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映画が大好きです。いつまでも青臭い映画好きでいたい。 記事は基本的にネタバレありです by 真紅 (言葉を探す人)   ★劇場鑑賞した映画は Instagram にアップしています @ruby_red66 ★Stay Blue

キツネを生け捕れ!~『ハンティング・パーティ』

ハンティング・パーティ



 THE HUNTING PARTY


 花形戦場レポーターだったサイモン・ハント(リチャード・ギア)は生中継で失態
を演じ、キャリアを失う。彼とコンビを組んでいた戦場カメラマンダック(テレン
ス・ハワード)
は局内で出世、コネ入社の新人ベン(ジェシー・アイゼンバーグ)
連れ、戦後5年が経過したボスニアに入る。そこで彼を待っていたのは、特ダネ
を握るサイモンだった・・・。

 戦場ジャーナリスト三人(現役、元、新人)が、500万ドルの賞金が懸けられた
極悪戦争犯罪人を生け捕ろうと奮闘する社会派?サスペンス。クエスチョンを付
けたのは、巨悪を告発する骨太の社会派作品と言うよりも、娯楽面を強調した
ハリウッドらしさ
を感じたから。鋭さや深みは無いけれど、気楽に観ようと思え
悪くない映画なんじゃないだろうか。こういう題材を「気楽」に観ていいのか?
という話はさて置き・・・。

ハンティング・パーティ2

 でこぼこジャーナリスト・トリオの三人がとってもいい味。ご本人も人権活動家
としての顔も持つリチャード・ギアは、ロマンスグレー(死語!)が似合ってやっ
ぱり素敵に見えてしまう。「外科手術で二人の身体を縫いつけよう」なんてロマン
ちっくで、実は切ないセリフ
もあったり。テレンス・ハワードはいつ見てもスタイル
抜群
でカッコよくて、でも目の周りだけなら赤ちゃんみたいだと思う。カーリーヘア
(これも死語?)
ジェシー・アイゼンバーグも、ハーバード卒の使えない奴かと
思いきや、さすがの頭のキレを見せてくれてかわいいじゃないか!
映画って役者が大事だなぁとぼんやり思ってしまった。

「この映画は信じられない部分が真実」だと映画冒頭にクレジットされ、エンディン
グで種明かし
がされる。人類史上最悪の「民族浄化」という蛮行が行われた地では、
戦争は見かけ上終わっても、人々の胸に火種はくすぶり続ける。戦争犯罪人フォ
ックス
をいまだ「指導者」だと崇拝し、匿う人々を黙認し、「何もしない」NATO
そして大国間のパワーバランスと呼ばれるもの。本当に「悪い奴ら」は誰なのか。

ハンティング・パーティ3

 テンポよく観ることができた本作だけれど、終盤に差し掛かるにつれグダグダ
があったのが残念。ラスト辺りは、蛇足と言ってもいいくらいじゃないかな。
弾痕が生々しく残る建物、廃墟のようなスキー場、活気のない街並み。胸が
痛む映像
だけれど、観なければいけないのだとも思う。新聞やテレビが報道
しない「真実」を、自らも傷つきながら追い続けるサイモンのようなジャーナリスト
たち。彼らの志や夢が、挫けないことを願っている。

