マジカル・ミステリー・ジャーニー~『ダージリン急行』
ダージリン急行


 THE DARJEELING LIMITED


 父の葬儀以来、一年間絶交状態だったホイットマン家の三兄弟。再会した彼らは
ヒマラヤで修道女となっている母に会うため、インドを列車で旅するのだが・・・。

『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』ウェス・アンダーソン監督・脚本によるロードムー
ビー
。本編前に、ショートムービープロローグとして上映されるという凝った作り。
ホイットマン家の三男ジャック(ジェイソン・シュワルツマン)と元カノのナタリー・ポー
トマン
パリのホテルで再会する。「僕のパリを見て」。マリー・アントワネット
ルイ16世を演じたジェイソンが言うと、なんだか意味深に聞こえるような・・・。
ナタリーのヌードが話題になった短編だけれど、さほどセクシュアルなわけでもな
かった。

ホテル・シュヴァリエ


 『ホテル・シュヴァリエ』

 HOTEL CHEVALIER



 さて本編は、インドの街路を疾走するタクシーで幕を開ける。乗っているのはビル・
マーレイ
。土埃を舞い上げながら走るタクシー、車線も歩道も混沌とした道。人、牛、
車、全てが混然一体となって、無秩序でカオティックなインドという国を象徴するよう
なオープニングの見せ方にうなる。ビル・マーレイはダージリン急行列車に乗り遅れ、
間に合ったのはホイットマン家の次男、ピーター(エイドリアン・ブロディ)。一等客室
では、長男のフランシス(オーウェン・ウィルソン)とジャックが彼を待っていた。

ダージリン急行3

 インドという摩訶不思議な国になんともフィットする、デコボコ三兄弟の掛け合い
が面白い。仕切り屋で、傷だらけの顔に包帯を巻いている長男フランシス、内に
こもるタイプでサングラスの次男ピーター、ちゃっかりタイプで何故か裸足の三男
ジャック。それぞれが家族や人生についての悩みを抱えながらインドを旅し、生や
死と直面
する中で、兄弟のを取り戻してゆく。彼らが走り出した列車に飛び乗る
場面は、リトル・ミス・サンシャインを少し、思い出させる(家族&黄色つながり)

 彼らが、父の形見として旅の道連れにしている旅行鞄がすごい!マーク・ジェイ
コブズ&ルイ・ヴィトンのオーダー
で、イニシャルとシリアルナンバー入りの逸品
ベルトもお揃い。車もポルシェだし、超ハイソであろうホイットマン家の一面が伺え
る。小物のデザインや色も凝っていて、見ているだけで楽しい。『ザ・ロイヤル・テネ
ンバウムズ』
も、衣装がおしゃれだったなぁ。

 インドの黄色い大地に、ダージリン急行の青が映える。ターコイズ、スカイ、ロイ
ヤル、様々な青が美しい。「いかにも」な彼らの母親(アンジェリカ・ヒューストン)
再会し、重い荷物から解き放たれた三兄弟が乗る赤い列車もまたキュート! 
旅のお伴のipodから流れてくる音楽も、シタールの音が聴こえてきそうなオリエン
タルムード
「言葉じゃなくて、もっと自由に表現して」。それはフランシスの言う
「スピリチュアル・ジャーニー(字幕では「心の旅」)」の極意なのかもしれない。

 観終わって、感動とか涙とか、心揺さぶられる何かが特別あるわけではない
それでも、「観てよかった・・・」と何故か思える、滋味のある作品だと思う。

『ホテル・シュヴァリエ』監督・脚本・製作:ウェス・アンダーソン
  主演:ジェイソン・シュワルツマン、ナタリー・ポートマン/2007・USA)

(『ダージリン急行』監督:ウェス・アンダーソン/2007・USA/
   脚本・製作:ウェス・アンダーソン、ロマン・コッポラ、
      ジェイソン・シュワルツマン/主演:オーウェン・ウィルソン、
               エイドリアン・ブロディ、ジェイソン・シュワルツマン
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[2008/03/25 14:26] | 映画 | トラックバック(19) | コメント(14) |
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コメント
真紅さま、こんにちは~!
記事アップされましたね~(^_^)/
 えっ!!マリーアントワネットのルイ16世を演じた人って、あの人だったんですか?
色々な役を演じられる人なんだ・・・。
私は、申し訳ないんだけど、なんで、こんな男と美人のアテンダントさん・・・、即、OKなのか??って、ちょっと思っちゃったw

