愛と追憶のひと~『ふたりの「雅子」』
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 先日、故夏目雅子さんの生涯を辿ったドラマが放映され、偶然後半だけ観ること
ができた。改めて「夏目雅子」という女優の偉大さ、素晴らしさに感じるところがあり、
彼女のお母さまが書かれたというドラマの原作を読んでみた。

 夏目雅子さんのルーツや生まれてからのこと、芸能界入りしたいきさつや伊集院
静氏との恋、最後の闘病
までが綴られている。タレント本が好きなミーハーな私が
今までこの本を読まなかったのは、伊集院静氏の書いた亡き妻がモデルと思われる
小説を読んでいたから。結構、衝撃的な内容だった。その短編小説『乳房』についても、
本書で改めて説明されている。以下引用します。

「一瞬の恋、一夜の恋が、すべて、ふしだらという言葉で決めつけられるものでは
 ないと思う。一夜の恋ゆえに、人は生きる力をとり戻すことだってあると思う。
 その一途さが妊娠につながったとしても、私は責める気にはなれない。そのとき、
 いちばんの理解者は、母親でなくてはならない」



「夏目雅子」という女優である、「小達雅子」という娘を持った母。芸能界入りや結婚
にどんなに強く反対しても、その意志を貫き通した娘。激しい葛藤や深い愛情が、
母としてと言うよりも一人の女性として率直に描かれている。どんなに反発しても
決して切れることはないそのは、シャーリー・マクレーン×デボラ・ウィンガー
の名作『愛と追憶の日々』を思い起こさせるほど。そして偶然にも、あの映画を母娘で
観に行ったエピソードも語られている。

 私にとって夏目雅子という女優は、映画『時代屋の女房』『鬼龍院花子の生涯』
見せてくれた演技ももちろん印象的だけれど、結婚発表の時の幸せそうな笑顔や、
インタビューに照れながら応える「普通のお嬢さん」的な印象が強い。女優である前に
まず、「人間として」真っ当だった一人の女性。27年という短すぎる生涯を閉じてか
ら、20年以上の歳月が流れた。時の流れの速さを思う。それでも、記憶の中の
彼女の写真は、いつまでも色褪せないのかもしれない。

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『ふたりの「雅子」』小達スエ・著/講談社・1997)
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[2007/09/26 15:05] | 読書 | トラックバック(1) | コメント(10) |
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コメント
真紅さん★こんにちは。
真紅さんが“我が愛する夏目雅子”を取り上げてくださったのでは、コメントさしあげないわけにはいかなくて。ありがとうございます。ご紹介の2冊はもちろん持っています。その他にも彼女に関するものはたくさん・・・。
鬼龍院を撮った五社監督が「大輪の花が咲ききって、いちばんいいときに散っていたとでも思わなければやりきれない」と彼女の早すぎる死を嘆いたのが思い出されます。彼女の「育ての親」といわれた演出家の和田勉さんが語っていた夏目雅子論がとても好きです。
「女優というのは無神経でなければやれない。だが彼女は違った。女優に必要なずぶとさとは関係ないところで絶えず張りつめ息を抜かずに生きてきた。アマチュアの頑張りでプロを超えたのだ。」「ぼくにとって夏目雅子は、嫉妬と猜疑心にみちあふれた美しい“少年”だった」
彼女の死はいまでも悲しい、でも50歳になった彼女の顔は・・・やはりとても想像できない。生きていても今の芸能界には彼女の居場所はなかったかもしれないし。9月11日が命日だったんですよね。22年前の東京は涙雨のお天気でした。
おじゃましました。
[2007/09/26 15:52] URL | メグ #OSjUVFqk [ 編集 ]
メグさま、こんにちは。コメントありがとうございます。
夏目雅子さんお好きなのですね。ドラマはご覧になりましたか。
ドラマでは、三田佳子さんがお母さま役だったのですが、物凄い「ママ」でした。
娘の女優活動に強固に反対していて、「どうしてあそこまで反対するのだろう?」と思って原作に興味を持ったんです。
「アマチュアの頑張りでプロを超えた」という言葉が印象的ですね。
ドラマで、「お嬢さん芸で頑張ります」って言う雅子さんのセリフがあったんです。
ご本人も、それは自覚されていたのでしょうね。
それからこれは前々から(不思議に)思っていたのですが、伊集院静さんって本当に魅力的な方のようですね・・・。
雅子さんが好きで好きで仕方なくて、惚れ抜いて結婚した様子がよくわかりました。
本当に、稀有な美しさ、天真爛漫な輝きを持ったひとでしたね。
それは彼女の心の清らかさだったのだと、本を読んでわかりました。
ご冥福をお祈りします。
ではでは。。
[2007/09/26 19:39] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
真紅さん、ご丁寧な返信ありがとうございます。
夏目雅子は新人時代、演技のできない、典型的な人気先行型女優で、しかも出が「ええとこのお嬢さん」なものだから、先輩共演者たちから「お嬢さん芸のくせに」と随分イジメを受けたそうです。鬼龍院の演技でブルーリボン賞を獲ったとき「これからもお嬢さん芸でがんばりますっ!」と満面の笑顔でスピーチしたのは、彼女らしい皮肉というか意地の表れだったようです。伊集院氏への一途な愛は当時はかなり有名で、後に篠田正浩監督は「まるで彼を伴って地獄の底まで連れて行ってしまうようだった」と回顧していました。新婚時代、お友達にご主人を紹介するとき「雅子のイーさんは無愛想な人だけれど気にしないでね」と言っていたそうで、伊集院氏は男冥利につきたことでしょう。ドラマは私も後半部分だけ見ました。新婚時代の鎌倉での記者会見の場面は、当時のVTRを仲間由紀恵さんが髪型から服装から総てそのまま再現していて、あのときの雅子さんを覚えている者としては感慨深いものがありました。
ずうずうしくもつい、追加コメントしてしまいました。すみません。ありがとうございました★
[2007/09/26 21:42] URL | メグ #OSjUVFqk [ 編集 ]
メグさま、追加コメントありがとうございます。
あの言葉の背景にはそんなことがあったのですね・・。
無愛想、そうなんです。伊集院さんってエッセイなどではいつも賭け事で素寒貧になってるイメージだし、小説なども明るい印象はないですよね。
でも、女性にはすごくモテる方だという・・。う~ん、お会いしてみたいものです(笑)
最近も書かれているのでしょうか?
仲間さんの演技は、ちょっと「ママ、ママぁ~」っていうのが強調され過ぎていたような気がしました。
夏目雅子さん本人の映像で、のドキュメンタリーのような番組が観たい~と思ってしまいました。
こちらこそありがとうございました。ではでは。
[2007/09/27 08:46] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
夏目雅子
大好きな女優です。こんな女優は詣でないでしょうね。ドラマは能登半島に言ってる時旅館のテレビでやってましたね。見ませんでした。彼女は彼女オンリーだから。やはりイメージあるし…いまでも好きです。着物が良く似合う女性でしたね、伊集院さんと結婚したときなんかは本当に嬉しそうでした。<「隠された記憶」UPしたんですけど、今、会社。我が家のネット接続が出来ないのでTB出来まず、会社もあまり時間なくって…>
[2007/09/27 09:45] URL | シュエット #- [ 編集 ]
シュエットさま、こんにちは。コメントありがとうございます!
私も自宅にいたら観なかったと思うのですが、この日はビジネスホテルの部屋で一人だったんです(味気な~い)。
仲間さんも綺麗ですが、やっぱり夏目さんは唯一無二ですね。

