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映画が大好きです。いつまでも青臭い映画好きでいたい。 記事は基本的にネタバレありです by 真紅 (言葉を探す人)   ★劇場鑑賞した映画は Instagram にアップしています @ruby_red66 ★Stay Blue

神話的英雄譚~『モンゴル』

モンゴル


 MONGOL


 モンゴルといえば何を連想するか・・・。朝青龍、大草原、絵本『スーホの白い馬』。
チンギス・ハーンは、そういえばモンゴルの人だったのか、というくらいの知識の私。
部族間の紛争や略奪の絶えない12世紀のモンゴルにおいて、そのカリスマ性
遊牧民族を束ね、世界の半分を支配する大帝国を築いたテムジン、後のチンギス
・ハーンの物語
。冒頭に出てくる「1192年」という年号に、そういえば源義経=チン
ギス・ハーン説
というのを聞いたことがあるな、と思い出した。

 ロシアセルゲイ・ボドロフがメガホンを取り、日本人である浅野忠信が主役
のテムジンを演じている本作は、カザフスタン代表として第80回アカデミー賞
外国語映画賞にノミネート
された(受賞はオーストリア代表ヒトラーの贋札)。

モンゴル2

 大スクリーンに映し出されるモンゴルの草原や夕日、乾いた大地と山々、一面
の雪景色
。躍動するように走るたち。壮大な風景を切り取った撮影現場は過酷
を極めただろうけれど、映画館で体感するに値する素晴らしい映像美だ。

 主役を張る浅野忠信は、低くよく通る声で、聴きなれない言葉をしゃべってい
る。外国語ならなんでもカタカナ表記し、はっきりくっきり発音したがる日本人の
彼が、息が抜けるような発音のモンゴル語を操ることは決して容易ではなかっ
ただろう。彼の発音が完璧かどうかはわからない。しかし、舞台は非英語圏なが
ら、役者たちは平気で英語をしゃべっているような作品がまかり通る映画界
で、
彼がやってのけようとしたこのリアリズム称賛に値すると思う。

 浅野忠信って地味顔だけど、こんなに誠実そうでカッコイイ人だったのか。。
スクリーンを眺めながら何度も溜息をついた。「来ると信じていた」「お前がいなけ
れば生きられない」
9歳で出逢い、契りを交わし、何年も顔を合わせることもなく、
生きるために他の男と暮らそうとも、決して切れないテムジンとボルテの絆
する。敵の子を身ごもった妻のお腹を「俺の息子だ」と言ってなでるテムジン。
そんな彼が選んだボルテの胆力に、憧れに似た思いを抱いてしまう。

モンゴル3

 テムジンの盟友ジャムカとの、雌雄を決する戦いがこの映画のハイライト。
ちょっと一本調子の映像のような気もしたけれど、300を思い出させる戦闘シ
ーンの迫力
は凄まじい。耳飾りがおしゃれなジャムカを演じたスン・ホンレイも、
静謐ささえ感じさせる浅野テムジンとは対照的なエキセントリック・キャラを演
じて、強烈な存在感だったと思う。数年単位でジャンプするストーリーは少し分
かり難い部分もあったけれど、100%映画的スケールの雄大な映像を堪能でき
ただけでも大満足。

 そういえば浅野くんって「CHARAの旦那さん」っていうイメージばっかりで、
今まで「これ」という作品を観た記憶がない。反省。。これから少しずつ、彼の
過去作を観てみたいと思った。

『モンゴル』監督・製作・脚本:セルゲイ・ボドロフ
        主演:浅野忠信/2007・独、カザフスタン、露、モンゴル)
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2008-04-15 : 映画 : コメント : 14 : トラックバック : 16
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真紅さん 早速のTBありがとう!
映像スケール壮大だったよね、こんな映像だけでも私もう充分。先にみた邦画の反町君ジンギス・ハーンの感覚と、ロシア人の描いたジンギス・ハーン。大陸の感覚と島国の感覚の違い見せつけられ、これが大陸感覚だわって思った。
「タタールの頸木」大陸の歴史の凄まじさも感じるわ。
>浅野忠信って地味顔だけど
なにを言われる真紅さん、素敵なんだから(笑)。彼って、インディアンのクォーターなの。だからこんな大陸にたたせても、大陸の人間に混じっても存在感あって違和感ない。
私の記事にチラッと書いたけど。監督の息子君がもし生きていたら、案外、彼にジンギス・ハーンを演じさせたかも知れないなってちらっと思ったわ。浅野君より少し年上で彼なら似合うと思うわ。「コーカサスの虜」未見だったら見てみて。

