恩寵としての恋の病~『コレラの時代の愛』
コレラの時代の愛



 LOVE IN THE TIME OF CHOLERA


 19世紀末のコロンビア。電信局配達員のフロレンティーノは、美しい少女フェル
ミーナ
を見初め、に落ちる。フロレンティーノの情熱的な手紙に、心動かされた
フェルミーナだったが・・・。

 コロンビアのノーベル賞作家、ガブリエル・ガルシア=マルケス同名小説の
映画化
。主演はオスカー俳優、ハビエル・バルデム。色んな意味で興味深く、面
白い映画
だった。舞台と原作と主演俳優からスペイン映画だと思い込んでいたの
で、登場人物が英語をしゃべっているのにビックリ! これアメリカ映画なのです
ね。
 オープニングのお花のアニメーションが綺麗で、ボルベールを思い出してし
まった。ペネロペは出ていないけれど、コロンビアの至宝カタリーナ・サンディノ
・モレノ
がヒロインの従姉妹役で出演している。ブラジルの大女優、フェルナンダ・
モンテネグロ
は主人公の母親役。豪華キャストです。

コレラの時代の愛2

 主人公フロレンティーノは物凄いロマンチストで、数字にこだわる記録魔。それ
が高じて代筆業を始めるのだけれど、母親役のフェルナンダ・モンテネグロ名作
『セントラル・ステーション』代筆業をしていたのが面白い符丁

 初恋の女性を思い続けた一人の男の生涯を描いているのですが、その男フロ
レンティーノ
メチャメチャ面白いキャラなんです。父親に結婚を反対され、フェル
ミーナはコレラ治療の第一人者である医師の下に嫁いでしまう。フロレンティーノ
は一歩間違えばストーカーになるくらいフェルミーナを思い詰め恋焦がれながら、
50年間で622人(!)の女性と性的関係を持つ。しかも関係した女性たちの名前
と特徴をノートに記録
しているんです! 日本にも昔、そんな脚本家がいましたね
(爆)。

 70歳を過ぎても、のような年齢の女子大生と関係を持っているフロレンティ
ーノ。ロマンチストであることに加え、相手に何も求めないから彼は滅法モテる
不特定多数の女性とまぐわるのは、彼の論理で言うとフェルミーナへの想いから
の逃避
であり、ある種の「習慣」でしかない、らしい。

コレラの時代の愛3

 フェルミーナのが亡くなり、葬儀のまさにその日、遂にフロレンティーノは
思いを告げる。「51年9ヶ月と4日、この日を待っていた」正確に数えている
ところが凄過ぎて笑える
)。当然、フェルミーナは激怒し、彼を拒絶する。

 しかし、ここからのフロレンティーノがまた凄い! 若い愛人と切れ、得意の
手紙攻勢「私の人生から消えて」なんて言っていたフロレンティーノも、次第
ほだされていく。古今東西、押しの一手に女は弱い・・・

 そしてとうとう、フロレンティーノが思いを遂げる日がやって来ます。老いた
フェルミーナを抱き
、フロレンティーノはささやく。「君のために純潔を守った」
ここで私、思いっきり吹き出してしまいました・・・よく言うよこのエロ親父(笑)。

 この映画はある種の狂気「恋の病」を描いているのだけれど、フロレンティ
ーノはそれを「恩寵」だと語り、明るく希望に満ちた生を謳歌しているように見
える。それは主人公の「形而上」「形而下」「分裂した愛」だと割り切る、
おおらかな気質に依るところが大きい。共感できる、できないはまた、別の話
19世紀末から20世紀初頭南米の風俗大自然、コスチュームも興味深い。

 ラストでフロレンティーノは真理に辿り着く。「無限なのは死ではなく生なのだ」
生=性、なんだなと私は解釈した。ちょっとおちゃらけて書いてしまったけど、
物凄く面白い、オススメ映画です!

