。うれしいんですよ。
こちらこそ、今後ともよろしくお願いします!
ではでは、またお伺いします~。
2008-12-03 15:36 : 真紅 URL : 編集
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