贖罪とは~『手紙』
手紙

 強盗殺人の罪で服役中の兄、その兄から届く手紙によって、「強盗殺人犯の弟」
という自らの運命を刻印させられ続ける加害者家族の立場から、現代社会
人ののうちに在る「偏見」「差別」を描き出した作品。未見だが映画化されたこと
も記憶に新しい。文庫にて読了。

 東野圭吾の小説を久しぶりに読んだ。分厚いミステリーを書く人気作家という
イメージが強い東野圭吾だけれど、人間の情や心の機微を描きながら、社会的
な問題にも言及
する本作のような作品もいいと思う。新聞連載小説だったらしく、
難解な表現は皆無で、非常に読み易い。あまりにもガッツリとした手応えの本は
キツイけれど、今読む本がなくて退屈しているという方に是非、読んでみていた
だきたい
と思う。

 文庫の帯に書かれた重い言葉に、誰もが考え込んでしまうのではないだろうか。
一人の人間が犯した罪は、肉親も同様に背負わなければならないのだろうか、と。

 限りなく重い罪と罰、そして失われた一つの命。人間に、犯した罪を償うこと
はできるのか。何をどう償えば許されるのか。許すと決めるのは法なのか、それ
とも被害者(とその家族)なのか・・・。
簡単に答えは出ない。しかし、考え続けな
ければならない問い
なのだと思う。 

 (『手紙』東野圭吾・著/2006・文藝春秋)
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[2008/05/11 11:24] | 読書 | トラックバック(3) | コメント(8) |
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コメント
真紅さま~こんばんは(^O^)
これ、私はかなりお気に入りの作品です。
小説も映画も、両方泣いちゃいました。

ところで、下の方の記事ですが、ちょっとね~なんかガッカリというか、なんというか(^^;) 別にあの女優さん(モデルさん)嫌いって訳じゃないんだけど・・うん・・・・。
でも前にモーニング娘の子と話題になった時の方が、え~~ヤダな~って思ったかな。
[2008/05/11 23:19] URL | latifa #SFo5/nok [ 編集 ]
東野圭吾が好きになった作品です。
被害者の立場から事件を描かれることはあったと思うけど 加害者の家族から描かれたのはめずらしいのでは?弟の思い、そして兄の思い。
最後に被害者の家で手渡された兄の手紙を読む弟のシーンで 涙が。あの会長さんの言葉も考えさせられたし・・

罪、それは償えるものなのか?許すとは・・
東野圭吾の作品で一番好きです。
映画は・・・ちょっと 弟の仕事がね・・・バンドの方がいいかな。
[2008/05/12 08:20] URL | yoko #qx6UTKxA [ 編集 ]
真紅さま

この作品の最後は静かに終わった様に記憶していますが、私はこのエンディングの後の方が更に重い! と思いました。
兄は大変問題を抱えている人物ですね。
どこか単純で自分の犯した罪の深さにナカナカ気付いていません。
〈弟思い=自分の務め=良い事〉と言う図式が彼の中で出来ている様に感じました(勿論それ程シンプルではありませんが)。
彼がいくら弟思いでも進学支度金の為に泥棒を決意するとは…
実行後一服してしまうとは…どこか欠落している人物と感じました。
故に彼の出所後、彼の人物が根こそぎ変る事は無いでしょう。
出所後が更に〈重く苦しい日々〉となるのでは…と感じました。
[2008/05/12 09:00] URL | Maria #3m4C9JA6 [ 編集 ]
本作は未読ですが、東野圭吾、お気に入りの作家です。彼の作品ってミステリー作品でも、書かれているように、とっても優しさのある眼差しを感じる。人の情愛を分かっている人。大阪人のノリを感じるわ。「あの頃ぼくらはアホでした」読まれました?彼の人となりがわかって、やっぱり大阪人だなって、つくづく思う。
[2008/05/12 09:43] URL | シュエット #- [ 編集 ]
latifaさま、こんにちは~。コメント&TBをありがとうございます!
映画もご覧になったのですね。私は予告はもう、何回も観ましたので、原作を読んだ今ではもう観たような気分です(笑)。
映画では、弟が漫才してるんですよね。。

