記録はウソをつく~『悪意』

人気作家・日高邦彦が自宅で殺害された。被害者の幼馴染で、第一発見者である
野々口修によって記録された事件は、野々口の元同僚、加賀恭一郎刑事によって
推理される。誰が、一体何の為に? 動機に潜む「悪意」の正体とは・・・。
「東野圭吾の作品はこれで一区切り」などと言いながら、手持ちの本がなくなると
つい、彼の作品を手に取ってしまう。読み始めたが最後、一気読み。面白いんだ
なぁ、困ったことに。。
推理小説というジャンルはさほど好きではないので、謎解きは得意ではないし、
読みながら真相を考えたりすることはほとんどない。しかし、この作品にはすっ
かり騙された! 人間の「思い込み」や第一印象がいかに頼りないものであるかを
痛感させられるし、記録(手記)とは人間の主観や私意抜きには残されないものだ
と思い知らされる。鉄則。記録は疑ってかからねば。。
人間の心に巣食う悪意。偏見というものの理不尽さと不条理。「理由なき悪意」に
身震いする結末。お見事・・・。
(『悪意』 東野圭吾・著/講談社文庫・2001)
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こんにちは!東野さんは本当におもしろい作品ばかりですよね~。そんな中でも私が一番気に入っているのがこの「悪意」です。この動機の理不尽さって、ある意味でとてもリアルだと思うんです。ありそうでなかった作品ですよね~
ミリアムさま、こんにちは。コメントありがとうございます。
おお、この作品が一番ですか! 確かに、短めの長編ではありますが滅法面白いですよね。
リアル、そうですね~。自分でも理由のわからない感覚って、ありますものね。
東野作品、ホント面白いですね! ではでは、またです~。
おお、この作品が一番ですか! 確かに、短めの長編ではありますが滅法面白いですよね。
リアル、そうですね~。自分でも理由のわからない感覚って、ありますものね。
東野作品、ホント面白いですね! ではでは、またです~。