最も暗い夜の、最も輝ける光~『波打ち際の蛍』

心に傷を負い、カウンセリングに通う麻由。彼女は待合室で出会った「蛍」に惹
かれてゆくのだが、自身の過去とどうしても折り合いがつけられないでいた・・・。
内容もさることながら、島本理生の本はいつも、とても綺麗だ。単行本の装丁
が素敵すぎて、文庫になったらガッカリするほど。本作も、いわさきちひろ調の
カバーの画に、見返しとしおり紐はティファニー・ブルー。手に馴染む重みが愛
おしい。
前作『クローバー』が若々しく瑞々しいラブコメ調だったので、島本さん、結婚
されて幸せモード全開? なんて勝手に想像して喜んでいた。なのに今回、また
DVという暗い題材に戻ってしまって・・・。正直、ページを閉じてしまいそうになる
ほど酷い描写がある。主人公・麻由にシンクロしてしまって、読み進むのが辛い・・。
島本さんのDVや性虐待をテーマにした作品からは、いつも彼女の悲痛な叫び
が聞こえる。子どもは傷つきやすくて、脆くて弱い存在なんだ。だからどうか大人
たちよ、親たちよ、子どもたちをもっとしっかり見て、守ってあげて、と。
しかし、ラストに救いがあります。彼女が惹かれたのが「蛍」であった必然、
夜明け前こそが最も暗いと信じられる、希望と再生の予感。しばし、号泣。
... the brightest lights in the darkest night.
(『波打ち際の蛍』島本理生・著/角川グループパブリッシング・2008)
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波打ち際の蛍(2008/07/31)島本 理生商品詳細を見る
装画は日端奈々子。装幀は坂本志保。「野性時代」掲載に加筆修正。
私、川本麻由は別れた恋人...
2008-09-08 01:28 :
粋な提案
まずは「波打ち際の蛍」の感想から・・
2008-09-20 15:47 :
ポコアポコヤ
{/book/}「波打ち際の蛍」 島本理生
島本さんの本はいつも装丁がステキ。
表紙の日端奈奈子さんの描く女の人が儚げで、ヒロインの麻由をイメージするのに役立ちました。
おはなしは・・・かつての恋人によるDVで心に傷を負った川本麻由は、生きることに臆病になってい
2008-11-05 08:31 :
ミチの雑記帳
コメントの投稿
真紅さま、こんにちは~!
そうか、あの水色は、ティファニーブルーと言うんだ! そういや、ティファニーの紙袋がああいう色だったような・・・(もらったことは無いが、見かけたことがあるだけw) 綺麗な色ですよね。
私もしおりにうっとり~していました。
内容は、重いものの、全体的にドロドロというよりは、サラサラ感があって、私は読みやすかったです。どこかナラタージュと同じ様な匂いのする小説だな~と、訳もなくそう感じました^^
PS CHICAライフの方もTBさせて頂きましたが、後から反映されます・・のが、そちらは、出てないみたいだから、ダメだったかな・・・こちらは成功したっぽいんだけど・・・
そうか、あの水色は、ティファニーブルーと言うんだ! そういや、ティファニーの紙袋がああいう色だったような・・・(もらったことは無いが、見かけたことがあるだけw) 綺麗な色ですよね。
私もしおりにうっとり~していました。
内容は、重いものの、全体的にドロドロというよりは、サラサラ感があって、私は読みやすかったです。どこかナラタージュと同じ様な匂いのする小説だな~と、訳もなくそう感じました^^
PS CHICAライフの方もTBさせて頂きましたが、後から反映されます・・のが、そちらは、出てないみたいだから、ダメだったかな・・・こちらは成功したっぽいんだけど・・・
2008-09-20 15:53 :
latifa URL :
編集
latifaさま、こんにちは~。コメントとTBをありがとうございます。
『CHICAライフ』のほうは、やはり届いていないようです。ごめんなさい~。
ティファニーブルーって、そんな言葉(色)ないかも(笑)。正式にはね。
でも、何となくわかりますよね~? 綺麗な色ですよね。
サラサラ感、そうかも、そうかも。。読み易かったんですが、ちょっと凄い描写もありましたよね。
『ナラタージュ』、この間チラっと読み返したんですが、つくづく中身が濃い小説だな~と思いました。
島本さん、やっぱり好きだな。。
ではでは、後ほどお伺いしますね♪
『CHICAライフ』のほうは、やはり届いていないようです。ごめんなさい~。
ティファニーブルーって、そんな言葉(色)ないかも(笑)。正式にはね。
でも、何となくわかりますよね~? 綺麗な色ですよね。
サラサラ感、そうかも、そうかも。。読み易かったんですが、ちょっと凄い描写もありましたよね。
『ナラタージュ』、この間チラっと読み返したんですが、つくづく中身が濃い小説だな~と思いました。
島本さん、やっぱり好きだな。。
ではでは、後ほどお伺いしますね♪
こんにちは♪
本当に島本さんの本は表紙から期待させるものがありますよね~。
読み始めると、「あぁ、またDVのお話か・・」と少々重い気持ちになってしまったのですが・・・。
島本さんがそのテーマにこだわり続ける理由は、真紅さんがおっしゃるようなことなのかもしれませんね。
「ナラタージュ」をもう一度読み直したくなりました。
本当に島本さんの本は表紙から期待させるものがありますよね~。
読み始めると、「あぁ、またDVのお話か・・」と少々重い気持ちになってしまったのですが・・・。
島本さんがそのテーマにこだわり続ける理由は、真紅さんがおっしゃるようなことなのかもしれませんね。
「ナラタージュ」をもう一度読み直したくなりました。
ミチさま、こんにちは~。コメントとTBをありがとうございます♪
島本さんの本、綺麗ですよね~。『ナラタージュ』とこれは特に。
島本さんって、家庭的にいろいろあったみたいですよね。
だから、子どもの頃寂しい思いをされたんじゃないかな・・・と推察します。
また『ナラタージュ』みたいな、渾身の大恋愛長編を書いて欲しいですね!
ではでは、後ほどお伺いします。
島本さんの本、綺麗ですよね~。『ナラタージュ』とこれは特に。
島本さんって、家庭的にいろいろあったみたいですよね。
だから、子どもの頃寂しい思いをされたんじゃないかな・・・と推察します。
また『ナラタージュ』みたいな、渾身の大恋愛長編を書いて欲しいですね!
ではでは、後ほどお伺いします。