2008-04-15 23:18 : シュエット URL : 編集
シュエットさま、こんにちは。コメントとTBをありがとうございます!
私も、あの雄大な風景が観られただけで満足かもです。浅野くんが主演だし・・。
反町くんの映画は観ていないのですが、「大陸と島国」ですかー。なるほど。
国境が地続きってことは、侵略と背中合わせということなのですよね。
そこも我々にはない感覚ですよね~。

浅野くんがアメリカ人とのクォーターっていうのは存じておりましたが、彼って典型的「しょうゆ顔」ですよね←例えが古い!
監督のご子息のことは、貴記事で初めて知りました。
そんなことがあったのですね・・。
他の監督作品は未見ですので、是非観てみたいと思います!
ではでは、またです~。
2008-04-16 08:46 : 真紅 URL : 編集
1192!
ただ映すだけじゃなく,生命を感じさせてくれる
壮大・雄大なロケーション撮影が見事でした!

浅野さん人間味ある俳優ですね~。
もっともっと映画界を盛り上げてほしい!
2008-04-16 11:32 : AKIRA URL : 編集
こんばんは!
TB&コメントありがとうございました。
ちょっと想像していた物語と違いましたが、、、浅野さんは素敵でした~♪
もっと強くってカリスマ性タップリのテムジンを描くのかと思いましたが、静かな優しさと強さを秘めたテムジンを魅せてこれましたね~
ところどころ繋ぎで分かり難いところもありましたが、画面からモンゴルの空気が伝わってくるいい映画でしたね。
2008-04-16 23:18 : 由香 URL : 編集
こんばんは。
連日、少々時間に追われ、お邪魔するのが遅くなってしまいました。

雄大かつ過酷な大自然に生きる人間たちが何故、心身共に強いのか、
そんな中にあって、テムジンはどんな人物だったのか。
監督がどんな作品を目指したのか、何を描きたかったのかがよくわかる作品でした。
この主人公なら、確かに浅野さんのイメージがぴったりでした。

わたしも浅野さん出演作をたくさん観たわけじゃないので
(観たのに感想書いてないものもあることを思い出した!)
今後もちょっと意識して観ていきたいと思います。
2008-04-16 23:37 : 悠雅 URL : 編集
AKIRAさま、こんにちは!いつもTBでお世話になっております。
コメントをいただくのは初めてではないでしょうか。ありがとうございます!
そうですね、山も草原も、空も風も生きていましたね。
浅野くん(みなさん「さん」付けなのですね)、低音のヴォイスに痺れました!
ホント、これからの活躍にも期待ですね。
ではでは、またお伺いします~。
2008-04-17 09:49 : 真紅 URL : 編集
由香さま、こんにちは!コメントとTBをありがとうございます。
浅野くん、素敵でした~♪ 
とっても静謐な佇まいのテムジンでしたね。
細かいことは気にせず、思いっきり話が飛ぶのが大陸的な良さでしょうか(笑)。
モンゴルの風景がね、また素晴らしかったですね~。
ホント、観てよかったです。
ではでは、またです~。
2008-04-17 11:28 : 真紅 URL : 編集
悠雅さま、こんにちは。コメントとTBをありがとうございます。
浅野くんって涼しげな印象で、カリスマってイメージはないですよね。
でもその「静」のイメージがとっても似合うテムジンでした。
そしてあの低音にメロメロ・・・(惚)。
観たい観たいと思いつつ、観ていない彼の出演作がとても多いのです。
私も少しずつ、観ていきたいと思います!
まずは『父と暮らせば』あたりから・・・。
ではでは、またお伺いしますね。
2008-04-17 11:58 : 真紅 URL : 編集
こんにちは♪
真紅さん、おじゃまします~

わはは!私もあの冒頭の「1192」で義経??
と思いましたよ~

しかし映像美は素晴らしかったですね!

