寄り添って生きる~『花の回廊-流転の海・第五部』

宮本輝による、自らの父をモデルにした大河小説の第五部。第一部『流転の海』が
出版されたのが1984年であるから、20年以上に渡って書き継がれている物語。
富山から大阪に戻った松坂一家(松坂熊吾、妻房江、二人の一人息子伸仁)が、
喧騒の時代を様々な人々との関わりの中で生き抜いてゆく様を描く。久々に
宮本輝の新作を読んだ。
舞台は大阪と尼崎、時代は昭和32年から33年、『ALWAYS 三丁目の夕日』で
描かれた、戦後から高度成長期へと日本が沸き立っていた頃。宮本輝の小説か
ら受ける独特の説教臭さは今作ではかなり薄められており、人間ドラマは相変
わらず秀逸。松坂熊吾という主人公の、なんとも言えない不思議な魅力も健在。
今回、咲子というファム・ファタール的少女の出現で、今後の展開に意味あり
げなラストだったのが印象的。どうする、熊吾?
第一部から読み続けている読者(私)からすれば、この小説は一体、あと何部、
あと何年で完結するのか? 早く結末が知りたいところではある。しかしまぁ、
取り敢えずは第六部を楽しみに待つことにしよう。宮本先生、お身体に気をつ
けて、なるべく早く書き上げて下さいませ!
(『花の回廊-流転の海・第五部』宮本輝・著/新潮社・2007)
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trackback
宮本輝のワイフワーク「流転の海シリーズ」ついに第五部が出た。シリーズものと言えば、いまだ未読の三島由紀夫の「豊饒の海四部作」や読んだ記憶があるところではディック・フランシスの競馬もの(連作とは限らないが)、ブライアン・フリーマントルのチャーリー・マフィン
2007-09-23 00:42 :
ふるちんの「頭の中は魑魅魍魎」
コメントの投稿
>咲子というファム・ファタール的少女の出現
おお。そう来ましたか。
たしかにー(笑)
彼女があのまんま消えていくわけないですよね。
宮本輝にはぜひ150歳ぐらいまで生きてもらって、第32部くらいまで書いてもらいたいものです。
あ、そんなに私が生きてるわけない・・・
おお。そう来ましたか。
たしかにー(笑)
彼女があのまんま消えていくわけないですよね。
宮本輝にはぜひ150歳ぐらいまで生きてもらって、第32部くらいまで書いてもらいたいものです。
あ、そんなに私が生きてるわけない・・・
ふるさま、こんにちは~。コメント&TBありがとうございます!
お久しぶりです。本のレビューもたくさん書かれているのですね。
咲子は、熊吾の今後を狂わせるに違いないキャラだと見ました(笑)
あと3部くらいで完結する、という記事も読んだのですが、何れにしろ楽しみですね。
ではでは、またお伺いします。『カラ兄』読了したら必ず伺いますね、必ず。。←早く読め
お久しぶりです。本のレビューもたくさん書かれているのですね。
咲子は、熊吾の今後を狂わせるに違いないキャラだと見ました(笑)
あと3部くらいで完結する、という記事も読んだのですが、何れにしろ楽しみですね。
ではでは、またお伺いします。『カラ兄』読了したら必ず伺いますね、必ず。。←早く読め