人類の子どもたち~『トゥモロー・ワールド』

CHILDREN OF MEN
西暦2027年、世界は原因不明の不妊症により、子どもが生まれなくなって既に
18年が過ぎていた。世界各国が崩壊する中、鎖国政策を取る英国は厳格な不法入国
者の取り締まりにより、何とか秩序と治安を維持している。エネルギー省に勤務す
るセオ(クライヴ・オーウェン)は、かつて学生運動の同志だった元妻・ジュリアン
(ジュリアン・ムーア)をリーダーとする反政府組織からある依頼を受ける・・。
大好きな『天国の口、終わりの楽園。』の監督、アルフォンソ・キュアロンによる
近未来SFということで鑑賞。彼と、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、
ギレルモ・デル・トロとで「メキシコのスリー・アミーゴス」って言うのですね。
かなりシリアスで、ドキュメンタリータッチなサスペンス。これは大きなスクリ
ーンで観たかった!
とにかく、長回し(ワンカット)を多様した映像が迫力満点!緊迫感に溢れ、自分
もその場に居合わせたかのような臨場感。セオを演じたクライヴ・オーウェンは
ほぼ出ずっぱりで、さぞかし大変な撮影だったろうと思いました。私は彼の出演
作は初見なのですが、彼って・・彼ってジェイクに似てないですか??ジェイクの
15年後って感じがしたなぁ。(ファンの皆さん、怒らないでね)

現代日本でも少子化社会が問題とされ、議論がなされていますが、この映画で
描かれるのはなんと「無子社会」。一番若い人間が18歳!教育に関する体制や産業
は全て成り立たなくなりますし、世界が滅亡する日が確定してしまうって何と怖
いことか。セオがアートを収集している叔父に「100年後、これを誰が見る?」って
いうセリフがあります。100年後には確実に誰もいない世界、想像できますか?
100年後にも、あのブタのバルーンは空を飛んでいるのでしょうか・・・。
しかも劇中では、2008年に大流行したインフルエンザによって、多くの人命
が喪われた設定。2008年って、来年じゃないか~!ここのところ毎冬、新型イ
ンフルエンザの流行が懸念されていますから、この映画全くの絵空事ではない
のかもしれない。希望を託す子どものいない世界は、暴力と憎しみで荒廃して
いる・・。
ストーリー的には捻りも裏もないストレートなお話ですが、生まれてくる生命、
赤ん坊っていうのがどれだけ人々の心に希望の灯をともすか、庇護されないと
生きられない、無力な赤ん坊がどんなに大切な存在か、赤ん坊の泣き声がどん
なに荘厳な響きであるかが感動的に描かれます。考えさせられてしまう、世界
の成り立ちについて。
監督以外にこのDVDを手に取った理由であるピーター・ミュラン(『マイ・ネーム・
イズ・ジョー』)、マイケル・ケイン爺やも渋く、いい味出してます。世界の現状
に警鐘を鳴らしつつ、圧倒的な映像で魅せる力作でした。
(『トゥモロー・ワールド』監督・脚本・編集:アルフォンソ・キュアロン/
主演:クライヴ・オーウェン、ジュリアン・ムーア/2006・USA、UK)
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テーマ : この映画がすごい!!
ジャンル : 映画
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Children of Men2027年、原因不明のまま生殖機能が弱まった人間は、もう20年余りも子供が出来ていない。人類滅亡の危機感から希望を失った世界には暴力と無秩序が満ち溢れて、世紀末の様相。崩壊した第三国からの不法入国
2007-07-21 04:57 :
姫のお楽しみ袋
映画偉人伝 ~その33~ Clive Owen1964年10月3日イギリス、コンヴェントリー生まれ。学校で『オリバー!』のアートフル・ドッジャー役を熱演、13才で劇団に入る。1984年から3年間Royal Academy of Dramatic Artで
2007-07-21 04:57 :
姫のお楽しみ袋
子どもが生れない未来に希望の火を灯すのは・・・
2007-07-21 14:18 :
悠雅的生活
Derailed『グッド・ガール』でジェイク・ジレンホールと浮気しちゃったジェニファー・アニストン、今回はクライブ・オーウェンと不倫。ワタクシのお気に入りばっか食ってんじゃねーよこのSlut!と怒っちゃうところな
2007-07-21 19:32 :
姫のお楽しみ袋
「トゥモロー・ワールド」感想その?いつもながら劇場で遭遇する予告以外はほとんど情報を得ないで観るほうで、クライマックスシーンが長回しだって知らず後でしまった!ちゃんと観とけばよかった!と後悔。スクリーンでやってるうちにもう一度、どうやっ...
