![]() LITTLE CHILDREN 小さな駅に「ダンキンドーナツ」のロゴが見えるボストン郊外。静観な住宅街に夫と 三歳の娘と暮らす主婦サラ(ケイト・ウィンスレット)。公園で井戸端会議に明け暮れ る主婦仲間に馴染めず苦しんでいた彼女は、息子と公園に現れた司法試験浪人中の 主夫ブラッド(パトリック・ウィルソン)と恋に堕ちる。 同じくニュー・イングランド地方を舞台に、一人息子を亡くした夫婦の葛藤を描 いた『イン・ザ・ベッドルーム』で監督デビューし、絶賛を浴びた俳優出身のトッド・ フィールド監督の長編第二作。「リトル・チルドレン」=大人になりきれない大人たち が、もがき傷つきながらも一歩前に進もうとする様をリアルに描く。本作もオスカ ーノミネートはじめ、数々の映画賞で高く評価された。 言わずもがなのケイト・ウィンスレット、『ハード・キャンディ』のパトリック・ウィ ルソン、そして『オール・ザ・キングスメン』のシュガーボーイ役で異彩を放ち、強烈な 印象を残したジャッキー・アール・ヘイリー共演ということで、とても楽しみにして いた本作。今月21日で営業を終了するOS名画座にて鑑賞。 ![]() 鑑賞前は、ケイト扮する主婦サラに感情移入しまくるのではないかと思っていた。 確かに、公園で噂話に花を咲かせる主婦仲間に入り込めないサラの姿は痛ましく 共感できたけれど、ブラッドに惹かれ、情事に堕ちてしまう彼女には距離を置いて 観てしまった。ブラッドがあまりにも情けない男に見えてしまったから。私だった ら、年に一度の司法試験をサボって私とお泊りするような男、「絶対に」イヤだなぁ。 本作に登場するのは、皆不完全な大人たち。皆、どこか不安定で、「ここではない どこか」を夢見ているように見える。しかし、そもそも「完全な」人間なんているの だろうか?キャリアを築いて家族を養い、「完璧な」美貌を持つブラッドの妻キャシー (ジェニファー・コネリー)。彼女もまたその「完璧さ」で夫を傷つけ遠ざけているし、 夫婦の問題に「実家の母」を介入させるように、彼女もまた大人になりきれない「リトル ・チルドレン」なのだ。 ![]() サラが「ボヴァリー夫人」になぞらえて、自分を語る場面がいい。ボヴァリー夫人が したことを「淫乱」だと言う主婦仲間に対し、「別の人生への渇望」だと肯定するサラ。 それはただの言い換えではなく、心の底からの真摯な言葉に聞こえた。サラとブラッ ドとの関係を肯定するつもりはないけれど、「ひと夏の経験」でサラはそれまでの人生 では得られなかった柔軟な物事の捉え方を獲得したように見えて、あの場面の彼女 はとてもやわらかくて、やさしく魅力的な女性に映る。 そしてこの作品のもう一つの軸は、幼児への性犯罪で服役していたロニー(ジャッキ ー・アール・ヘイリー)と、元警察官でロニーを糾弾するラリー(ノア・エメリッヒ)。 ロニーを攻撃することで自分を保とうとし、傍から見れば滑稽なのにそのことに気 付けない、暴走するラリーが恐ろしかった。悪魔のように忌み嫌われる息子を愛し、 命がけで守ろうとするロニーの母の愛。彼女を過保護だと非難することもできるだ ろう、でも私は彼女を否定したくないし、彼女の絶筆に涙した。「ママだけが僕を愛し てくれたのに」と言うロニーの言葉でサラが自らの過ちに気付き、娘を抱き締めて謝罪 するシーンに、心から安堵。。 ボイスオーバーのある映画は『アダプテーション』のセリフ「ボイスオーバーはバカ のすることだ!」を思い出して引いてしまうことが多いのだけれど、本作は割と聴き 易かったように思う。登場人物誰の声でもなかったから、ナレーションに余計な感情 が入り込まなかったからだろうか? ちなみにナレーターはウィル・ライマンが務め ている(ノンクレジット)。 完璧な人生、完全な大人などどこにもいない。みんな迷いながら、傷つきながら、 手探りで自分の人生を探している。目の前にある愛しいものや、誰かの痛みに気付く ことができたのなら、それが成長の証なのかもしれない。 (『リトル・チルドレン』監督・製作・脚本:トッド・フィールド/ 主演:ケイト・ウィンスレット、パトリック・ウィルソン/2006・USA) ![]() |