 (『コレラの時代の愛』監督:マイク・ニューウェル/2007・USA/
      原作:ガブリエル・ガルシア=マルケス『コレラの時代の愛』
            主演:ハビエル・バルデム、ジョヴァンナ・メッツォジョルノ
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[2008/10/04 17:14] | 映画 | トラックバック(14) | コメント(8) |
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コメント
>よく言うよこのエロ親父

でも、フェルミーナは、旦那が浮気したときに、嘘でもやってないって言って欲しかった人ですから、これは感動したんでしょうな。

フロレンティーノが女にもてるのは、何も求めないから・・・・って、当たってるよね。
[2008/10/04 18:14] URL | chuchu #- [ 編集 ]
あたしも「純潔を守った」なんて言った時には
どの口が言うんだよ~って笑っちゃいましたけど、
サスガにそれはバレてましたものね(*≧m≦*)ププッ
コレ英語じゃない方が良かったですよね~。
[2008/10/04 18:19] URL | miyu #- [ 編集 ]
真紅さま~こんにちは!
なんか真紅さまのレビューのあちこちで、笑ってしまいました~w
結構つっこみどころある、笑っちゃいけないのに可笑しい・・・みたいな映画でしたよね。

そうかぁ・・・相手に何も求めないからモテる・・・そうなのか~なるほどー。
じいさまになってもあんなに若い娘と交際出来るのがスゴイな・・・と思いました。
[2008/10/05 08:07] URL | latifa #SFo5/nok [ 編集 ]
chuchuさま、こんにちは~。コメントとTBをありがとうございます!
でも、TBが承認できないんですよ~。。FC2のバグだと思うんだけど、時々こうなるんです。
ごめんね! ちゃんと届いてはいるのですが・・。

フェルミーナは、ずっと世間知らずのお嬢さんのままでしょうね。
いろんな人生がありますなぁ。。
ではでは、またお伺いしますね。
[2008/10/05 10:46] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
miyuさま、こんにちは。コメントとTBをありがとうございます。
そうそう、あそこ絶対笑うとこですよね!
でもフロレンティーノは生涯、形而上はフェルミーナしか愛さなかったのよね。。
英語がなんか不自然に聴こえましたよね。私もそう思います。
ではでは、またお伺いします~。
[2008/10/05 10:49] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
latifaさま、こんにちは~。コメントとTBをありがとうございます!
そうそう、この映画結構突っ込みどころ満載ですよね。
観る前は「真面目な映画なんだろうな~」と思ってたんですよ。ノーベル賞作家の原作だし・・。
でも、笑いながらも考えさせられる映画でした。
本当は、もっといろいろ書きたかったくらいです(アップした後、いつもそう思うんだけど)。
最近、日本でも「求めない」って流行りましたよね。
あの若い娘との恋愛は、原作者の妄想ですよね(笑)。
ではでは、またお伺いします~。
[2008/10/05 11:13] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
監督がイギリス人だからでしょうね。ラテンを舞台に描いているけれど、どこか正統的な英国恋愛映画を観ているような、そしてラテンの音楽とハビエルの怪演!
これは女性にはたまらない映画!
一回目上映で観て劇場で手から直ぐに友人にメールしたら、友人から「今チケット売り場に並んでる!」って返事。もう一人の友人はさらり感がすこし不満要素だったみたいだけど、私はこれくらいのトーンが良かったわ。
[2008/10/06 11:56] URL | シュエット #- [ 編集 ]
シュエットさま、こんにちは。コメントとTBをありがとうございます。
監督さんは英国の方ですか。。だから英語だったのかな~。
音楽もよかったですね! ハビエル・バルデムも大真面目に演じてました。
さらり感は私はあまり感じなかったかな? でも、情熱方面もさほどでもなかったですね。。
映画観てすぐ誰かにメールしたくなる、ってよくわかります!
ではでは、後ほどお伺いします~。
[2008/10/06 20:14] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
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「コレラの時代の愛」ハビエルが少々不気味・・
うむ~結構微妙な映画だった。スペイン語じゃなくて英語なのが少々萎える・・・
[2008/10/04 17:43] ポコアポコヤ 映画倉庫
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管理人の承認後に表示されます
[2008/10/04 18:16]
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