思想の軌跡~『折り返し点 1997~2008』
折り返し点

 最新作崖の上のポニョ大ヒット中、世界の巨匠・宮崎駿の12年間に渡る
思想の軌跡。この12年間は『もののけ姫』、『千と千尋の神隠し』、『ハウルの動
く城』、『崖の上のポニョ』
製作期間であり、その間に宮崎駿が残した企画書、
対談、エッセイ、インタビュー
など、内容は多岐に渡る。何度も「子どもたちの
ために作りたい、子どもたちを祝福したい」
と語る著者。熱く映画を語る様から、
彼の「映画監督」としての矜持が伝わってくる。しかし著者本人は「この本を出す
ことは、ぼくの本意ではありません」
とあとがきで語っているのだが。

 印象に残った言葉、共感した文章をメモ。抽象的だけれど彼の映画論のようで
もある。
---------------------------------------

・「浮き世のうさを晴らすだけじゃなくて、心の渇きを気づかせる力が映画にはある」

・「映画というものは、作品としての価値が真空の中に存在しているんじゃない。
  どういう人間とどういう状態のときに出会うかによって意味は変わるんです」

                               
                                  『もものけ姫』
・「無垢であることは至上のことなんですよ」

                              『千と千尋の神隠し』
・「子どもの魂に触れたいんですよね」

・「子どもたちに「生まれてきてよかったんだよ」と言える映画を作るしかない、そう
  するとますます映画の方程式とか文体からはずれていくんですよね」

・「映画的体験というのは、その瞬間しか見られないから生まれるものなんです」

・「やっぱり人に喜んでもらうということは、一番大きな、大事なモチベーション
  なんですね。自分の主張を伝えるために映画を作っているんじゃないんです」

・「前よりちょっとましな人間になるために映画を作り、映画を見るんです」


                           『ハウルの動く城』

・愚直な手数をかけた画面はあたたかく、観る者を解放する。精度をあげた爛熟
 から、 素朴さへ舵をきりたい。
                           ~
『崖の上のポニョ』
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 さて。「折り返し点」を過ぎた宮崎駿の次回作は如何に。

 (『折り返し点 1997~2008』 宮崎駿・著/岩波書店・2008)
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[2008/10/03 12:37] | 読書 | トラックバック(1) | コメント(4) |
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コメント
真紅さま こんにちは。
宮崎監督は、作品を完成させるたびにすばらしい言葉も残してくれていますね。私が忘れられないのは『千と千尋の神隠し』について語った、監督の次のような言葉。
「せっかく自分を認めてくれた人たちと出会えたのに、千尋はその場所を離れなければならないわけですから。これは切ない物語なんです。作ってるこっちも切なかった。・・・でも僕は、10歳の彼女たちに『大丈夫。あなたはちゃんとやっていけるから』と本気で伝えたくて、この映画を作ったつもりです」(徳間書店ロマンアルバム「千と千尋の神隠し」より)
この言葉を知ってから『千と千尋~』が一段と好きになりました。

〝ハンサムな〟ハウルは、映画館で観た時は何とも思わなかったんですが、英語版の声をC.ベイルさんがやっていると知ってから〝英語版ハウル〟はちょっと気に入ってるんです(笑)。いつかDVDで試してみてくださいね。
[2008/10/04 20:21] URL | メグ #OSjUVFqk [ 編集 ]
メグさま、こんにちは~。このような「備忘録」のような記事に反応ありがとうございます(汗)。
私、宮崎監督の映画では『千と千尋』が一番好きかもです(TVアニメも含める作品全体だと違うんですが)。
でも、実は映画館では観れてないんですよ。DVDではもう、何度も観ましたが・・。
いつかどこかで、再上映してくれないかな・・、と願っています。

で、で、で、!!! えーーー、クリベーがハウルを!!!
知りませんでした!! いや~ん、どうしよう(爆)。
ソフィはどなたが演じていらっしゃるのかしら・・・。それは絶対、確認せねばなりませんね。
私、クリベーさんの声、ちょっと好きですよ。。ハスキーでねぇ。
先日『T4』の予告を観ました。きゃ~、でしたよ♪
ではでは、またいろいろ教えて下さいね~。
[2008/10/05 11:02] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
真紅さん、こんばんは!

宮崎監督はあまりマスコミとかにも出ないので、こういう本は貴重ですよね。
たぶん監督は作品をもって語るのが潔しと考えているのでしょう。
ジブリブランドというのは一般の方の中にあるイメージができていますが、宮崎監督がそのさらに先を目指しているということがこの本を読んでよくわかりました。
宮崎監督の作品は時間をおいて何度も観て(ご本人は何度も観るもんじゃないとおっしゃっていますが)、そうして監督の考えていたことがわかってくるような奥深い気がします。
[2008/10/05 20:52] URL | はらやん #- [ 編集 ]
はらやんさま、こんにちは。コメントとTBをありがとうございます。
きっと製作で精一杯で、取材に応じる時間がないのでしょうね。。
私も、この本で監督は『グロリア』がお好きなんだな~、とか、本当に子どもたちのことを考えてはるんだな~、とか、いろいろわかってうれしかったです。
できたらDVDは全作品揃えたいですね(笑)。劇場で観るのがモチロン一番ですが。。
これからもジブリ、特に宮崎監督の映画を待っていたいです。
ではでは、またお伺いします~。
[2008/10/05 23:45] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
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本 「折り返し点 1997~2008」
こちらは宮崎駿監督の「もののけ姫」から「崖の上のポニョ」に至るまでの期間の対談や
[2008/10/05 19:48] はらやんの映画徒然草
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いつまでも青臭い映画好きでいたい。愛おしい映画と、忘れがたき本たち。ときどきカフェとか。 記事は基本的にネタバレあり。 どうぞご贔屓に♪

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