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真紅さんも見られたんですね。TB有難うございました。こちらからもTBさせていただきますね。この作品って、誰がどうこうっていうより、誰かの何処かに触れあう部分ってあると思うわ。みんな、いい年になっても、何かを探して、大人になっていく。これって見た時の年齢によってまた見方が違ってくると思う。5年後、10年後…自分自身と抱えている問題とかによって。それもまた面白い。
真紅さん、続き)記事upしてから気がついたんだけど。ブラッドね、夜に勉強しに図書館に通う図なんて、なんだかね、お母さんにお知り叩かれてしぶしぶ塾に行かされる子供みたいと思わない?(笑)つくづく思うけど、「今」って見えないんだよね。ともかくこれがベストと思うけど…。私は素敵って思えるものをなるだけ見て、生きたいと思う。素敵って思う気持ち、眼だけはずっともっておきたいなって思う。娘にも「素敵」っていう感覚は大事にしていって欲しいなって思うわ。では、またね。
「ヴェラ・ドレイク」ね劇場鑑賞時の感想はなぎささんと同じなんで私も驚いたわ!なぎささんとこもお邪魔しました。ただ2回目ではまた視点が違いましたけどね(いい加減な私)。こんなおしゃべりしていると私も「ヴェラ・ドレイク」どっかで感想書きたくなったわ。真紅さん、とてもいい視点してられる。 真紅さま〜こんにちは!
この映画、私は好きっていうのとは違うんだけど、凄く語りたくなっちゃう(見た人と、あーだこーだと)映画なんです。 そうかー、真紅さまは、ブラッドダメでしたか。試験をサボってお泊まりしちゃうのもイヤなのですね^^ 私はね、ブラッドが、スケボー少年達をぼんやり見てたり・・とかっていう、なんとなく淋しそうな姿は、友達になれるかも・・なんて思っちゃいました。 ブラッドとサラの関係ですが、サラが、凄く積極的にブラッドに近づいてったって風に私には見えました。 最初の公園のキスはさておき、水着を注文して、毎日の様にプールに行き、彼らの側にシート引いて・・って、すごい@@ 積極的だー!なんて思っちゃいました(私ってば、積極性に、はなはだしく欠ける人なので) ロニーと、お母さんとの部分は、ぐっと来ました・・・。今も、そこを思い出すと切なく辛い気持ちです。 シュエットさま、こんにちは〜。コメント&TBありがとうございます。
そうなんですよね。登場人物皆がどこか「私の隣にいる誰か」のようで、とてもリアルに感じられました。 人間、いくつになっても初めての経験や、新しい物の捉え方はできるはずですよね。 だから、人間はすべからく「大人になりきれない大人」なのかもしれません。 ブラッドは、携帯は買ってもらえないし、雑誌の講読はチェックが入るし、ホント、息子状態でしたね(笑) 私も、いろんな芸術に触れて、いろんなことを考えながら生きていきたいです。 人生これから・・・って思ってますよ♪ 『ヴェラ・ドレイク』の視点の違いも、シュエットさまの成長の証(?!)なのではないでしょうか?! 再見されたら是非、感想をお聞きしたいです。 いえいえ、いい視点などとんでもございません〜。今後ともよろしくお願いします。 ではでは〜。 latifaさま、こんにちは〜。コメント&TBありがとうございます。
はいはい、語って下さいませ〜♪ 私でよければお相手いたしますよん。 実はですね。。記事中には書かなかったのですが、私の友人がキャシーの立場だったのですよ。 ダンナさんが30を過ぎてから司法試験にチェレンジ!されて、何年か浪人の末合格されたんです。 お子さんも二人いましたし、友人は、精神的にも不安だったと思います。 そういう友人の苦労を知っているだけに、な〜んかブラッドは許せなかったんですよ! サラはね、夫のああいう場面を見てしまったから、腹いせ・・みたいな気分も少しはあったのかな?と思います。 私としては、サラにはブラッドでなく夫にぶつかって欲しかったな〜。。 夫の存在感が無さ過ぎでしたね。存在意義だけ、「稼ぎはまぁまぁよ」ってセリフ、ありましたね。 ロニー母には批判的意見が多いみたいなので、latifaさまが切なくなって下さってうれしいです。 私もね、泣きました・・。 ではでは、またお話しましょうね〜。 真紅さん、こんばんは。
