若き日のマスター・デップ~『クライ・ベイビー』

CRY-BABY
カルト映画監督の雄、ジョン・ウォーターズが『ヘアスプレー』に続いて故郷ボル
チモアを舞台に撮ったミュージカル映画。50年代のボルチモアで、山の手に住む
女の子と下町のワルが恋に落ち、周囲を巻き込んだ大騒動を巻き起こす青春活劇。
「差別」がテーマだった『ヘアスプレー』に対し、本作は「階級差」がテーマ。監督
の自伝的要素がふんだんに織り込まれた作品であり、ジョニー・デップの記念す
べき映画初主演作でもある。
実は『へアスプレー』のオリジナルが観たくて、ずっと探しているのに見つから
ず・・・。目に付いたのがこの作品と『ピンク・フラミンゴ』でした。
ジョニー・デップは当時『21ジャンプ・ストリート』というTVシリーズに主演、刑事
役で大人気を博し、アメリカ中のティーンのアイドルだったらしい。同じ年に主演
したティム・バートンの『シザーハンズ』が名作として誉れ高く(もちろん私も大好
き)、この作品はジョニーのフィルモグラフィーの中でもあまり重視されてない感
がある。が、しかし!若くてお肌ツルツルな美しいジョニーが歌って踊る、ファン
必見の作品!と言うか、ファンの方で観ていらっしゃらない方がいるのかどうか・・・。
ちなみに、歌は吹き替えでジョニー本人の歌声ではないそうだけれど、「ジョニー
が唄っている」と言われてもおかしくないくらい、歌と踊りがマッチしている。

ジョニー演じるクライ・ベイビーは、アルファベット爆弾の実行犯だった両親を
亡くし(電気椅子で処刑された!)、祖父母に育てられた少年。復讐に燃えて
いるところが、少しだけスウィーニー・トッドを連想させる(ミュージカルだし)。
クライ・ベイビーの妹は『ヘアスプレー』のトレイシーみたいに太った女の子なの
だけれど、ただ太っているのではなく、なんと妊娠しているの! しかも既に
二人の子持ち!! 一体何歳で産んだんだ(爆笑)。その他、牛も逃げだす
容貌の女友達とか、もうハチャメチャ。そして映画以上に笑えるのがジョン・
ウォーターズのコメンタリだったりする。下ネタ満載、脱線しまくり。でもジョニー
のことを「才能豊かな俳優」だと、ちゃんと称賛していたのが印象的だった。

ジョニーの他に、あのイギー・ポップや元ポルノ女優トレイシー・ローズなども
出演してる。特に、イギーの初登場シーンはもう、目がテンに・・・。監督も、凄い
ことをやらせるものだなぁ(笑)。
こういう、監督が思い入れタップリに、好き放題自分の世界観を貫く映画って
「おバカ映画」だと思いつつ嫌いになれない。もっともっと、こういう映画が観たい
くらい。ジョニーも出演したことを、決して後悔してない、と思いたい・・・。たとえ
白ブリーフ姿を晒していようと、ね。
(『クライ・ベイビー』監督・脚本:ジョン・ウォーターズ/1990・USA/
主演:ジョニー・デップ、エイミー・ロケイン、イギー・ポップ)
- 関連記事
-
- 二度とハネケは観たくない?~『ファニーゲーム』 (2008/05/07)
- 若き日のマスター・デップ~『クライ・ベイビー』 (2008/05/01)
- 郷愁~『小さな中国のお針子』 (2008/04/30)
スポンサーサイト