聖地巡礼の旅~『サン・ジャックへの道』
サン・ジャックへの道



 SAINT-JACQUES... LA MECQUE


 仲の悪い3兄妹遺産相続の要件を満たすため、フランスのル・ピュイからスペ
インのサン・ジャックまで、1500キロ
徒歩で行く「聖地巡礼」の旅に出る。

画家と庭師とカンパーニュ主演のジャン=ピエール・ダルッサン出演作という
ことで鑑賞したが、これは素晴らしい作品だった。仲が悪い兄弟が、旅を通じて
心通わせる
・・・という予定調和的ともいえるストーリーのロード・ムービーでは
あるが、そこには押し付けがましさ教訓めいた説教臭さは微塵もない。身体を
動かして何かを成し遂げることの大切さ
、そこから見えてくる「生きる」ことのかけ
がえの無さ
支え合うことの喜び、誰かと共にいることの幸せ・・旅に出たくな
、今すぐに。

サン・ジャックへの道2

 私が一番好きだったのは、兄妹の長女であり、バリバリの左翼教師クララ(ミュ
リエル・ロバン)
が、失読症のアラブ人少年文字を教えるエピソード。「あなたは
バカなの?」と何度も訊き、「自分はバカじゃない」と少年に自信を植え付けてから、
彼の好きなサッカーに関する言葉から教え始める。Aから始めなくても、「ジダン」
のZ
から始めたっていい。こういう鷹揚さも、彼女が旅から学んだことかもしれない。
純粋でやさしい天然ボケ少年がまた、いい味なんです。。

 長男ピエール(アルチュス・ドゥ・パンゲルン)は、お金持ちなのに少しも幸せそ
うに見えない
携帯に縛られ、に依存し、心ここに在らずでアルコール漬けの
を残し、不安神経症気味。歩くことで、一番変わったのはかもしれない。

サン・ジャックへの道3

 見渡す限り、空と平原しかない壮大な景色が、歩き続ける彼らを見守っている。
女の子たちは重い荷物を捨てる。旅に必要な物なんて、本当は案外少ないんだ。
に降られたり、投宿を断られたり、シュールな夢を見たりしながら、旅は終わ
りに近付いてゆく。この広大な風景を、大きなスクリーンで観たかった。

 私も彼らと一緒に、ずーーーっと歩いていたいような気持ちになる。でも終わ
らない映画がないように、旅も必ず終わる
。そして旅で得たものがあれば、
うもの
もある。喜びと悲しみは、どうしてセットなんだろう? 出会いと別れも、
どうして一度にやってくるのだろう・・・。旅は、人生と同じなんだな、と思う。
この文章の「旅」という文字を、そっくり「人生」に置き換えてもいい。どうしよう
もない奴が道連れ
だったりもする。道が険しくて辛いときもある。それでも・・・。

 歩こう。 歩こう、私はー元気ー♪

 (『サン・ジャックへの道』監督・脚本:コリーヌ・セロー
     主演:ミュリエル・ロバン、アルチュス・ドゥ・パンゲルン、
              ジャン=ピエール・ダルッサン
/2005・仏)
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[2008/11/24 22:41] | DVD/WOWOW | トラックバック(6) | コメント(8) |
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コメント
TBありがとう。

あのうるさおばさんの、言葉の教え方は見事でしたね。
やっぱり専門性というのは、必要だと思いました。
[2008/11/24 23:50] URL | kimion20002000 #fOhGkyB. [ 編集 ]
真紅さん~こんにちは!
ジャンピエール・ダルッサンさん繋がり・・って事が背中を押してこの作品をごらんになったんですね。ちなみにすいません、その人が演じた役柄っていうのはどれなのかな?次男さん(よっぱらいの人)かな?教えて下さい~^^ 「庭師~」でも味のある役どころを演じていたのかな。

私も言葉を教えるくだりが一番好きでした☆
一番上のポスターは初めて見た気がします♪タイトルの文字の感じとか、全体的に、可愛らしくまとまってますね~^^
[2008/11/25 08:48] URL | latifa #SFo5/nok [ 編集 ]
真紅さん、こんにちは。
ご覧いただけて嬉しいでっす。
これはもうホントに大好きな映画がなのです。
そう、人生は旅なんですよね。
旅・人生・映画!
主人公たちが一見感じいい奴じゃないところがまたいいなぁと思うのです。
歩いても歩いても…。
それでも、歩くのだー♪
[2008/11/25 10:24] URL | かえる #- [ 編集 ]
kimion20002000さま、こんにちは。こちらこそコメントとTBをありがとうございます。
やはり、あの鬼(?)教師の青空教室が一番よかったですよねー。
鬼がやさしい顔になっていくのがうれしかったです。
ではでは、またお伺いします~。
[2008/11/25 11:39] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
latifaさま、こんにちは。コメントとTBをありがとうございます!
この映画は前々から気にはなっていたのですが、ダルッサンが出ているということで観てみました。
彼は↑の2枚目の写真、ショットグラスを持ったおじさんです。
庭師とは全く違う、フザけたおやぢでした(笑)。
ポスター、いいでしょう? ♪この~木何の木気になる木、って感じで。
やっぱり、こういうフランス映画はいいな~と思いました。
ではでは、またお伺いしますね~。
[2008/11/25 11:47] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
かえるさま、こんにちは。コメントとTBをありがとうございます。
はい~、こちらこそホント、この映画観てよかったですー。
背中を押していただきありがとうございます。
日本で巡礼ってストイックなイメージだけど、あちらではホント、ピクニックのノリなのですね。
いろんな事情がある人たちっていうのも、「宗教は罪びとのもの」ですから逆にリアルですね。
これからも「映画を巡る旅」を続けませう!
ではでは、またお伺いします~。
[2008/11/25 11:52] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
真紅さん、こんばんは!
TBありがとう!
この作品大好きです!
「画家と~」のダルッサン...この方ひょうひょうとした雰囲気がナイスですね。
[2008/11/25 21:09] URL | margot2005 #- [ 編集 ]
margot2005さま、こんにちは! こちらこそコメントとTBをありがとうございます。
私もこれは好きです~、本当にいい映画だと思います。
ダルッサンも、あんなに前頭部が禿げ上がっているとは・・・。
庭師ではずっと帽子被ってましたよね。気付きませんでした(笑)。
ではでは、またお伺いします!
[2008/11/26 09:07] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
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mini review 08274「サン・ジャックへの道」★★★★★★★★☆☆
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「Saint-Jacques... La Mecque」2005 フランス 2006年フランス映画祭で「サンティアゴ...メッカ」のタイトルで上映されている。 「赤ちゃんに乾杯!/1985」「女はみんな生きている/2001」のコリーヌ・セローが監督、脚本の人間模様、ロード・ムーヴィー。 フランス
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