ヤミヨノクラゲ~『アカルイミライ』
アカルイミライ



 BRIGHT FUTURE


 おしぼり工場で働く仁村(オダギリジョー)は、世間とうまく折り合えない性格。
同僚の守(浅野忠信)のように慕うが、守は飼っていたクラゲを仁村に託し、
姿を消してしまう・・・。

 眠ると未来の夢を見ることが出来たのに、近頃は眠っても夢が見られないこと
に苛立ち、焦る仁村。まだ何者でもない若い彼が、猛毒を持つクラゲに触発され
ながら、不透明な未来に何かを見出してゆく物語。映画初主演オダギリジョー
はまだ髪型も普通(?)で、少年のような初々しさ。身のこなしにはまだ「仮面ライ
ダークウガ」
が入っているし、浅野忠信、藤竜也という大先輩の胸を借りながら
懸命に演技しているのがよくわかる。これから伸びて行く人特有のオーラが出て
いる感じ。

 この作品、レンタル店の棚を探していてもなかなか見つからなくて・・。なんと、
「松山ケンイチ出演作」のコーナーにあったんですよ! まぁ確かに出てはいる
けれども、ホントに小さい役ですよ。ちなみに松ケンも、この作品が映画初出演
なのですね。加瀬亮くんも、守の弟、藤竜也の息子役でワンシーンに出演して
いる。加瀬亮くんって、ずっと前から加瀬亮くんだったんだなー、と思った(当たり
前だけど)。彼の役柄が、私は一番恐ろしかった無関心、って何だか怖い。

       アカルイミライ2

 浅野忠信は、やはりタダモノでない存在感で圧倒的。監督は彼を「この人がいた
ら他の俳優はたまらないな、っていうすごい人」
と評していたし、オダギリジョーも
「この役で浅野さんに挑戦したい」と語っていた。彼の周りだけ空気の振動が違う
ような、薄い透明な膜に包まれているような人だな、と思う。それは守という人物の
得体の知れなさでもあり、浅野忠信自身の資質でもあるように思う。

 仁村と守の豪華な2ショットは、北村道子の担当する独特な衣装の効果もあり、
なんともになる。象徴的な意味での「女性」は全く出てこない映画であり、仁村と
守、仁村と守の父というほとんど「野郎二人」の映画だけれど、物語の中に同性愛
的側面やメタファーは皆無
(だと思う)。監督にも出演者にも、そういう視点が全く無
いのだろう。

 画面の色を変化させ、質感を変え、分割する。様々な映像的手法世代間の
ギャップ
若者の不安、ワケのわからなさを表現しているのだろう。しかし今は
考えて解釈するのではなく、感じたままにとどめておきたい。遊歩道を我が物顔
に歩いていた高校生たちゲバラTシャツを着て、何かに触発されるように車道
へ出、意志的に進んでゆく。「アカルイミライ」は彼らに託されたのか。

 「ずーっとここにいていいよ」息子が何者かわからなかった父にもたらされた
「救い」やさしい映画なんじゃないかと思う。

 (『アカルイミライ』監督・脚本・編集:黒沢清/2003・日本/
              主演:オダギリジョー、浅野忠信、藤竜也
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テーマ:邦画 - ジャンル:映画

[2008/09/06 17:32] | DVD/WOWOW | トラックバック(0) | コメント(2) |
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コメント
こんにちは♪
まだ“何者でもない”オダギリジョーが懸命に役をつかもうともがいているのが垣間見える作品です。
持っているDVDにはメイキングがついているのですが、カメラが回っている時に「何もせずそこに立っていること」を黒澤監督の映画作りから学んだのだと思います。
過剰演技をしてはダメだしされていましたからね。
浅野忠信ーオダジョーー加瀬亮ー松山ケンイチ
この素晴らしいラインの共演がこの作品で実現していたなんて本当に夢のようです☆
[2008/09/07 15:07] URL | ミチ #0eCMEFRs [ 編集 ]
ミチさま、こちらにもコメントありがとうございます♪
この作品は浅野くん出演作のオススメでミチさんに教えていただきまして、ありがとうございました♪
オダジョー、ものすごく活き活きしてますよね。若い~。
レンタルでは舞台挨拶と一言インタビューが観られましたが、オダジョーの髪型と服装が普通なことが印象的でした。
そうそう、邦画を背負って立つ若手四人が揃い踏み!なんて贅沢な映画なんでしょうか!!
というわけで、またいろいろ教えて下さいませ~。ではでは。
[2008/09/07 22:40] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
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