真打登場!~『赤めだか』

「落語とは人間の業の肯定である」--立川談志
落語家・立川談春の初エッセイ。前座時代の修業の日々を綴ったこの本は雑誌
『en-taxi』連載時から評判を呼び、単行本化された後に講談社エッセイ賞を受賞
している。
正直、立川談春のことはこの本の評判を聞くまで全く知らなかった。同門の
志らくや志の輔はテレビでお馴染みだけれど、元々落語を聴いたことがない私
は当然落語家さんには疎い。しかしこの本は面白かった!!
初めて人に読ませる文章を書いたとは思えないほど、歯切れよくリズミカルな
文体。笑いどころを押さえた上で、自分の言いたいことの核心もスパっと書ききる。
そこにはもちろん、落語への情熱、志半ばで去った同期への思い、同門の先輩
・後輩との絆、そして何より、イエモトこと立川談志師匠への愛が溢れている。
「修業とは矛盾に耐えることだ」というイエモトの言葉通り、師匠が黒と言えば
白いものも黒である世界。17歳で高校を中退し、実家も出て新聞配達をしながら
の食うや食わずの日々。ただただ、師匠に褒められたいと願い、師匠の労いの
一言で全ての辛苦も吹き飛ぶほど、談志に惚れ抜いた著者。念願の二ツ目に
なれたとき、浮かんできたのが母親の顔だった、というエピソードもいい。
『ゴッドファーザー』のワンシーンに例える米朝師匠のオーラの描写は映画以上
に映画的だし、何よりも後輩にしてライバル・志らくの好敵手ぶりが面白い。
そして最終章、小さん師匠と談志との、恩讐を越えた深い、深い師弟愛・・・。
泣けます。文句なし。落語家って、ホンモノの「芸人」なんだなぁ。
(『赤めだか』 立川談春・著/扶桑社・2008)
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素敵な本を
続々と読んでらっしゃるわね~真紅さん!♪
ごぶさたしております。(ペコリ)
あのウンチクのかたまりが服着て歩いているような談志に
認められるのは並大抵な根性ではなかったでしょうに。(笑)
矛盾に耐える度量は少しも持ち得ない私め
ですが、「ただ師匠に褒められたい!」という
気持ちは実感としてとてもわかります。
再来月のライヴに向けてガッツリ元気を
もらいたい私なので、ぜひ本書、読んで
みたいと思います。
ご紹介感謝です!
ごぶさたしております。(ペコリ)
あのウンチクのかたまりが服着て歩いているような談志に
認められるのは並大抵な根性ではなかったでしょうに。(笑)
矛盾に耐える度量は少しも持ち得ない私め
ですが、「ただ師匠に褒められたい!」という
気持ちは実感としてとてもわかります。
再来月のライヴに向けてガッツリ元気を
もらいたい私なので、ぜひ本書、読んで
みたいと思います。
ご紹介感謝です!
viva jijiさま、こんにちは~。コメントありがとうございます。
こちらこそご無沙汰しております~(ペコリ)。
いや~、この本はですね、姐さんのお眼鏡に適うかどうかわからないですけども、どうか温かい目で見てあげておくんなまし。
一応、「講談社エッセイ賞」という冠はついておりますが、プロの書き手ではないです。
しかし、とても面白く読めました。リズムがいいんですよ。
当然、全てのエピソードが真実ではないとは思いますが、談志師匠、凄い方なんだな~、と思いましたよ。
ライヴは再来月ですか~。是非是非、この本で勇気百倍、張り切って下さいませ!
ではでは、私もまたお伺いしますね~。
こちらこそご無沙汰しております~(ペコリ)。
いや~、この本はですね、姐さんのお眼鏡に適うかどうかわからないですけども、どうか温かい目で見てあげておくんなまし。
一応、「講談社エッセイ賞」という冠はついておりますが、プロの書き手ではないです。
しかし、とても面白く読めました。リズムがいいんですよ。
当然、全てのエピソードが真実ではないとは思いますが、談志師匠、凄い方なんだな~、と思いましたよ。
ライヴは再来月ですか~。是非是非、この本で勇気百倍、張り切って下さいませ!
ではでは、私もまたお伺いしますね~。