ご自宅のネットが調子悪いのですか? それは大変!
『隠された記憶』、是非コメントさせて下さいね。
ではでは、後ほどお伺いします~。
[2007/09/27 11:19] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
「時代屋の女房」にTB&コメントありがとうございました。

夏目さんはこの年(1983年)4本もの劇場用映画に出演なさっているんですね。
印象に残っているのは吉村昭原作、長回しの鬼!(笑)と言われた相米慎二監督の「魚影の群れ」。
真紅さん、ご覧になりましたかしら?

↑でシュエットさんもおっしゃっていますが、ほんとうに、もう出てこない貴重な女優さんでしたね。

余談になりますが大好きだった太地喜和子さんが急死されたときも私、かなりショックでした。(--)
[2007/09/27 20:30] URL | viva jiji #kzLu3bv6 [ 編集 ]
vivi jijiさま、こんにちは~。コメントありがとうございます!
PC不調の中、来て頂いて感謝です♪

さて。『魚影の群れ』は未見だと思います。相米監督も亡くなりましたね。
太地喜和子さんは事故死でしたよね。
母がファンで、相当ショックを受けていました。
彼女も恋多き(深き?)女優さんだったのですよね、歌舞伎役者さんとの恋愛とか、母から聞いてビックリした記憶があります。
巧い演技をされる俳優さんはたくさんいらっしゃいますが、記憶に残る存在というのはそういないですよね・・・。
ではでは、またお伺いします~。
[2007/09/28 09:14] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
こんにちは。
コメント、TBありがとうございました。
このドラマ、原作はお母様の書かれた「ふたりの雅子」だったんですね。
読んだのがかなり以前だったので、すっかり忘れてたりもしますが、
今回、ドラマ化されたことで思い出したこともいくつかありました。
夏目さんが主演してる映画、「二百三高地」も綺麗ですが、
「瀬戸内少年野球団」を久しぶりに見てみたくなりました。
[2007/10/12 16:58] URL | 藍色 #- [ 編集 ]
藍色さま、こんにちは。こちらこそコメントとTBをありがとうございます。
夏目雅子さんの出演作は、『時代屋の女房』と『鬼龍院』しか観ていないと思います。
『瀬戸内~』は阿久悠さんの原作でしたね、阿久さんも亡くなられましたね・・・。
本当に稀有な魅力を持った女優さんだったと思います。
藍色さまが紹介されていた『優日雅』も、探して読んでみたいです。
ではでは、またお伺いします~。
[2007/10/12 19:56] URL | 真紅 #V5.g6cOI [ 編集 ]
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優日雅(ゆうにちが)夏目雅子ふたたび 森英介
小達スエ (編集) 。実業之日本社。御命日も、ドラマ放送も過ぎて数日。忙しさからすっかりタイミングを逸してしまいました。今さらですが、準備してたので…。オールカラー。1957年12月17日誕生。1976年
[2007/10/12 15:52] 粋な提案
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