で、ウフフのお話ですが、私は共演続いたし、お似合いだな~と思ってました。
モーニングさんとの時は、全然知らなかったんですよ。。そんなことがあったとは!
人気モノだけに、取り沙汰されて気の毒・・と思います。
有名税ですね、仕方ないか・・。
ではでは、後ほどお伺いしますね~。
[2008/05/12 10:48] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
yokoさま、こんにちは~。お久しぶりです!コメント&TBをありがとうございます。
私は『秘密』で東野圭吾が好きになりました。と言いつつあまり読んでないのですが・・・。
あの分厚さに怖気づいて(笑)。
そうですね、加害者家族のことって今まであまり語られませんでしたよね。
いろんなところで涙が出ました。会長さんの言葉は、本当に考えさせられましたね~。
映画もご覧になったのですね。
原作では『イマジン』が物語の重要な意味を持ってるのに、どうして漫才になってしまったんでしょうね?
音楽って映画で描くのは難しいのかもしれないですね。。
ではでは、後ほどお伺いします~。
[2008/05/12 10:53] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
Mariaさま、こんにちは!ご無沙汰しております、コメントありがとうございます。
そうなんですよ。。。
兄は懲役15年で服役していますが、私は「終身刑」でもいいと思いました。
日本には終身刑ってないのですよね? 今、死刑廃止か存置かで議論がありますが、その前に終身刑を・・、と思ってしまいました。
(このこと、記事に書こうとしたのですが、考え過ぎて止めてしまいました)
兄の手紙を読んで、「かわいそう」と思ってしまう自分もいたのですが、彼の犯した罪は重いですよね。
「貧すれば鈍する」という言葉も浮かびました。
出所後も、兄には終生償いの心を持って欲しいと思います。
重いテーマの作品でした。でも、読んでよかったと思っています。
ではでは、またです~。
[2008/05/12 10:59] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
シュエットさま、こちらにもコメントありがとうございます!
東野さんって大阪府大出身のエンジニアだったんですよね。
本当に人気がある作家さんですよね。新刊が出ると、図書館の予約が凄いです。
『あの頃~』という本は未読ですので、早速探してみますね。
風邪を引いて、桐野夏生と東野圭吾に再会できました。怪我の功名ですね(笑)。
ではでは、またお伺いしますね~。
[2008/05/12 11:10] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
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「手紙」東野 圭吾 読む価値の高い、お薦めの作品
追加 映画も見て見ちゃいました(^^;) 「手紙」東野圭吾 を読みました。凄く読み応えがあって、本年度読んだ小説の中で、ベスト3に入る作品でした。 恥ずかしながら、何度かボロ泣きでした。
[2008/05/11 23:17] ポコアポコヤ
「手紙」 東野圭吾
←☆5 ☆4→ 強盗殺人の罪で服役中の兄、剛志。弟・直貴のもとには 獄中から月に一度、手紙が届く。しかし 進学、恋愛、就職と直喜が幸せをつかもうとするたび 「強盗殺人犯の弟」という運命が立ちはだかる。人の罪とは?罪とはいつか償えるものなのか? 「原...
[2008/05/12 08:24] yoko\'s cinema dairy
No.54 手紙
犯罪を犯した加害者の関係者が苦しむ現状を、重いテーマを描いた作品。兄弟の絆を手紙という手段で効果的に演出されていた。ラストシーンは号泣でした。久し振りに人に薦めたい映画でした。会長さんの言葉には、見終わった後も考えさせられました。
[2009/08/20 01:47] 気ままな映画生活
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いつまでも青臭い映画好きでいたい。愛おしい映画と、忘れがたき本たち。ときどきカフェとか。 記事は基本的にネタバレあり。 どうぞご贔屓に♪

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