勝つのはどっちだ~『スルース』
スルース


 SLEUTH


 ロンドン郊外の村、そこに立つ豪邸に一台の車が滑り込んでくる。世界的推理
小説家アンドリュー・ワイク(マイケル・ケイン)
の元を訪れた自称俳優マイロ・ティ
ンドル(ジュード・ロウ)
は、ワイクの妻マギーと同棲中。マイロはワイクに離婚
迫るのだが・・・。

 英国を代表する俳優、サー・マイケル・ケインとジュード・ロウの共演。人気舞台
劇をノーベル賞作家であるハロルド・ピンターが脚色、ケネス・ブラナーが監督し、
新旧の色男がガチンコ対決する密室スリラーに仕上げている。原作戯曲は72年
にも『探偵スルース』として映画化(未見)されており、マイケル・ケインはマイロ役
を演じている。脚本のハロルド・ピンターもTV画面に映る男性として一瞬カメオ出演
していて、なんだかオーソン・ウェルズのような風貌に見えた。バリバリ英国印の
贅沢布陣映画
なのに、何故か製作国がアメリカになっているのが不思議。

スルース2

 製作も兼ねているジュード、自らがかつて敵対した役柄を演じるケイン爺や
ともに大熱演89分出ずっぱりの二人だけれど、ケイン爺やの年齢を感じさせな
いセリフ回し、軽やかな身のこなし
に感嘆する。一方のジュードは、改めて変幻
自在な名優
であると確信。その美し過ぎるルックから立ち昇る妖気にクラクラ
る。

 老作家ワイクは若いマイロに同居を持ちかけるけれど、そこにはどことなく
男色の匂いがした。マイロもまた、男も女も狂わせる自分の魅力を知っていた
のだと思う、それが悲劇の引き金になるのだけれど・・・。主演の二人は、文句
なしのハマリ役
だ。

 物語は全てワイク邸で進行し、虚実入り混じった密室でのセリフの応酬ハード
・キャンディ
を思い出させる。赤いイメージカラーで猟奇的な印象『ハード~』
に対し、本作は青いイメージで、心理的な葛藤と駆け引きが作劇の全て。リモコン
遠隔操作される無機質なデザインの室内は、照明が回る舞台装置のような作り
監視カメラによる「視線」がラストでどんな効果をもたらすのかと期待していたのだけ
れど、そこは何も無くて残念。

 全編を通して舞台劇のような作品であるため、映画ならではの仕掛けや奥行き
のある映像
というのは今ひとつだったかも。そこがこの映画の評価を分けるよう
な気がするけれど、私的にはジュードの色気が堪能できただけで、十分満足だっ
たりする。

スルース3

『スルース』監督・製作兼:ケネス・ブラナー/脚本:ハロルド・ピンター
   原作戯曲:アンソニー・シェイファー/  
     主演:ジュード・ロウ(製作兼)、マイケル・ケイン/2007・USA)
関連記事
スポンサーサイト

テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

[2008/04/21 09:07] | 映画 | トラックバック(12) | コメント(12) |
<<豪華絢爛黄金王朝大芝居~『王妃の紋章』 | ホーム | ~2008・夏アニメ Xデー~>>
コメント
昨日はお祝いコメありがとうございました。
さて、「スルース」ですが、
あたしも何故製作がアメリカなのか気になっています。
でも、やっぱりジュードの妖艶な魅力にまいってしまいましたね。
ジュードの芝居がかった演技も見られて満足でした♪
[2008/04/21 10:15] URL | miyu #- [ 編集 ]
真紅さん、いつもTBしてくださってありがとう、
さて、本作、アメリカ映画となっているのは資金提供とかといった絡みでしょうね。
しかしこの映画、ジュード。ロウの魅力満載と一定ほどの映画、それだけ?
分からん。
このゲーム感覚とも、表層的ともいえる内容とテイスト。ここまで意図したのかい?って悩んだりするけれど、どうなんだろう。私はブラナー作品ってことで初めから期待してなかったから、案外と娯楽作品として面白いって見ていたけど、実際、彼らはどういうレベルでどういう意図で作ったのかしらね。製作陣も錚々たるメンバーそろって、これ?って思うけど。面白かったけど、今ひとつピンとこない訳分からん映画でした。
[2008/04/21 15:01] URL | シュエット #- [ 編集 ]
miyuさま、こんにちは!コメントとTBをありがとうございます。
ジュードファンなら楽しめる映画でしたね。。
私はそんなに「大好き~♪」ってわけでもないのですが、彼の映画は観たいと思います。
こんなに英国印なのに、何故にアメリカ映画? 合作にもなってないし、不思議でした。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします!ではでは~。
[2008/04/21 15:38] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
シュエットさま、こんにちは!こちらこそコメントとTBをありがとうございます。
アメリカ資本で撮ったらアメリカ映画になってしまうのですね。。こんなに何もかもが「英国」なのに!
そうそう、物凄~い豪華製作陣ですよね。脚本がノーベル賞作家って、ビックリです。
でもハロルド・ピンターもケネス・ブラナーも元々舞台畑の人なんですよね?
(ジュードもケイン爺やも皆そうかな?)
だから映画として作るときに、ちょっと焦点がぼやけてしまったのかも・・・。こんな豪華な才能が終結しても?
もしかしたらキングス・イングリッシュネイティヴだったらもっと楽しめたのかも。。などと思ったりもします。
オリジナルは大傑作の誉れ高いようですから、私も観てみたいな~と思っています。
ではでは、またお伺いしますね~。
[2008/04/21 15:43] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
こんばんは!TBありがとう!
>全編を通して舞台劇のような作品であるため...
私的にはジュードの色気が堪能できただけで、十分満足だっ
たりする。
同感であります!
上、話題になってますが、なぜに?US映画なのでしょうかねぇ??
[2008/04/21 23:41] URL | margot2005 #- [ 編集 ]
この二人だから89分間魅せてくれた映画でしたよね。ジュードの色っぽさは健在だし、マイケル・ケインの身のこなしや歪な愛に壊れていく様もよかった!
あのテレビに出ていた人は脚本の人だったんですね。面白い顔出しをするなあ~。
真紅さんとは観る作品がけっこうかぶるので、こうしてレビューがすぐ読めることがうれしかったりします。またよろしくお願いします♪
[2008/04/22 00:10] URL | リュカ #- [ 編集 ]
真紅さん、こんばんは。
おっしゃる通りあの監視カメラが何か重要な役割を果たすのかと思いきや肩透かしで
「あれれ?」でしたね。
冒頭の天井からのカメラワークはかなりおもしろかったです。
でも途中からは「一体どこに着地点を持っていきたいんだろう?」という疑問が
頭をかすめつつスクリーンを観続けた私でしたー。
[2008/04/22 00:25] URL | sabunori #JalddpaA [ 編集 ]
margotさま、こんにちは~。こちらこそコメントとTBをありがとうございます!
そうそう、ジュードが好きな方は満足されるのでは?という感じですよね。
この映画を観て、アメリカ映画だとは誰も思わないですよね~。
謎です。まぁ、「そんなの関係ねぇ~」ですが(笑)。
ではでは、またお伺いしますね~。
[2008/04/22 14:38] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
リュカさま、こんにちは~。コメント&TBをありがとうございます!
テレビ画面がチラっと映ったとき、「もしかしてオリジナル?」と思って気になったんですよ。
で、調べてみると脚本家の方でした。
英国の方が観たらすぐわかるのかもしれませんね。大江健三郎さんみたいな感じで?
最近、ホント作品がかぶってますね~。こちらこそ、今後ともよろしくです!
ではでは~。
[2008/04/22 14:41] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
sabunoriさま、こんにちは。コメント&TBをありがとうございます!
あの監視カメラ、意味深でしたよね~。もったいなかった!
冒頭のカメラワークは、私も面白いと思いました。
でもどんどん二人に寄っていって、最後のほうはほとんどクローズアップでしたね。
ラストは私も、全く予測がつきませんでした。
ジュード好きじゃないと、ちょっとキツイかもですね。。
ではでは、またお伺いします~。
[2008/04/22 14:44] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
こんばんは
ジュード好きなので,彼が堪能できただけでもよかったわ。
彼の美しさは健在でしたね。髪は微妙でしたが。
それにほんと役者としても変幻自在だってあらためて感心しました。
