阪急沿線のひと~『宙飛ぶ教室』
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 名著『結婚の条件』の著者、小倉千加子氏による最新刊。タイトルからして講義録
のような内容を期待していたのだけれど、身辺雑記のようで決して学術的な内容
ではない。しかし時折、キラリと光る考察の欠片も垣間見られる。

 小倉千加子といえば誰もが認めるであろう、日本を代表するフェミニストの論客
の一人。『結婚の条件』は2004年に私が読んだ本の中で、最も印象に残る一冊だった。
少子晩婚化を憂う政治家の方々全員に、この本を読んでいただきたいと思ったほど。
同じ年に、女性を「負け犬・勝ち犬」とカテゴライズする分かり易さが大ブームとなっ
た酒井順子氏の『負け犬の遠吠え』が出て、その影に隠れてあまり注目されなかったの
が個人的にとても残念だった。未読の方は是非読んでみて下さい。

 日本を代表する知性のような小倉先生でも、自分のしている仕事が「虚業」であり、
「実業」ではないことに劣等感を抱いているようで心底驚いた。そして実家が経営し
ている保育園の事務をやったりするのだ(これは「働く母と保育園児」に対するフィー
ルドワーク
なのかもしれないけど)。
 
 大阪が好きで、阪神タイガースも阪神間という場所が持つ独特な空気と文化も
愛しているけれど、やっぱり東京に出なければ・・と思う気持ちはよくわかる。
もっとも小倉先生の場合「阪急沿線の人」であり、関西圏以外の人がイメージするで
あろう「コテコテの大阪人」とは少し異なるのだけれど。

 私にとっては「関西アーバン銀行の人」だった元宝塚宙組トップスター、和央ようか
への入れ込み方も半端ではない。宝塚を全く知らない、興味のない人にとっては
まさしく「あなたの知らない世界」であろう。(ちなみに私は一度だけ観たことありま
す、宝塚。涼風真世のサヨナラ公演だった。天海祐希が抜きん出て目を引いたのを
よく憶えている)

 もう一冊『シュレーディンガーの猫-パラドックスを生きる』。こちらは様々な
媒体への寄稿文をまとめたエッセイ集山本文緒氏との対談など、盛り沢山でこち
らも楽しめました。

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 『シュレーディンガーの猫-パラドックスを生きる』
  /小倉千加子・著
  /いそっぷ社・2005



『宙飛ぶ教室』小倉千加子・著/朝日新聞社・2007)
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[2007/11/06 17:11] | 読書 | トラックバック(1) | コメント(2) |
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コメント
真紅さん★こんにちは。
毎回真紅さんの名文を感銘うけながら拝見しておりますが、今回は特に「わが意を得たり!」と膝を打ってしまいました。おっしゃるとおり、小倉千加子先生の「結婚の条件」は名著です。背筋が凍るほどの名著です(笑)。私も読んだ後に、政治家のおっさん達にぜひとも読んできただきたいと強く願ったものでした。
もう一冊に収録されているという山本文緒さんとの対談とは、平成15年12月に週刊朝日に掲載されたものでしょうか?それなら当時の対談記事、切り取ってファイル保存しています(汗)。こちらも現代人の結婚観にするどく切り込んでいて何度もうなってしまう対談でした。
酒井順子さんの本は「負け犬の遠吠え」よりも、この本をきっかけに著者が各界の著名人と対談した「先達のご意見~負け犬他流試合」という本の方が面白かったです。この中で林真理子さんが「負け犬は寛容さに欠けている。寛容さは結婚の必須条件よ」と言っているのですが、耳が痛い言葉でした(苦笑)。
もうすぐ立冬。木枯らしの季節ですがお体大切に!☆おじゃましました~。
[2007/11/06 22:18] URL | メグ #OSjUVFqk [ 編集 ]
メグさま、こんにちは~。コメントありがとうございます。
いつも読んでいただいているのですか、ありがとうございます。
『結婚の条件』、背筋凍りますよね(笑)。
今、文庫になっているので本当に多くの方に読んでいただきたいです。
いっそ、高校生の課題図書にするとかね(笑)。
山本文緒さんとの対談は、週刊朝日でなく、小説新潮と小説トリッパーに掲載されたもののようです。
テーマは朝日の対談と同じだと思いますよ。
酒井順子さんの本については『先達のご意見』の方が面白かった、というのは私も同意です。
ハヤシさんは、究極の勝ち犬ですからね~。『シュレーディンガーの猫』の中にも、「林真理子論」が掲載されており、とても興味深く読みました。
またメグさんにコメントいただけるような記事、書けるといいのですが。
メグさんもご自愛下さい、ではでは!
[2007/11/07 08:47] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
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『結婚の条件』-オモロい女はどう生きるべきか
Why can't we admit marriage sucks?日本に里帰りしたときは、必ず御茶ノ水の三省堂と新宿の紀伊国屋に行って、平台に置いてある本をざざーと見て、良さそうなものはタイトルだけでどんどん買っちゃうんですけど、この『結
[2007/11/06 20:45] 姫のお楽しみ袋 
真紅のthinkingdays


いつまでも青臭い映画好きでいたい。愛おしい映画と、忘れがたき本たち。ときどきカフェとか。 記事は基本的にネタバレあり。 どうぞご贔屓に♪

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