 (『ハンティング・パーティ』監督・脚本:リチャード・シェパード
   主演:リチャード・ギア、テレンス・ハワード、ジェシー・アイゼンバーグ
               2007・米、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ)
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2008-05-18 : 映画 : コメント : 10 : トラックバック : 12
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ハンティング・パーティ/The Hunting Party
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2008-05-18 23:42 : 我想一個人映画美的女人blog
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2008-05-19 00:10 : ☆彡映画鑑賞日記☆彡
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真紅さん、こんばんは!
いつもTBありがとうございます!
この映画全然期待してなかったので以外や以外惹き込まれましたわ。
「サラエボの花」とは打って変わった作品ですが、建物に残された銃弾は哀しいですね?
2008-05-19 00:27 : margot2005 URL : 編集
margot2005さま、こんにちは~。こちらこそコメントとTBをありがとうございます!
私も、意外な拾い物(失礼!)だと思いました。最後がちょっと失速しましたが。
『サラエボの花』、あの映画のこと書こうか迷ったんですけど、止めました。
今年のベストにするかもしれないくらいな映画です、私にとっては。
ではでは、またお伺いしますね~。
2008-05-19 14:41 : 真紅 URL : 編集
真紅さん、後からTBもってくるね!
これね。私も記事にかいたけど、これはこれで、まぁいわれるように後半は、本当は盛り上るべきなんだけど。蛇足っぽかった。でも、これはこれで面白いんだけどね。ただやはりテーマとしてとり上げるには、ちょっとツッコミ足ちねえぞって思うだ。戦場カメラマンたちの内輪のノリって感じ。リチャード・ギアにはもうちょっと弾けて欲しかったなって思うのが減点要素かな。私、彼ってラブストーリーとかよりこんな役の方が好きよ。そういう意味でもね、もっとハチャメチャでも良かったのにって思う。
「真実の告発」とか「Dr.Tと女たち」の彼が好き。今でも一番素敵なのは「天国の日々」。
2008-05-20 11:00 : シュエット URL : 編集
シュエットさま、こんにちは~。コメントとTBをありがとうございます。
この映画ご覧になっていたのですね。
シュエットさまは『カルラのリスト』もご覧になっているし、この作品はちょっと食い足りないと感じられたのでは?
エンタメ色が濃くて面白く観られたのですが、確かに「内輪のノリ」でしたね。
ギア様(笑)、頑張ってましたね。『アイム・ノット~』でも思ったんですけど彼って決して正統派美男子じゃないですよね~。
『真実の告発』とは、『真実の行方』のことでしょうか?
エド・ノートンに小馬鹿にされる弁護士役の・・・。あれは気の毒で堪りませんでした(笑)。
『Dr.T~』は先日深夜にやってましたね、観ればよかったな~。。
『天国の日々』スクリーンで観てみたい映画です!
ではでは、後ほどお伺いしますね~。
2008-05-20 13:35 : 真紅 URL : 編集
真紅さま、おはようございます。
>テレンス・ハワードは、目の周りだけ赤ちゃんみたい
これ、本当に納得してしまいます!
妙に目がかわいいんですよね~!テレンス・ハワードって。

この作品、紛争を描いた社会的な作品では決してなくて、
むしろ、自分の夢を追いかけるために人生を賭ける、盛りを過ぎた男たちの話、
という風に自分は捉えたので、そこそこ面白く見れてしまいました。
たしかに、100%怪しい話ではあるんですけど(爆)
2008-05-21 10:19 : とらねこ URL : 編集
とらねこさま、こんにちは~。コメントとTBをありがとうございます!
そうそう、睫毛がくるりんとカールしてて、かわいいんですよね~。
あの抜群のスタイルとか、髭とかとのギャップが素敵♪ うふふふふ~。

ベンはまだ「盛りを過ぎた」と言うのはかわいそうですが、サイモンとダックは確かにそうですね。
男って、きっといくつになっても「ガキ」みたいにフラフラしてたいんだと思います。
そういう人に限ってまた、魅力的なんですよね~。
エンタメ作品として楽しめました。
ではでは、またお伺いします~。
2008-05-21 20:27 : 真紅 URL : 編集
こちらにも・・。
サラエボの街が戦火の激しさを語ってくれました。
オリンピック会場の荒廃ぶりを見ていたら辛かったです。
実際にフォックスを捕まえちゃうなんてデキすぎだったかも。
戦犯のご本人もこの映画を見たかな?見るわけないか~。
2008-05-24 18:52 : ミチ URL : 編集
ミチさま、こちらにもコメントありがとうございます。
私もサラエボの冬季オリンピックは憶えているので、物凄く悲しかったです。
確かに、「現代の神話」の部分はちょっと・・。
しかしあの戦犯は許せませんね!観てるかもですよ~、いや絶対観てそう!
ではでは、後ほどお伺いします~。
2008-05-25 13:19 : 真紅 URL : 編集
真紅さん、こんにちは。
私はジャーヘッドや本作のようなノリの映画は結構好きです♪
アメリカがユーゴを題材にすることって珍しいですし。
近頃は都会的な役のイメージが強かったギア様がボスニアでロケしただけでも喜ばしいような。(笑)
2008-05-25 18:47 : かえる URL : 編集
かえるさま、こんにちは~。コメントとTBをありがとうございます。
確かに、アメリカって「自国の反省」で手一杯で、なかなかバルカンまで題材にできないのかもしれませんね。
ギア様、こういう役でも女性との愛を原動力にしてるっていうのが彼らしかったです。
今年は彼の出演作がたくさんあるらしいですね。
ではでは、またお伺いします~。
2008-05-25 20:13 : 真紅 URL : 編集
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