声を探して~『ヴォイス・オブ・ヘドウィグ』
ヴォイス・オブ・ヘドウィグ


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 WITH THE MUSIC OF HEDWIG



 名作ロックミュージカルヘドウィグ・アンド・アングリーインチトリビュート
アルバム
を製作し、その売り上げをニューヨークにある性的マイノリティのため
の高校「ハーヴェイ・ミルク・ハイスクール」に寄付するというプロジェクトを追っ
ドキュメンタリー。製作過程と並行して、スクールに通う4人の生徒たちにも
焦点を当て、彼らのありのままの姿を映し出す。

 アルバムの参加ミュージシャンは、『ヘドウィグ』立役者ジョン・キャメロン・
ミッチェル
スティーヴン・トラスクをはじめ、ヨーコ・オノ、ルーファス・ウェイン
ライト、ジョナサン・リッチマン
など多彩な面々名曲のオンパレードである『ヘド
ウィグ』
のナンバーが、新しいアレンジやハーモニーで聴けること自体、感動モノ
そしてその音楽が、ハーヴェイ・ミルク・ハイスクールに通う4人の子どもたち
生き辛さを抱え、様々な困難に直面しながらも自分らしく生きようともがいてい
る-
とリンクすることで、観るものに更なる衝撃を与えている。

 そのチャリティーアルバム『Wig in a Box』記事はこちら⇒

ヴォイス・オブ・ヘドウィグ2

 カンボジア移民のメイレズビアン。両親に存在を否定され、自傷行為を繰り
返していたトランスジェンダーのエンジェル。ラテン家庭の一人息子で、父親と
気まずい関係にあるゲイのラルフィ保守的な土地に生まれ、家族や故郷から
逃げ出し、断絶しているレズビアンのテナジャ。彼らが語る自らのストーリーに、
『ヘドウィグ』のナンバーがオーバーラップする。私にとって『ヘドウィグ』一番
好きな映画の一つ
だと断言できるけれど、自分は今まで一体あの映画の何を
観て、何を聴いていたのだろう
愕然としてしまった。

 何故、あの映画の物語と音楽たちに、あれほど心を揺さぶられるのか。そこに
男でも女でもない「人間」として生きることの真実、全ての魂の崇高さを信じて
生きていこうというメッセージ
が込められているのだと初めてわかった気がして、
が自然に、止めどなく溢れてくる。

 ドキュメンタリー撮影中に公立高校として認可された「ハーヴェイ・ミルク・ハイ
スクール」
は、アメリカで初めて同性愛者であることを公表してサンフランシスコ
市議
に当選するも、凶弾に倒れた活動家ハーヴェイ・ミルクに因んでいる。その
ハーヴェイ・ミルクにショーン・ペンが扮し、ガス・ヴァン・サントがメガホンを取る
伝記映画Milkも製作中。日本での公開が待たれる。

ヴォイス・オブ・ヘドウィグ3

 国際的なモデルとして、ミッソーニはじめ世界で活躍しながらも、「家族や友人と
離れているのが辛い」「過去にも未来にも馴染めない」
と涙を流すメイ。彼女は自分
と周囲の間に、深くて広い溝があると感じている。その溝を埋めてくれる理解者たる
家族や友人と離れることは、世界と自分との架け橋を失ったような、たった独りで
見知らぬ場所に取り残されたような気分
なのだろう。

 どうかこの世界が、彼女や全ての子どもたちにとって幸せを感じられる場所で
あって欲しい。
このドキュメンタリーを観て感じることはそれに尽きる。マイノリティ
の人々が生き易いと感じられる世界は、誰にでもやさしく、温かい場所に違いな
いから。


 素顔ジョン・キャメロン・ミッチェル穏やかで温和で、繊細な雰囲気。こんな
にも静かな人が、エキセントリックの極みのようなヘドウィグを演じたとは信じ難い
ほど。しかし、彼が生み出した映画『ヘドウィグ』は間違いなくマスターピースとして、
後世に残るだろう。そして、道にはぐれたはみ出し者や、迷子の大人たちをその
「ヴォイス」導き続けるに違いない。

 たとえ性的マイノリティであろうとなかろうと、誰もが生き辛さを感じている現代
彼の歌声に、少しを傾けてみよう。そうすればきっと、「自分自身の声」も見つ
けられるから。


『ヴォイス・オブ・ヘドウィグ』監督:キャサリン・リントン/2006・USA)
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