ダメ人間なわたし的にはブラッドの現実逃避は結構共感できるものでしたー。 見た目もかっこよかったので、お相手としても申し分なしです♪あばんちゅーるですからね、しょせん。 個人的には既視感があったもののリアルな感情がたくさんあって面白かったですー 真紅さん、こんばんは。
TBコメントありがとうございました。 真紅さんはいつも丁寧にTBコメントをくださるのに、前回、前々回、と、コメントを書くことが出来ずに、申し訳なかったです。今回は拒否されないといいのですが・・・ そうですね、この物語、すっごく語りたくなる話でしたよね! 私も、実をいうと、この作品中、誰にも感情移入が出来ませんでした。サラに対しても、決して共感を得られなかったですね。 ジャッキー・アール・ヘイリーの母親は、強くて事情深い人で、さすがに可哀想になりました。胸外痛みましたね。ですがやはり、中年の男に向かって、「いい子(good boy)になるのよ」なんて言うのもちょっと・・・ 本当、誰しも完璧ではなかったですね。 しかし、自分を振り返ってみると、どうなのか・・・正直、他の人生に憧れるのは、誰しもすることですよね。 かえるさま、こんにちは。コメント&TBありがとうございます。
いえいえ、ダメ人間なんてとんでもないですー。 私もね、ダメダメなんですけど「生真面目」ってやつでしょうか。 あと、ブラッドの見た目、私あんまり好きじゃなかったんですよ! 『ハードキャンディ』ではいいな〜と思ったんですけどね? パトさん。。 リアルな感情、その通りですね。 ではでは、またですー。 とらねこさま、こんにちは。コメント&TBをありがとうございます。
コメント反映されてよかったです〜。。ほんと、ごめんなさいね。。 (管理画面のリニューアルがあったので、そのバグだったのかも?しれません) そうなんですよ!もう、ケイトに感情移入しまくりの心の旅ができそう・・という鑑賞前の目論見は見事に大外れでした。 ロニー母のような方は、結構いるかもしれませんね。いい年した息子を、いつまでも子ども扱いする、という。。 でも、息子を命に代えてまで愛するってやっぱり凄いことだと思います。 私も人を羨みがちな性格なんですよ。今目の前にある大切なものや進むべき道を外さないように、大切に生きていきたいですね。 ではでは、またお伺いします〜。 TB&コメントありがとうございました。
映画というのはすべからく「人間の業」を、手を変え品を変え私たちに観せてくれる、なんという素晴らしい2時間の手段なんでしょう! 他者は時にはわずらわしい面もあるけれど、他者と全く関わらずには暮らせない現実。 自己存在の証明、幸福感の確認にも、他者の関与は不可欠。 そしてその他者にいくばくかでも“優越している”という手ごたえが幸福感を倍増させるという皮肉な真実・・・。 さまざまな伏線がイッキに色濃く、時に切なく、終息するあのラスト・・・ いい映画を観た、と思います。 viva jijiさま、こんにちは〜。コメントありがとうございます。
「人間の業」を見せてくれた、そう思える映画に出逢えること、まさに至福のときですね。 サラはルーシーが他の子どもと遊ばない、とつぶやいていましたが、母親がツルまないから子もツルまないんですよね。 井戸端会議の奥様方と立場は同じでも、精神的には違ったところにいたかったのですよね。 人間、一人では生きていけません。でも一人の時間もないと生き難いです。 その辺りは共感できました。 ただ「情事」を描いただけではなく、人間とは、大人とは、人生とは・・、様々なことを考えさせられる映画でした。 ではでは、またお伺いします〜。 お邪魔します〜
思った以上に深い映画でしたよね。 単なる不倫映画じゃなかった・・・笑 そうそう、完璧な大人なんていないですものね。 登場人物の皆々と同じように私も 色んな経験をして日々成長していきたいわ。 不倫はダメだけど・・笑。 ロニーとラリーはいい関係が築けそうよね。 サラ・ブラッドそれぞれの夫婦はどうかしら。 あ・・ブラッドは好みじゃあなかったですよね。 確かに情けないものね〜〜〜 私は、お茶ぐらいは飲んでもいいかな・・。 そんな感じです・・・。 ではでは
[2007/09/05 14:57]
URL | みみこ #mQop/nM.
