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映画が大好きです。いつまでも青臭い映画好きでいたい。 記事は基本的にネタバレありです by 真紅 (言葉を探す人)   ★劇場鑑賞した映画は Instagram にアップしています @ruby_red66 ★Stay Blue

私の庭師との会話~『画家と庭師とカンパーニュ』

画家と庭師とカンパーニュ



 DIALOGUE AVEC MON JARDINIER


 大都会・パリから、生まれ故郷の田舎町へと帰ってきた中年の画家(ダニエル・
オートゥイユ)
は、小学生時代に同級生だった庭師(ジャン=ピエール・ダルッサン)
再会する。「無鉄砲コンビ」と呼ばれていた彼らは、たちまち意気投合し・・・。

 本作のフライヤーを初めて見たとき「どこかで観た映画?」という既視感があった。
そう、クリクリのいた夏ポスターとそっくり! 監督は同じジャン・ベッケル
知り、大いに納得絶対に観たい映画だった。対照的な人生を歩んできた二人の
中年男の友情と、フランスの田舎の煌く陽光が美しい。温かい涙が流れる佳作

画家と庭師とカンパーニュ2

 この映画の脚本は、『クリクリ~』ピエロの赤い鼻ジャン・ベッケルと組ん
名優、ジャック・ヴィルレ(2005年に急逝)のために書かれたのだという。公式
サイト
監督インタビューでそのことを知り、またが・・・。彼が庭師を演じていた
ら、よりユーモラスな作品になっていたかもしれない。

 家庭を顧みず、娘ほどの年齢のモデルと浮気をし、ハッパを吸い、妻とも娘とも
上手くいっていない画家。パリで専業画家として成功してはいても、どこか満たさ
れない空虚さ
を感じていた。そんな彼が、幼馴染との再会により、少しずつ人生で
本当に大切なもの
に気付き始める・・・。

 キャンバス(画家)ジャルダン(庭師)と呼び合う二人の、まぁしゃべることしゃ
べること!
 最前列で観ると決めているシアターでの鑑賞だったため、字幕を読む
のが追いつかないほど。しかし、それも原題を知って納得。これは「庭師との会話」
を描いた映画なのだ。

 文化や芸術には疎いが、しっかりと地に足をつけて生きてきた庭師娘やその婿
に恵まれ、妻を敬意を込めて「奥さん」と呼び、「底辺だ」と言いながら国鉄職員とし
て受ける恩恵に感謝し、長年泥まみれで働いた。妻と過ごすニースでのバカンス
心待ちにしている彼の人生の、なんと豊穣なことか! アルジェリア出身の妻を演
じたのはヒアム・アッバス美人だけれど、ちょっと薄幸な雰囲気イスラエル=
アラブの女優さん


画家と庭師とカンパーニュ3

 死期を悟っても菜園に出かけ、モーツァルトを聴きながら横たわって作業する
庭師は言う。「空だと迷ってしまうから、土の中がいい。根があるから」
自分の居場所と、本当に愛するものを持っている者だけが言える言葉。平凡でも、
名を残さずとも、人生は素晴らしいと思わせてくれる作品
だった。

 (『画家と庭師とカンパーニュ』監督・脚本:ジャン・ベッケル/2007・仏/
          主演:ダニエル・オートゥイユ、ジャン=ピエール・ダルッサン
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テーマ : フランス映画
ジャンル : 映画

2008-11-11 : 映画 : コメント : 12 : トラックバック : 7
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2008-11-11 19:58 : ヨーロッパ映画を観よう!
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2008-11-16 02:46 : だらだら無気力ブログ
「画家と庭師とカンパーニュ」感想
パリで画家をしていた男が故郷に戻って来た。そこに現れたのは、昔の友達。彼はずっとここで国鉄職員として暮らして来ていた・・・。
2009-06-24 11:31 : ポコアポコヤ 映画倉庫
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真紅さん、こんばんは!
TBありがとう!
ほんと二人良く喋ってましたね。掛け合い漫才のごとく...
この作品は、この二人のベテラン俳優あっての作品かと思えます。
フランスの田舎風景と、男の友情物語。おまけに映像がとっても美しくて...今年度のマイ・ベストに入れたいです。
>平凡でも、名を残さずとも、人生は素晴らしいと思わせてくれる作品だった。
上同感ですね。
2008-11-11 20:05 : margot2005 URL : 編集
真紅さま こんにちは。
この映画は全国一斉公開ではなくて、上映館を転々と移しながら公開してるようで。私は夏に見たのですが、やっと真紅さんのお近くで上映されるようになったのですね。ご覧になれて良かったですね。まるで印象派の美しい絵画の中でふたりの〝おじさん坊や〟が嬉しそうに楽しそうに戯れているトレビアン(!)な映画でした。真紅さんのレビューを拝見しながら久々に思い出し、ちょっと瞳が潤みました。この映画を見終わった時、「もしも何年後かに米国でリメイクされることがあるならば是非ヒース・レジャーとジェイク・ジレンホールで」と、決して叶うはずのない夢を思って少し泣いたんです。
ところで・・・最前列でご覧になったのですか?!確かにそれは字幕がたいへんそうですね(笑)。
おじゃましました~。
2008-11-11 22:07 : メグ URL : 編集
margot2005さま、こんにちは。こちらこそコメントとTBをありがとうございます。
あまりにもよくしゃべるので、「フランス人ってこんなにしゃべりだったっけ・・・」と考えてしまいました。
これは原作通りにアダプトしたようですね。
私は庭師役の俳優さんは初見だと思うのですが、いい俳優さんだなぁと思いました。
こういう、フランスののどかな田舎を舞台にした映画、大好きです。
もう風景だけでOK!みたいな。。
ではでは、またお伺いしますね。
2008-11-12 09:01 : 真紅 URL : 編集
メグさま、こんにちは。コメントありがとうございます。
こういう小品は、どうしても順次公開になりますよね。
しかし東京と大阪で公開時期がかなり開きがある作品が多く、早く観たいな~、といつも思います。
この映画は先週観たんですよ。10月下旬から公開だったと思います。
ヒースとジェイクの共演、もう願うこともできなくなってしまいましたね。。
返す返すも残念でたまりません。ヒースの無念を思うと・・・。
ジェイクも元気にしてるかな? ご両親が離婚されるそうで、落ち込んでないかな。。