2007-07-24 08:31 :
It's a Wonderful Life
「トゥモロー・ワールド」(2006) 米/英 CHILDREN OF MEN監督:アルフォンソ・キュアロン製作:マーク・エイブラハムエリック・ニューマン ヒラリー・ショートニー・スミス イアイン・スミス製作総指揮:アーミアン・バーンスタイントーマス・A・ブリス原作...
2007-07-30 21:33 :
★☆カゴメのシネマ洞☆★ “Kagome's Cinema-Cave”
『唯一の希望を失えば、人類に明日はない』 コチラの「トゥモロー・ワールド」は、11/18公開の人類に子供が生まれなくなってしまった近未来を描くSFサスペンスなんですが、観て来ちゃいましたぁ~♪ 監督は、「大いなる遺産」、「ハリー・ポッターとアズカバンの囚...
2007-09-02 00:44 :
☆彡映画鑑賞日記☆彡
【CHILDREN OF MEN】2006年/イギリス 監督:アルフォンソ・キュアロン 出演:クライヴ・オーウェン、ジュリアン・ムーア、マイケル・ケイン、キウェテル・イジョフォー西暦2027年、...
2007-09-02 22:46 :
BLACK&WHITE
唯一の希望を失えば、人類に明日はない
2009-08-30 16:45 :
Addict allcinema 映画レビュー
32点
2006年のイギリス、アメリカの合作映画で、
監督は「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」のアルフォンソ・キュアロン、
主演は「キング・アーサー」、「インサイド・マン」のクライヴ・オーウェン...
2012-03-20 21:37 :
我が頭に巣くう映画達
コメントの投稿
えー、私は一応、クライヴ・オーウェン好きで、色々観たのですけど、観るたびに少しずつがっかりさせられる俳優さんです・・・
こちらにも失礼します。
私も少子化時代になんとタイムリーな!と興味が湧いて観ましたよ。
予告よりかなりの迫力でしたし、あの戦場シーンの臨場感たるや、圧倒されました!
赤ちゃんを抱いた二人を見て、兵士も厳かに銃を降ろす場面では、こんな世の中になったら、子供が生まれない地球環境になったら…と恐ろしくなりました。
あまり話題にならなかったのか、世情に疎い私には解りませんが、地味でしたが力作ですよね。
あ、そうそう、ジェイクに似て、目元が濃いかも♪
私も少子化時代になんとタイムリーな!と興味が湧いて観ましたよ。
予告よりかなりの迫力でしたし、あの戦場シーンの臨場感たるや、圧倒されました!
赤ちゃんを抱いた二人を見て、兵士も厳かに銃を降ろす場面では、こんな世の中になったら、子供が生まれない地球環境になったら…と恐ろしくなりました。
あまり話題にならなかったのか、世情に疎い私には解りませんが、地味でしたが力作ですよね。
あ、そうそう、ジェイクに似て、目元が濃いかも♪
chuchuさま、こんにちは~。コメント&TBありがとうございます。
そうか~、好きな俳優さんだったのね!私もこれからいろいろ観たいな、と思ってますよ。
まずはあれかしら、アンジーと共演したやつ?
後ほどお邪魔しますね~、ではでは!
そうか~、好きな俳優さんだったのね!私もこれからいろいろ観たいな、と思ってますよ。
まずはあれかしら、アンジーと共演したやつ?
後ほどお邪魔しますね~、ではでは!
fizz♪さま、こちらにもコメントありがとうございます。
私も公開時に映像が凄い、という話は聞いていたのですが、そんなに話題になりませんでしたね。
ピーター・ミュランが出てるのを知って監督のこともわかり、観たのですけどこれは映画館で観たかったですねー。
あの兵士が銃を下ろす場面はいいですね。
ジェイクに似てる~って思ったら、クライヴにも興味が湧いてきました。
『クローサー』未見なんで、ジュードも出てるし観なくちゃ♪ですね。
ではでは、またです~。
私も公開時に映像が凄い、という話は聞いていたのですが、そんなに話題になりませんでしたね。
ピーター・ミュランが出てるのを知って監督のこともわかり、観たのですけどこれは映画館で観たかったですねー。
あの兵士が銃を下ろす場面はいいですね。
ジェイクに似てる~って思ったら、クライヴにも興味が湧いてきました。
『クローサー』未見なんで、ジュードも出てるし観なくちゃ♪ですね。
ではでは、またです~。
真紅さん、
観るなら、アンジーよりジェニファー・アニストンと競演したのをぜひぜひみてください!TBしときます。
観るなら、アンジーよりジェニファー・アニストンと競演したのをぜひぜひみてください!TBしときます。
2007-07-21 19:25 :
chuchu URL :
編集
こんにちは!
