奇妙な冷淡さ~『テレビの中で光るもの』

銀色夏生のテレビ批評+似顔絵の本。『つれづれノート』の中に時折書かれてい
たテレビ批評が面白かったので、つれづれが終わってしまった今、それがまとめて
読めると喜んで手にとってみた。
テレビ批評といえば、やはり故・ナンシー関さんが第一人者だったし、視点や
語り口が独特で鋭く、とっても面白かったと思う。銀色さんも確かナンシーさん
の書くものは好きと言っていたように思うから、ナンシーさん亡き後、彼女の本
が読めない代わりに自分で似たような本を出したくなったのだろうか。小栗旬く
んのことを「今、いまいましい顔をさせたら、鼻持ちならない男を演じさせたら
ナンバー1の小栗旬」だって。プププ。
全体的にそこそこ面白いけれど、途中で挿入されるコラムは要らないと思った。
銀色さんは今子育て真っ最中だから、人生や生きていく上での姿勢みたいなこと
に関心が向いているのかな? 最初はうんうんと頷きながら読んでいたのに説教
調の文章に食傷してしまい、最後のほうのコラムは斜め読み。でも、この構成っ
て著者と言うよりは編集者の責任のような気もする・・・。似顔絵は見ようによって
は「ヘタウマ」だけど、絵の横に名前が書いてなかったら誰だかわからないものが
多数(笑)。松坂慶子だけは巧いと思った。
タイトルにした「奇妙な冷淡さ」というのは、中居くんを評しての銀色さんの褒め
言葉。そしてそれはかつての銀色さん自身の魅力でもあったと思う。だから、あと
がきで「テレビの中で光る人たち」に謝る必要はなかったんじゃないかな。
(『テレビの中で光るもの』銀色夏生・著/幻冬舎・2007)
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