種とセクシュアリティ〜『犬身』
犬身

 八束房恵は、狗児市という地方都市に住む30歳の独身女性。自らの魂は犬であり、
自分は性同一障害ならぬ「種同一障害」で、自らを「ドッグセクシュアル」だと考えて
いるほどの犬好き。『犬の眼』というタウン誌を大学時代からの腐れ縁の友人・久喜
と発行する編集者であるが、仕事にも今後の人生にも倦んだ心を抱えている。
そんな時、房恵は風変わりなバーテンダー朱尾献から、ある契約を持ちかけられる。
それは房恵を犬に生まれ変わらせる代わりに、彼女の魂を朱尾に捧げる、というもの
だった・・・。

 松浦理英子氏の著書は初体験。新聞の書評が気になり、何気なくページを開いた
ところ、これが止められない面白さ!500ページを超える厚い本だが、少しの空き
時間にも読んでいたくて持ち歩いたほど。特に美文でもなく、文体も凝ったもので
はないけれど、開いたページがなかなか閉じられない。現実にはありえない、一種
ファンタジー小説であるとは思うのだけれど、登場人物たちの生態や感情が妙に
リアル
で目が離せないのだ。

 物語は、犬に成りたいと願った房恵が仔犬の「フサ」として生まれ変わり、陶芸家
に飼われるようになるところから、少し表情を変える。梓の歪んだ家庭環境や
感情を殺したような生き方は読んでいて気持ちのいいものではないけれど、飼い主
としての彼女に献身しようとする房恵のケナゲな「犬生」と、彼女を見守る朱尾の
めいたキャラ
が立っていて全く飽きさせない。読みながら朱尾の正体が気になって
仕方がなかったのだが、ラストには大満足『犬身』というタイトルは犬に「変身」
するという意味であり、犬が飼い主に「献身」的に尽くす、という意味でもあるのだ
ろう。

 これは是非、映画化か舞台化して欲しいな・・と思ってしまった。いつもの癖で
勝手にキャスティングしてしまったので、おまけにしておきます。

★おまけ:勝手にキャスティング★

 房恵 : 永作博美
 朱尾献: 豊川悦司
 久喜 : カンニング竹山
 玉石梓: 伊藤歩
 玉石彬: 岸谷吾朗


『犬身』松浦理英子・著/朝日新聞社・2007)

テーマ:オススメ本 - ジャンル:小説・文学

【2007/12/05 09:22】 | 読書 | トラックバック(0) | コメント(2)
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コメント
未読ですがこちらにも。
私も書評読みましたよ。
興味あるわ〜〜
寡作な作家さんなんですってね・・。
キャスティングが気になって・・
トヨエツ好きだし・・・・笑
予約してみますね
【2007/12/10 10:56】 URL | みみこ #-[ 編集]
みみこさま、こちらにもコメントありがとうございます。
これね〜、とっても面白いですよ!
なんか、めくるページが止められない、って感じです。
評論家の方々の評価も高いようですね。
是非読んでみて下さいませ♪
みみこさまの感想も楽しみにしております〜、ではでは。
【2007/12/10 15:59】 URL | 真紅 #V5.g6cOI[ 編集]
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