![]() GEGEN DIE WAND 何かを得ようとしたり、何かから逃げようとしたり−−例えばグリーンカード だとか、家族だとかお見合いだとか。互いの思惑が一致して偽装結婚した男女が いつの間にか恋に落ちる、そういうプロットは何度も映画化されているし、特に 目新しさも無い。本作もまさしくそういった「嘘から出た真」を描いているには違い ないのだけれど、この作品には既視感や陳腐さの欠片もない。そこにあるのは圧倒 的な「愛よりも強い」何か。舞台はドイツ・ハンブルグとトルコ・イスタンブール。 運命的に出逢った男女の、魂が呼び合うような深い愛を描いた本作は、2004年、 ベルリン国際映画祭において金熊賞(最高賞)を受賞している。参りました。 「ものすごく」愛していた妻と死別し、酒とドラッグに溺れ、自暴自棄な生活を送る 中年男ジャイト(ビロル・ユーネル)。車で壁に激突し、自殺未遂を図ったとして収容 された病院で、彼は同じくトルコ系ドイツ人であるシベル(シベル・ケキリ)と出逢う。 「私と結婚して」 厳格なイスラム教徒である父と兄に干渉され、家庭から逃げ出すことだけを望 む彼女は「自由になりたいから」自殺未遂を繰り返していた。嫌々ながら結婚に同意 し、「ルームメイト」としてシベルと同居するジャイト。自由を謳歌する、23歳も 年下の美しい「妻」に、ジャイトはいつしか惹かれてゆく・・・。 ![]() 「やめて。私たち、本当の夫婦になってしまう」 ジャイトを演じたビロル・ユーネルは、髭もじゃ、髪はボサボサの伸び放題、 部屋の中はゴミ溜めという「汚い中年男」に他ならないのだけれど、映画冒頭に彼が 登場してすぐ、どこか目を離せない、放ってはおけない魅力を感じる。物語の後半、 憑き物が落ちたかのようにすっきりした表情の中に彼の漆黒の瞳を見つけたとき、 その魅力の源を見つけた気がした。シベルを演じたシベル・ケキリも、なんとも 言えない独特の美しさを放つ、ファム・ファタールな魅力全開の女優。全てを投 げ出した演技が素晴らしい。 愛が始まったと悟ったその刹那、その激しさゆえに人生を暗転させてしまうジャ イト。酒浸りでドラッグに溺れ、誇れるものなど何もない人生に、ただ愛だけが 魂を再生させるのだと理解したジャイト。何もかも失くし、祖国ではあっても見 知らぬ国でもある場所で、髪を切り女を捨て、ジャイトを待とうとするシベル。 しかし彼女は、待つにはあまりに若過ぎた。 ![]() 「理性を失わないでね」「もう失っているわ」 彼らを見守り、助ける周囲の温かさにはトム・テクヴァの『ヘヴン』と通じるもの を感じる。時を経てドラッグも酒も断ち、ミネラルウォーターを抱え下着を着け て眠るジャイトの瞳には、シベルを待つこと、愛することに一点の翳りも疑いも ない。最後にシベルが選んだ道は一見、愛を遠ざけるように映る。けれど、彼ら の愛は永遠に終わらないと、彼らの絆は愛より強いと信じたい。彼らの魂は必ず 呼び合い、再び愛し合う日がやってくると信じたいのだ。 起承転結のように挿入される、トルコ音楽も印象的。愛より強い激情、愛より 強い血潮、愛より強い結びつきを描いた魂の再生の物語。虜になります。 (『愛より強く』監督・脚本:ファティ・アキン/2004・独、トルコ/ 主演:ビロル・ユーネル、シベル・ケキリ) ![]() |
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本作は劇場鑑賞して、私も虜になりましたね。ドイツでトルコ移民が急増しているって問題も知りました。監督がトルコ系ドイツ人だからこのテイストが独特。劇場では監督の前作「太陽に恋して」も上映していて、これも良かったですよ。未見だったら見てください。「ラン・ローラ・ラン」のローラの恋人役モーリッツ・ブライトロンが主役。本作主役のビロル良かった!。監督の音楽ドキュメンタリートルコ・イスタンブールのオ音楽発掘のロード・ムービーも観たかったけどレイトだったので断念。まだ再見してみよう。
【2007/09/12 16:17】
URL | シュエット #-[ 編集]
シュエットさま、こんにちは。コメントありがとうございます。