ビルマーレーのシーンって少しだったのに、妙に印象に残っています。
[2008/03/25 15:34] URL | latifa #SFo5/nok [ 編集 ]
latifaさま、こんにちは~。コメント&TBをありがとうございます。
そうそう、ルイ16世は、コッポラファミリーなんですよ! ソフィアの従兄弟かな?
すごく背が低いな~と思いました。ナタリーもちっちゃいけど、同じくらいだったから!
あのアテンドさん、別れ際泣いてたもんね~。彼氏もいたのに・・・。不可解。
オープニングのビル・マーレイに、「巧いなぁ」と思いました!
ではでは、またお伺いしますね~。
[2008/03/25 17:44] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
真紅さん、なますてー。
私、実は、世間で好評だったリトル・ミス~がそんなに好きではないんですが、こちらは大好きなウェス・アンダーソン作品だけあって、小ネタの隅々まで楽しめてしまいました。
毎度のことながら、愛嬌ある情けないキャラクターが素晴しいなぁと。
ビル・マーレイにも会えて嬉しかったですよねー。
[2008/03/26 22:15] URL | かえる #LkZag.iM [ 編集 ]
真紅さんの記事を読んで、映画の中のひとつひとつの色彩を思い出せました。
色合いも小物も凝った映画でしたね~。
家族の絆を取り戻す王道を走りながら、ああいったユニークなキャラの母親を最後に据え置いているところがまた面白かったです。
それからあの三男坊はルイ16世のあの人でしたか!って顔ももう忘れてますが…(笑)。
それを考えるとたしかにあの台詞は何となくニヤリとしてしまいます。
[2008/03/26 22:32] URL | リュカ #- [ 編集 ]
かえるさま、「手と手の皺を合わせて」なますて~。
コメント&TBをありがとうございます。
『リトル・ミス~』はあまりお好きじゃないのですね。
この映画は幸せの黄色つながりですが、小じゃれた雰囲気もあり、オトボケもありで面白かったですね。
ビル・マーレイに象徴されるような・・・。
彼って、結局誰だったんでしょうね?! 亡くなったお父さんのボーレイ!? まさか(青)。
なかなか楽しめました!
ではでは、またお伺いします~。
[2008/03/26 23:16] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
リュカさま、こんにちは~。コメント&TBをありがとうございます。
この映画、テーマカラーは黄色だと思うのですが、青もすっごく印象的でしたね。
ラストの列車の赤(オレンジ系だから、やっぱ黄色が混ざってる)もよかったし。
あのお母さん、一体何だったんでしょうね? とことん自由人な・・・。
ジェイソンったら、結構影が薄いのかな?!(笑)
私はイメージ通りのルイ16世だったのですよ。
ショートムービーもおしゃれでしたね♪
ではでは、またお伺いします~。
[2008/03/26 23:20] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
真紅さん、こんばんは☆
お返事遅くなってしまいましたが、TBありがとうございましたー。
私も「マジカル・ミステリー」って書いちゃいました(笑)
ほんとに色使いがカラフルで印象的でしたよねー。
インドって不思議な魅力のある国だと思います。(行った事はないですが・・・)
お揃いカバンシリーズは私もツボだったんですが、そうかー、あの一家はハイソだったんですよね、実は。
[2008/03/30 00:55] URL | sally #- [ 編集 ]
sallyさま、こんにちは~。こちらこそコメント&TBをありがとうございます!
ホント、「マジカル・ミステリー・ツアー」でしたよね♪
私も、インドは行ったことないのですが、一度は訪れたいと思っています。
あの一家はめちゃめちゃハイソだと思いましたよ!
三男なんてほとんど「自称」作家なのに、パリのホテルで執筆なんて!!
旅の途中でもいつもジャケット着てるし、育ちがいいんだな~と思いました。
ではでは、またです~。
[2008/03/31 08:21] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
こちらにもTBもってきました。本日といっても月曜日、仕事帰りに観て直ぐにアップしました。この間ニコラ監督作品優先で、公開作品は後回しだったので、真紅さんのほうが早かったわね。いやぁ、別段瞳孔内のだけれど、なんともいい気分で劇場を後にしました。そんな気分が消えない間に記事アップです。
[2008/04/01 00:10] URL | シュエット #- [ 編集 ]
シュエットさま、こちらにもコメントとTBをありがとうございます。
「瞳孔内」は「どうこうない」ですね? ウフフフフ
そうなんです! どうってことないロード・ムービーなんですが、たまらなく好きな空気感でしたよね!
感動の嵐も慟哭もないですが、こんなに気分いいまま劇場を後にできる映画もいいですよね。
後ほどお伺いしますね。ではでは~。
[2008/04/02 06:52] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
ありゃ、失礼しました。
翻訳ありがとう(ペコリ)
[2008/04/02 09:07] URL | シュエット #- [ 編集 ]
いえいえ、どういたしましてです!
[2008/04/02 14:44] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
こんにちは!
とちゅう,あまりにもゆる~い雰囲気に
退屈しそうにもなったけど
おっしゃるように,何気に癒される
地味だけど滋味な作品でしたわ。
噛めば噛むほど味わいが出てくるかも・・・
あの3人兄弟の個性がそれぞれ面白かったですね~。
あの鞄セットは,とっても可愛くて
捨てるのもったいないよ~。
[2008/09/06 17:45] URL | なな #- [ 編集 ]
ななさま、こんにちは~。コメントとTBをありがとうございます。
ゆるい雰囲気の中にも神経質なところもある映画でしたね。
ダージリン地方の風土とか、汽車とかもちろんマーク・ジェイコブスの特注鞄とか、全てが独特で素敵でした。
あんなバラバラな兄弟、ありえへん!けど面白かったですね。
私も、もうあの鞄を捨てる場面では叫びそうでしたよ。
「捨てるならくれ~~~!」って(爆)。
ではでは、後ほどお伺いします~。
[2008/09/07 22:14] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
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