私は浅野さんより、スン・ホンレイにかなりやられました。
かっこいいです♪
浅野さんの作品ははじめてみましたが、「静」でしたね。



2008-04-18 20:28 : jester URL : 編集
jesterさま、こんにちは~。コメントとTBをありがとうございます!
あの年号、鎌倉時代!ってすぐわかりますよね(笑)。
映像が大地を感じさせて、素晴らしかったです。
スン・ホンレイは、『初恋のきた道』の人だと知ってビックリ!です。
でも、とってもいい役者さんですね~。浅野くんと好対照でした♪
ではでは、後ほどお伺いします~。
2008-04-18 22:08 : 真紅 URL : 編集
こんにちは♪
真紅さん、ご訪問が大変遅れてスミマセン。
そっか~、浅野さんをあまりご覧になったことが無いんですね。
私はオダジョーは別格として(笑)、「コノ人が出てるなら見てみたい」俳優の一人です。
邦画のインディーズ部門はずーっと浅野さんが引っ張ってきたようなものですが、最近は大作にも出てくれるようになってシネコンで姿を拝見することも多くなってきました。
拙ブログの方の返信コメントに浅野さんの出演作など挙げておきましたので、またチェックしてみてくださいね。
公私共に本当に素敵な人だと思います。(想像)
オダジョーももうちょっとだけ肩の力を抜いてくれればな~と浅野さんを見るたびに思うのですよ。

「おまえがいなければ」のセリフは、日本語で言われたら韓ドラ並みにクサ過ぎますが、モンゴル語なのですぅーっとしみて来て痺れました!
愛する女はただ一人&その女の産んだ子供は自分の子供・・・っていう姿勢にもー惚れました!
2008-04-18 23:25 : ミチ URL : 編集
ミチさま~、こんにちは!コメント&TBをありがとうございます♪
そうなんですよ~、浅野くんとは何故か接点(?)がなくて・・・。
コメントレス、拝見しました!なんか、すっごく詳しく解説いただいて、もう感謝感激、恐縮です!!
そうか~、『母べぇ』にも出演されていたのですよね。。観に行けばよかった(号泣)。
オダジョーは、浅野くんより少し自意識が強い感じですね。
殻が固いというか・・・。よき伴侶を得て一皮むけてくれるといいですねー。
『アカルイミライ』とか観てみたいな~と思います。
あと、青山真治監督作も未見なので・・・。でも、『ユリイカ』から入らないとと思うと気が重くて(長)。

テムジンの大陸的な男気が素敵すぎでした♪
細かいことは気にしない!大きな大きな愛を感じます。
ではでは、またお伺いします~。
2008-04-19 08:45 : 真紅 URL : 編集
真紅さま~こんばんは!
一番上のポスター、初めて見ました。素敵ですね~。
浅野君、カッコ良かったですねー。
今まで、あんまり素敵な浅野君を見たことがなかったなあ・・・(爆) カッコイイって思ったのは、座頭市以来かも?(*^_^*)

音楽や映像は素敵だったのだけれど、内容的には、へ??って部分が少々、そして最後の方で、大勢の大群を引き連れる程になっていた処が唐突で、それに至る過程を少し見せてもらいたかったです・・・
2008-06-15 20:49 : latifa URL : 編集
latifaさま、こんにちは!コメントとTBをありがとうございます。
ポスターは、偶然見つけたのかな? 国によっていろんなバージョンがありますよね。
浅野くん、私はほとんど出演作品を観ていないことに気付きました。
旧作って、なかなか観られなくてね。。

大陸的な映像が素晴らしかったですね~。
確かに、戦闘シーンとか何年も一気に飛ぶところは??な部分がありましたね。
続編の構想もあるらしいけど、どうなるのかなぁ・・・。
ではでは、後ほどお伺いします!
2008-06-16 07:04 : 真紅 URL : 編集
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