劇場鑑賞されたのですね!DVDで観ても素晴らしい作品でした。 ビロル、本当に素敵でしたね・・。蟹股(失礼!)で、立ち姿が独特なのですよね。 目がね、瞳がいいんですよね〜♪ ドイツのトルコ移民のことは失業率の問題でネオ○チの標的にされている、というニュースで知っていましたが、映画では初めての題材だったように思います。 もちろん政治的な話では全くないのですが、ドラッグの問題含めて暗に提示されていますね。 『太陽に恋して』も絶賛されているブロガーさんおられました。 つい先日、7日にDVDが出たようなので、レンタルで探してみますね。 ではでは、またお伺いします〜。 真紅さん、めるはば。
トリコになりますよね。トルコー。 昔、Soaplandをトルコと呼んでいたなんて失礼しちゃうわ。 ファティ・アキンの才能には大注目です。 ビロル・ユーネルにも思いきりハマりました。 歩き方が結構好きです。そして、目がいいですよね。 こういう作品に出逢うために、私は映画を貪っているのよってなことを実感する1作でした。 かえるさま、めるはばですー。コメント&TB、感謝です♪
ビロル・ユーネルはあの脚がね、独特ですよね。トルコの方々って黒い瞳なんですね〜。 トルコって全く馴染みのない、もちろん訪れたこともない国なんですが、ファティ・アキンは大注目ですね。 映画っていろんな国に旅できるからいいですよね。 この作品は予告だけ観ていたのですが、何気に借りてみて大当たり!な一作でした。 ホント、こういう映画に出逢うと冥利に尽きますね。 またお話に伺います。ではでは〜。 真紅さん、こちらにも。
この作品、すっごく痛々しい愛が身に沁みる一作でしたよね! 私もとても気に入りました。 まだ記事を書いていないんですが、真紅さんに是非見てほしい作品がありまして・・・ 『トランシルヴァニア』なんです!これ、最高!最高の一作でした! 真紅さんは、どちらにお住まいなんでしょうか? まだやってないでしょうか? 『トランシルヴァニア』は、どことなく『愛より強く』を思い出させる作品なんですが、自分は、今年一番衝撃を受けた作品がこれだったのです。 真紅さんにもわかってもらえそうな(かえるさんは当然分かってくれそうです)作品なので、ついつい話しに来てしまいました。 余計なお世話じゃ!と思ったら、すいません。 とらねこさま、こちらにもコメント&TBありがとうございます。
この映画大好きです。めっちゃ、沁みました・・・・・。 『トランシルヴァニア』ですか!そういえばかえるさまが大プッシュしてらしたような気も・・・? ええ〜〜、そんなにいいんですか!み、観たい〜〜〜〜。 とらねこさまが「最高」とおっしゃるなんて、か〜な〜りの作品ですね。 ちなみに私は大阪に住んでいます。関西圏でも上映あるのでしょうか? ちょっと調べてみますね。余計なお世話なんてとんでもないですー、貴重な情報、ありがとうございました♪ ではでは、後ほどお伺いしますね! 真紅さま、こんばんは♪
すっかりすっかりご無沙汰しております。 以前コメントをいただいておりましたのに、余裕がないのと1ヶ月以上映画ともネットとも無縁の生活を強いられていたせいで(いい訳しとる〜)こんなにお邪魔するのが遅くなってしまいました。申し訳ありません。 >魂の再生の物語。虜になります。 ほんまですよねえ。こういう映画好きですわ〜。 真紅さま、どしどし観ておられますね。映画。 Heath観に行こうと思ったら、既に終わっていてショックを受けた武田でした。 武田さま、こんにちは!お久しぶりですね〜。憶えていて下さったのですね、コメントありがとうございます。
旧宅のほうにもこっそりお邪魔したりしていたのですが、もう落ち着かれましたか。 また年末に向けて慌しい日々ですけれども、ブログのほうはマイペースで続けて下さいませ。 さて。この映画、物凄く好きでした・・。こういう映画を観ると「魂」っていう言葉を使わずにはいられません。 心より、もっと深くにあるものに響いてくるような気がします。 『キャンディ』は残念でしたね。それにしても扱いがね、一週間上映の後はレイトのみ、二週間で終了とは。。 私も一日しか観られる日がなかったので、もうギリギリ駆け付けました。 とってもいい映画でしたので、DVD未見購入されてもいいと思いますよ。 ではでは、またお伺いしますね〜。 ![]() |
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| 真紅のthinkingdays |
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