この映画はブログを始める前に劇場で鑑賞したのですが(記事は書いていません)、結構ズシンと印象に残りました。思わず鑑賞後に原作を買ったほどです。(内容は全く違いましたが・汗)
子どものいない未来が、こんなに暗く苦しいなんて・・・観ていて絶望感がヒシヒシと伝わってきました。
長回しのシーンは凄かったですね。
この映画はブログを始める前に劇場で鑑賞したのですが(記事は書いていません)、結構ズシンと印象に残りました。思わず鑑賞後に原作を買ったほどです。(内容は全く違いましたが・汗)
子どものいない未来が、こんなに暗く苦しいなんて・・・観ていて絶望感がヒシヒシと伝わってきました。
長回しのシーンは凄かったですね。
chuchuさん、こんにちは!再びのコメントありがとう~。
おお、初めて聞くタイトルだわ・・。ジェンと共演ですか、どんなんやろ~(期待大)。。
探して観てみますね、ありがとうね~!
おお、初めて聞くタイトルだわ・・。ジェンと共演ですか、どんなんやろ~(期待大)。。
探して観てみますね、ありがとうね~!
由香さま、こんにちは。コメントありがとうございます。
え!そうなんですか?!由香さまってブログ始められたの結構最近なんですね!
私も劇場でこれを観たら、相当キてたと思います。
原作も読まれたのですね、英国の人気作家の方なのですよね?
由香さまは読書も積極的にされてすごいな~、尊敬ですよ!
子どもって希望なんだな~と思いました。
またお伺いしますね、ではでは!
え!そうなんですか?!由香さまってブログ始められたの結構最近なんですね!
私も劇場でこれを観たら、相当キてたと思います。
原作も読まれたのですね、英国の人気作家の方なのですよね?
由香さまは読書も積極的にされてすごいな~、尊敬ですよ!
子どもって希望なんだな~と思いました。
またお伺いしますね、ではでは!
真紅さん
この映画昨年ベストに選んでしまいました^^
最近DVDが出て改めてメイキング観たんですけど、あの車襲撃の場面は半端じゃない撮影の
仕方してるんですよね~ (あの車の中で
カメラがぐるぐる回る仕組みを開発してます)
オスカーの撮影はぜったいこれだ!って
思ってたのに残念ですが、逆に
パンスラビリンス楽しみになっております!^^
この映画昨年ベストに選んでしまいました^^
最近DVDが出て改めてメイキング観たんですけど、あの車襲撃の場面は半端じゃない撮影の
仕方してるんですよね~ (あの車の中で
カメラがぐるぐる回る仕組みを開発してます)
オスカーの撮影はぜったいこれだ!って
思ってたのに残念ですが、逆に
パンスラビリンス楽しみになっております!^^
kazuponさま、こちらにもコメント&TBをありがとうございます。
ベストですか~。大きなスクリーンだとすごいインパクトあったでしょうね!
車襲撃の場面というと、ジュリアンが撃たれるところですね?
あそこはワンカットで、一体どうやって撮影したのだろうと謎でした。
機材を開発していたとは・・。凄いです。現場は物凄い緊張感だったでしょうね。
『パンズ・ラビリンス』にもキュアロンは参加しているのですよね?プロデューサーでしたか?
秋に公開ですね、私も観たいです!
ではでは、後ほどお伺いします~。
ベストですか~。大きなスクリーンだとすごいインパクトあったでしょうね!
車襲撃の場面というと、ジュリアンが撃たれるところですね?
あそこはワンカットで、一体どうやって撮影したのだろうと謎でした。
機材を開発していたとは・・。凄いです。現場は物凄い緊張感だったでしょうね。
『パンズ・ラビリンス』にもキュアロンは参加しているのですよね?プロデューサーでしたか?
秋に公開ですね、私も観たいです!