[ 編集 ]
みみこさま、こんにちは。コメント&TBありがとうございます。
ロニーとラリーの二人のエピソードがあったから、一筋縄ではいかないお話になりましたね。 彼らのこれからがとっても気になるところですね。 ブラッドはダメでした・・。残念! お茶だったら私も喜んで飲みますけどね(笑) 人間誰しも、いろんな秘密や悩みを抱えて生きてるんですよね。 私も日々悩みつつ、少しずつでも成長していかねば・・と思っています。 またお伺いしますね。ではでは〜。 真紅さん、こんにちわ
この映画は、ほんとに日本でもありえることだらけで、登場人物も謎めいて(秘密を抱えてて)、その辺が僕には、「アメリカン・ビューティー」とダブりました、音楽とか、前半の何かが起こりそうな感じも似てたような気がします、ケイト・ウィンスレットの出る映画は好きな作品ばかりなんですよ、今回も良かった、あとJ・アール・ヘイリーも良かったし、 真紅さんの記事を読んで「ヴォバリー夫人」の件でサラと主婦仲間(この人、あまりに理想を追いすぎですよね、こういう人こそ一番危ない感じ)の意見が違ったり、ロニーが、母親が死んでから、泣き叫んだりってのは、この映画の大事な部分なんだな〜って感じました。もう1度見てみたい作品です。
[2007/09/06 13:44]
URL | イニスJr #-
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イニスJrさま、こんにちは。コメントありがとうございます。
サム・メンデス(ケイトのダンナさまですね)の『アメリカン・ビューティ』と本作を比較してらっしゃるブロガーさんおられましたよ。 サバービアものですし、雰囲気似てたかもですね。ちょっと毒のあるコミカルさとか。 私もケイトは本当にいい女優さんだと思います。安心して観てられますよね〜。 サラの主婦仲間の女性、ああいうタイプの人は案外多いですね。 彼女も、まだ人生これから・・っていうところでしょうか。 ロニーが泣きながら人形を叩き潰すところ、痛ましかったですね・・。 ではでは、またお話しましょう! TBサンクスです〜!
本を読み終わったらまた書きたいと思ってます。
[2007/09/23 20:57]
URL | chuchu #-
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chuchuさま、こんにちは〜。コメント&TBありがとうございます。
原作レビュー、楽しみにしてますね♪ ではでは、またね〜。 真紅さま こんにちは
これは,なかなか引き込まれてしまう物語でした。 大人になりきれない子どもというか、人間ってみんなそんな部分があって サラやブラッドだけが,特に愚かな人間ではないような気もしながら,見ました。 心ここにあらず,といった母親を慕う幼い娘が哀れでしたが サラが立ち返れたので私も安堵しました。 人間って、心に傷があったり,弱かったりするものだなぁ,としみじみ。 自分もそんな人間の一員として, なぜか 登場人物たちがいとおしく思えたりして・・・。
[2008/01/11 14:41]
URL | なな #-
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ななさま、こんにちは。コメント&TBをありがとうございます。
とても考えさせられるドラマでしたね。 大人って、そもそも年齢で区切られることが多いですけれど、子どもっぽい大人ってたくさんいますよね。 幼い子たちはその大人に従うしかなく、大人たちの揺れは彼らをより大きく揺さぶります。 親になった時点で、本当は皆が大人になるべきなのでしょうね。 私もね、まだまだ子どもです。。。トホホホホ。 ではでは、後ほどお伺いしますね。 ![]() |
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| 真紅のthinkingdays |
いつまでも青臭い映画好きでいたいのです(名前は紅いんですが)。 観た映画と読んだ本の覚え書き。 記事は基本的にネタバレありです。 どうぞご贔屓に♪
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