彼って,男前なのに,変な外観の役も平気でやってくれるんですよね。
「AI」のセックスロボットとか
「ロード・トゥ・~」の禿げた殺し屋とか・・・
この作品も,むっさい警察の男が変装を取って
あれよあれよという間に美しいジュードに戻ったときは
思わずほんとに拍手してしまいました。
[2008/10/04 21:39] URL | なな #- [ 編集 ]
ななさま、こんにちは~。コメントとTBをありがとうございます。
これ、DVDがもう出たのでしょうか? それとも例の劇場かな。
ジュード、いいですよね~。ホント、美しいわ~。
「髪は微妙」・・、そうよね~。でもそれでも美しいから許せる!
あ、『A.I.』も『ロード~』も未見なんですよ。。『A.I.』は録画したDVDを持ってるのですが。
『ロード~』はね、ポール・ニューマン追悼で観てみたいと思ってたところです。
後ほどお伺いしますね、ではでは~。
[2008/10/05 11:06] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバック URL
http://thinkingdays.blog42.fc2.com/tb.php/447-0168b85c
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
スルース/ SLEUTH (2度目鑑賞)
1972年のオリジナル『探偵スルース』がスタイリッシュに蘇った! 夫VS妻の愛人{/atten/} ひとりの女をめぐり、男の嫉妬、羞恥心さらけだしバトル。 勝者はどっちだ?! 去年の秋、トロント映画祭で観てきたこの作品。 基となってるお芝居の方も過去に観たし、マイケル
[2008/04/21 09:48] 我想一個人映画美的女人blog
『スルース』
監督:ケネス・ブラナー  CAST:マイケル・ケイン、ジュード・ロウ ロンドン郊外に住む有名な推理小説家、ワイク(マイケル・ケイン...
[2008/04/21 09:55] Sweet*Days**
スルース
 『男の嫉妬は 世界を滅ぼす。』  コチラの「スルース」は、アンソニー・シェイファーの舞台劇を1972年に映画化した「探偵<スルース>」のリメイクで、3/8公開となったPG-12指定のサスペンスなのですが、観て来ちゃいましたぁ~♪  オリジナルは未見なのですが、オ...
[2008/04/21 10:08] ☆彡映画鑑賞日記☆彡
「スルース」
SLEUTH 2007年/アメリカ/89分/PG-12 at:テアトル梅田 マイケル・ケインとジュード・ロウ。 共にロンドン生れの二人。 予告編で二人が向き合っている映像を見ていると、目から滲み出る色気といい、その風貌といい、よく似ている。 夫VS妻の愛人 男の嫉妬は...
[2008/04/21 14:53] 寄り道カフェ
「スルース」
「Sleuth 」2007 「リトル・ボイス/1998」「愛の落日/2002」のマイケル・ケインと「マイ・ブルーベリー・ナイツ/2007」のジュード・ロウが火花を散らすサスペンス・ドラマ。 監督は「ハムレット/1996」「舞台より素敵な生活/2000」のケネス・ブラナー。 脚本はノ
[2008/04/21 23:35] ヨーロッパ映画を観よう!
スルース
2007年 アメリカ 監督:ケネス・ブラナー 出演:マイケル・ケイン    ジュード・ロウ 男二人の騙しと駆け引き。 ネタバレ有りです。 高名な小説家ワイクを訪ねる一人の男。 ワイクの妻の愛人のマイロだ。 彼はなかなか離婚を承諾しない作家に同意する...
[2008/04/22 00:12] 菫色映画
スルース
ロンドン郊外の邸宅に住むベストセラー小説家ワイク(マイケル・ケイン)。 彼のもとに若い男が訪ねてくる。 彼の名はティンドル(ジュード・ロウ)。 ワイクのもとから去った妻と現在恋仲にあるというこの男は妻と別れるようワイクに迫る。 老いて富と名誉を手にした...
[2008/04/22 00:18] 龍眼日記 Longan Diary
「スルース(SLEUTH )」映画感想
我想一個人映画美的女人blog のmigさんが2回も見たというお薦めの映画が公開になっていたので見てきました。 紹介文「
[2008/04/29 22:19] Wilderlandwandar
スルース
この作品,高評価の素晴らしいオリジナル(1972年)があるそうだが・・・そっちは未見なので,このリメイク版はまっさらな気持ちで鑑賞。 あらすじ: ロンドン郊外の邸宅に住むベストセラー推理小説家ワイク(マイケル・ケイン)の元に、彼の妻の愛人ティンドル(ジュ...
[2008/10/04 21:31] 虎猫の気まぐれシネマ日記
スルース 【探偵】
Sleuth(2007/アメリカ)【DVD】 監督・製作: ケネス・ブラナー 出演:マイケル・ケイン/ジュード・ロウ 男の嫉妬は 世界を滅ぼす。 1972年の傑作ミステリー映画『探偵<スルース>』を、イギリスの俳優でもあるケネス・ブラナーがリメーク。 夫VS妻の浮気相手。ひ
[2008/10/08 22:50] 小部屋日記
『スルース』\'07・米
あらすじロンドン郊外の邸宅に住むベストセラー推理小説家ワイク(マイケル・ケイン)の元に、彼の妻の愛人ティンドル(ジュード・ロウ)がやって来る。「奥さんとの離婚に合意してほしい」と言うティンドルに、ワイクはあることを提案する・・・。感想スルーするには勿体...
[2009/04/01 07:03] 虎党 団塊ジュニア の 日常 グルメ 映画 ブログ
スルース
男の嫉妬は、世界を滅ぼす。
[2009/06/17 00:44] Addict allcinema 映画レビュー
真紅のthinkingdays


いつまでも青臭い映画好きでいたい。愛おしい映画と、忘れがたき本たち。ときどきカフェとか。 記事は基本的にネタバレあり。 どうぞご贔屓に♪

Recent Entries

Categories

What's New?

真紅

Author:真紅
Every cloud has a silver lining.

Recent Comments

Recent TrackBacks

Archives

My Favorite

Search this site

RSS

Thank You!