ではでは、後ほどお伺いします~。
TB、させてくらさい♪
こんばんわ!真紅さん♪♪♪
この作品、あのスンバラシク凝ってる長回しにも驚いたですが、
前半でとっととジュリアン・ムーアが死んじゃったのにはホント驚いたですよ(笑)。
ありは「敵を欺くにはまず味方から」で、きっとブラフなんだろうと思ってたのに、
本当に死んだままだったのには“うわっ”と思ったです。
ま、終わってみたら、主人公もマイケル・ケインも死んでましたが(苦笑)。
命の継承を印象付ける為に、主要な登場人物を殺しちゃう設定にしたんでしょうかねぇぇ??
この作品、あのスンバラシク凝ってる長回しにも驚いたですが、
前半でとっととジュリアン・ムーアが死んじゃったのにはホント驚いたですよ(笑)。
ありは「敵を欺くにはまず味方から」で、きっとブラフなんだろうと思ってたのに、
本当に死んだままだったのには“うわっ”と思ったです。
ま、終わってみたら、主人公もマイケル・ケインも死んでましたが(苦笑)。
命の継承を印象付ける為に、主要な登場人物を殺しちゃう設定にしたんでしょうかねぇぇ??
カゴメさま、こんにちは~。お久しぶりですね、コメント&TBありがとうございます。
私も、ジュリアンがあまりにも早く退場したのには驚きました。
ポスターとかクレジットでは主役扱いですよね~。
あのときの映像は本当に凄かったし、いろんな意味で驚かされた映画でした。
命の継承、確かにその通りかもしれないですね。
人は遅かれ早かれ必ず死ぬわけで、でも新しい命があれば希望はある、ということなのでしょうか。
後ほどお伺いしますね、ではでは~。
私も、ジュリアンがあまりにも早く退場したのには驚きました。
ポスターとかクレジットでは主役扱いですよね~。
あのときの映像は本当に凄かったし、いろんな意味で驚かされた映画でした。
命の継承、確かにその通りかもしれないですね。
人は遅かれ早かれ必ず死ぬわけで、でも新しい命があれば希望はある、ということなのでしょうか。
後ほどお伺いしますね、ではでは~。
映像技術は素晴らしかったですねー!!
市街戦の迫力には度肝を抜かれました。
近未来の世界というよりも現在内乱が起こっている地域の
ドキュメンタリー映像のような気さえしてきました。
緊迫感たっぷりの逃避行で後半はだいぶ楽しめました。
前半はね・・・なぜ?なぜ?が多くてダメだったんですよ。
それを忘れさせてくれるほどの後半の面白さでした。
市街戦の迫力には度肝を抜かれました。
近未来の世界というよりも現在内乱が起こっている地域の
ドキュメンタリー映像のような気さえしてきました。
緊迫感たっぷりの逃避行で後半はだいぶ楽しめました。
前半はね・・・なぜ?なぜ?が多くてダメだったんですよ。
それを忘れさせてくれるほどの後半の面白さでした。
ジュンさま、こんにちは~。コメント&TBありがとうございます。
これ、本当に映画館で観たかったです。あの大きなスクリーンで観たら、さぞかしド迫力だったのではないでしょうか?
カメラが長回しなので、かなりドキュメンタリータッチでしたね。
私は前半、ジュリアンが撃たれる場面からもう、釘付けでした。
内容よりも「これってワンカット?? どうやって撮ったんや~??」みたいな(笑)
少子化を飛び越えた「無子化社会」、怖いですね・・。
ではでは、後ほどお伺いしますね♪
これ、本当に映画館で観たかったです。あの大きなスクリーンで観たら、さぞかしド迫力だったのではないでしょうか?
カメラが長回しなので、かなりドキュメンタリータッチでしたね。
私は前半、ジュリアンが撃たれる場面からもう、釘付けでした。
内容よりも「これってワンカット?? どうやって撮ったんや~??」みたいな(笑)
少子化を飛び越えた「無子化社会」、怖いですね・・。
ではでは、後ほどお伺いしますね♪
市街戦の長回しのシーンは凄かったですね。
よくあんな撮影が出来るよなぁ。
よくあんな撮影が出来るよなぁ。
光太さん、こんばんは。コメント&TBありがとうございます。
この映画観たの5年前なんですけど、すごく印象に残ってます。
映画館で観たかったな~。
この映画観たの5年前なんですけど、すごく印象に残ってます。
映画館で観たかったな~。