望郷~『ペルセポリス/Ⅰイランの少女マルジ、Ⅱマルジ、故郷に帰る』


2007年、カンヌ映画祭にて審査員賞を受賞したアニメ映画の原作漫画。1969年、
イランに生まれた著者の体験を基に、1979年のイスラム革命以降の激動のイラン
現代史を、一人の少女の視点から描いている。本書はアメリカにて優秀な外国語
の本のアメリカ版に贈られるハーベイ賞、米国図書館協会のアレックス賞を受賞
している。
★映画の感想はコチラ⇒『ペルセポリス』★
映画が素晴らしかったので原作も読みたいと思ったのだが、予想通り面白く読
むことができた。映画と同じくモノクロの版画のような画。この画、どこかで見たよ
うな・・・とずっと思っていたのだけれど、わかりました。蛭子能収さんの描く漫画
に似ていないだろうか? ちょっとだけ、ちょっとだけ似てないかな・・・(小声)。
映画は原作のエッセンスをうまく絞ったな、という印象。映画ではマルジのおば
あちゃんが飛び切り魅力的な人物としてクローズアップされていたけれど、原作
ではおばあちゃんよりも両親の方がマルジに与えた影響は大きいと感じさせる。
たった14歳の一人娘(マルジは一人っ子)を、海外に留学させる両親。保守的な
国の保守的な時代に、心から娘の将来を思っている親にしかできないことだと思
う。もちろん経済的な問題も大きいけれど。ちなみに映画を観たとき謎だった、
マルジのお父さんの職業は、設計技師さんのようです。
漫画ではあるけれど、当然映画や小説と同じく翻訳されている。この訳が素晴
らしいと思った。出過ぎず、固過ぎずやわらか過ぎず、わかり易く読みやすい。
訳者は園田恵子さんという詩人の方らしい。
著者は「永遠に」故郷イランを離れ、フランスに移住している。日本にもイラン
出身の方は多いが、先日ダルビッシュくんがTVインタビューでこんなことを語っ
ていた。
「僕にはイランの血が半分流れているので。そのことで苦しんだ時期もあったけ
ど、イランのためにもという気持ちで(オリンピック予選は)戦いました」
著者の中にも、イランへの想いは深く、強く根付いていることだろう。この本は
異国で生きる著者の、母国へのラブレターなのかもしれない。
(『ペルセポリス/Ⅰイランの少女マルジ、Ⅱマルジ、故郷に帰る』
マルジャン・サトラピ著、園田恵子訳/2005・バジリコ)
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真紅さま~こんにちは!
映画の方にTBをして、コメントはこちらに残して行きます☆
原作本もお読みになられたんですねー。
真紅さまのこのレビューを拝見させて頂いたお陰で、ちょこちょこと、この映画(お話)のこと、もうちょっと色々知れて嬉しかったです^^
お父さんは設計技師か~。
稼ぎが良さそうでしたよね。
私的には、この映画、それほど感動とかあった訳ではなかったし、むしろちょっと期待し過ぎちゃったかな~って思ったりもしました(^^;
映画の方にTBをして、コメントはこちらに残して行きます☆
原作本もお読みになられたんですねー。
真紅さまのこのレビューを拝見させて頂いたお陰で、ちょこちょこと、この映画(お話)のこと、もうちょっと色々知れて嬉しかったです^^
お父さんは設計技師か~。
稼ぎが良さそうでしたよね。
私的には、この映画、それほど感動とかあった訳ではなかったし、むしろちょっと期待し過ぎちゃったかな~って思ったりもしました(^^;
latifaさま、こんにちは~。コメント&TBをありがとうございます。
そうなんです、運よく原作も読むことができました☆
映画は、原作をうまくまとめているなと思いました。
もちろん、映画にあって原作にないエピソードもありました。
マルジがイランのテレビで『おしん』を観てた、とか。で、映画にあったゴジラの映画は原作には出てこないんですよ。
latifaさまは映画の方はイマイチだったのですねー、残念!
後ほどお伺いしますね、ではでは~。
そうなんです、運よく原作も読むことができました☆
映画は、原作をうまくまとめているなと思いました。
もちろん、映画にあって原作にないエピソードもありました。
マルジがイランのテレビで『おしん』を観てた、とか。で、映画にあったゴジラの映画は原作には出てこないんですよ。
latifaさまは映画の方はイマイチだったのですねー、残念!
後ほどお伺いしますね、ではでは~。