名も無きレジスタンスたち~『ピエロの赤い鼻』

EFFROYABLES JARDINS
フランスの田舎町。教師のジャック(ジャック・ヴィルレ)は、休日にはピエロの
扮装で人々を笑わせていた。ジャックの息子リュシアンは、道化を演じる父を恥
じ、疎ましく感じている。ジャックの旧友アンドレ(アンドレ・デュソリエ)は、そんな
リュシアンに昔話を聞かせる。それは第二次大戦末期、フランスがドイツ軍に占領
されていた頃のこと・・・。「笑いは最強の武器だ」。
『クリクリのいた夏』のスタッフ、キャストが再結集。悲惨な戦争の時代、正義と
ヒューマニズムのために命を懸けて闘った名も無きレジスタンス=抵抗者たち。
墓標さえない兵士、同胞のために罪を被る老人。彼らへの贖罪のために、道化を
演じ続ける一人の男・・・。フランスの田舎町の美しい映像の中に、平和への切実
な祈りが込められた感動作。監督はジャン・ベッケル。現在公開中の『画家と庭師
とカンパーニュ』早く観たいです。

『ガスパール/君と過ごした季節』にも出ていた素敵なおばあちゃん、シュザンヌ・
フロンが亡くなったことは知っていたのだけれど、同じ年(2005年)にジャック・
ヴィルレも亡くなっていたのですね。まだ50代だったのに、残念・・・。名優のご
冥福をお祈りします。
拘束され、穴に隔離されたジャック、アンドレ、ティエリー(ティエリー・レルミット)、
エミール(ブノワ・マジメル)の4人。「もし、生きて帰れたら・・・」「生まれ変わったら
・・・」彼らの会話は軽妙なようでいて、生きることへの渇望が滲んでいる。中でも、
持病の喘息ゆえに戦地に行くこともレジスタンスに加わることもままならない、若い
エミールの苛立ちがやるせない。「生まれ変わっても、自分を生きたい」。解放され
た後、彼は自らの人生を生き直そうと旅立つ。ブノワ・マジメルが素敵!
ピエロの赤い鼻をつけたドイツ軍の兵士。彼は占領軍の兵士として生きるより
も、ピエロとして、いや真のレジスタンスとして死ぬことを選んだのですね。。
極限状態での彼の選択に、涙が溢れる。「生きている限り希望はある」と、4人を
励ました彼なのに・・・。

ピエロの姿はいつも、ユーモラスでありながらどこか哀愁を帯びている。ジャ
ックが演じるピエロも、自らの犯した過ちを背負って道化を演じている。喪われ
た二つの尊い命は、決して取り返しはつかない。しかしリュシアンは、父の苦悩
と十字架を理解しただろう。戦争とは、生き延びた者にも何らかの犠牲を強い、
傷跡を残して終わる。しかし、理不尽で絶望的な状況下でも、笑いという希望を
忘れなかった兵士の思いもまた、いつまでも消え去ることはない。
(『ピエロの赤い鼻』監督・脚本:ジャン・ベッケル/2003・仏/
主演:ジャック・ヴィルレ、アンドレ・デュソリエ、シュザンヌ・フロン)
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trackback
フランス
2008-10-28 15:35 :
サーカスな日々
かなり無理矢理な組み合わせですが、戦争映画、そして誰かを救う為に自己犠牲になる・・という内容ということで、まとめてアップしました。
2008-10-29 20:36 :
ポコアポコヤ 映画倉庫
コメントの投稿
新作
TBありがとう。
「画家と庭師とカンパーニュ」、僕もまだ未見なんで、とっても楽しみにしています。
「画家と庭師とカンパーニュ」、僕もまだ未見なんで、とっても楽しみにしています。
kimion20002000さま、こちらこそコメントとTBをありがとうございます。
『画家と~』は来月になってしまいそうですが、必ず観たいと思っています!
楽しみですね♪ ではでは、またお邪魔します~。
『画家と~』は来月になってしまいそうですが、必ず観たいと思っています!
楽しみですね♪ ではでは、またお邪魔します~。
真紅さん~こんばんは!
ええっ・・・あのおばあちゃんも亡くなっていたのですね・・。くしくも同じ年に・・・。
この映画もそうですが、海外の映画って、どんなせっぱ詰まった時や、困難で悲惨な状況でも、ユーモアを忘れない人がいて、そういうのって日本映画(映画のみならず・・)では滅多にみられない生きざまというか・・・そういうのが、カッコイイな~良いな、真似したいもんだな(無理だけど)って思います。
ええっ・・・あのおばあちゃんも亡くなっていたのですね・・。くしくも同じ年に・・・。
この映画もそうですが、海外の映画って、どんなせっぱ詰まった時や、困難で悲惨な状況でも、ユーモアを忘れない人がいて、そういうのって日本映画(映画のみならず・・)では滅多にみられない生きざまというか・・・そういうのが、カッコイイな~良いな、真似したいもんだな(無理だけど)って思います。
latifaさま、こんにちは。コメントとTBをありがとうございます。
そうなんですよ。。この映画は、お二人の晩年の作品、遺作に近いものだと思います。
人生をユーモアと捉えるか、シリアスと捉えるか、ですね。
日本は圧倒的にシリアスが多いですよね、、私もそうかな。
欧米の作品には、そういう点で学ぶところが多いですね、この作品ももちろんそうだと思います。
これからもこういった小品を観ていきたいな~、と思いました!
ではでは、またお伺いします~。
そうなんですよ。。この映画は、お二人の晩年の作品、遺作に近いものだと思います。
人生をユーモアと捉えるか、シリアスと捉えるか、ですね。
日本は圧倒的にシリアスが多いですよね、、私もそうかな。
欧米の作品には、そういう点で学ぶところが多いですね、この作品ももちろんそうだと思います。
これからもこういった小品を観ていきたいな~、と思いました!
ではでは、またお伺いします~。