この劇場は、スクリーンがちっさいんですよ!
最前列でちょうどいい感じです。前から埋まっていく印象があります。
BBMも、同じビルにあるミニシアターでずっと観ていました、もちろん最前列で(笑)。
シネコンなんかだと後方が観やすいですけどね~。
ではでは、またです~。
2008-11-12 09:11 : 真紅 URL : 編集
真紅さん、こんばんは。
これって、ジャック・ヴィルレのために書かれた脚本だったとは知らなかったですー。
今更、うるるー。
奇人たちの晩餐会の彼が亡くなったと知ったのは去年かおととしのことでした。
ハリウッドのメジャー俳優なんかじゃないと、訃報にさえ、しばらく気づくこともないのがショックだったりします。
確かに、庭師役はダルッサンよりもヴィルレの方よりよかったかも。
でも、ダルッサンの素晴らしさも今回しみじみと感じました。
『サンジャックへの道』にも出ておりまする。
2008-11-15 00:32 : かえる URL : 編集
かえるさま、こんにちは。コメントありがとうございます。
そうなんですよ・・。私なんて、彼が亡くなっていたのを知ったのはつい最近です。
なんとも言えないユーモアを醸し出す俳優さんでしたね。
まだ50代だったそうで、本当に惜しい・・・、と思いました。
監督もさぞかしショックだったことと思います。
しかし、ダルッサンも田舎の庭師の感じはよく出ていましたよね。
『サンジャックへの道』は未見なんですよ。
とっても評判がいいので是非観たいと思っています。
ではでは、私もまたお伺いしますねー。
2008-11-15 10:41 : 真紅 URL : 編集
こんばんは~♪
いつもいっちょかみしていただき嬉しいです。
敷居がだいぶ高いのですがお邪魔します。
これ、もう上映終わってしまいましたよね。
観にいけなくて哀しかったです。
観てから・・と思いつつ、全部拝読してしまいました。
しみじみと胸に沁み込む言葉ですね。

昨日は真紅さまに教えていただき感謝感激だったDVD「恋ひとすじに」を見ることができました。
ようやくだいぶ遅れて届いたんです。
美しい美しい映画でした~。。
朗報、改めて感謝いたします♪
2008-12-02 21:37 : 武田 URL : 編集
武田さま、こんにちは~。コメントありがとうございます。
敷居、全然高くないですからね! 一見さんでもご無沙汰さんでも大歓迎よん♪
こちらこそいつもしょーもないコメントで、失礼してます(笑)。

これは、もう終わったのかな? 結構長く上映してましたけど、なんせ単館ですからね、厳しいですよね~。
『クリクリ~』がお好きな武田さんですもの、、きっとDVDで観ても素敵な作品だと思いますよ。
早くDVD出して欲しいですね。

おお、『恋ひとすじに』! って観たことないのですが。。
念願の作品がDVD化、うれしいですよね~。
喜んでいただけたら何よりです。
ではでは、またいっちょかみさせて下さいね~。
2008-12-02 23:14 : 真紅 URL : 編集
真紅さん~こちらにも^^
いやぁ~~期待以上に善かったわ♪
知っている俳優さんや女優さんが、ちょこちょこ出て来てたのも嬉しかった♪
またあのマリアに出てたアルジェリア系の女優さんとか、サンジャックのおじさんとか~。

クリクリは再見しようと思って、図書館にリクエストしたんだけれど、回って来ないなぁ・・・・誰か借りっぱなしで止めてるみたい!

私的には、赤鼻のあのおじちゃんより、サンジャックのおじちゃんの方が良かったかも・・・と思うけれど、赤鼻のおじちゃんが演じたらどんなだっただろう?って凄く興味があるわ・・・。もう絶対に見れないっていうのが、、残念ね・・・
2009-06-24 11:35 : latifa URL : 編集
latifaさん、こちらにもコメ&TBありがとう♪
私も、あの女優さん出てきてうれしかったな~。
『クリクリ~』大好きなんで、これは絶対に観たかったんです。
ところでDVD、図書館で借りてるのね。。いいなぁ~。
ウチは行きつけ(?)の館がCDやDVDは置いてないのです(泣)。
まぁ、最近は家でDVD観る時間が取れないんだけど・・。
赤鼻のおじさん、急逝されたそうで・・。
全然知らなかったんでビックリでした。
でもサン・ジャックの人も、いい味でしたね♪
2009-06-25 08:11 : 真紅 URL : 編集
真紅さま
ご覧になっていたのですね!
作品の中に登場する数々の言葉がこの作品を思い出させてくれる素敵なレヴューです
私もこの地味で深い静かに流れていくありふれた人生の描き方が好きです

TBさせて戴きました♪
2009-09-30 09:13 : Maria URL : 編集
Mariaさん、こんにちは~。コメントとTBをありがとうございます。
はい、この映画は劇場で観ました。
『クリクリのいた夏』という映画が大好きで、ポスターがそっくりだったんです。
監督さんも同じで、なるほどな~という作品でした。
こういう人生賛歌、大好きです。
後ほど伺いますね。
2009-09-30 19:40 : 真紅 URL : 編集
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